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第八章
8.魔力協会の人間だ【4】
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「ご無沙汰しております、協会長殿」
ヴォルが白髭の協会長さんに応じました。
二人の雰囲気を見る限り、ただの知り合いでは無さそうです。勿論私は初見ですが、この場の雰囲気も相まって緊張感が増していました。
「まさか御主が、査定でもないのにここへ足を運ぶとはな」
「俺にも色々と事情がありましてね」
お二方の感情を見せない会話が続きます。
査定とは何でしょうか、初めて聞きました。言葉通りの、調査をして評価をするアレでしょうか。
魔力協会の人の言葉ですから、想像するに魔力関連であろうとは思いました。けれども問い掛けられる空気ではないのです。
「して、そこの娘が御主の姫か」
「はい」
話の流れから突然二人の視線が私に向けられた。
私は思わず背筋を伸ばしてしまいます。
「ふむ。まさか、市井の民から連れてくるとは……。話に聞いた時は驚いたが、御主らしいと思えば納得出来るな」
協会長さんが私を見たまま告げました。
僅かに瞳を細めてくれたので、悪感情を向けられた訳ではない事は何となく分かります。
でも誉めていないのだとは分かりました。普通にヴォルの立場や血筋から考えれば、高位の貴族から妻を娶る筈ですから。
「ところで協会長。この度の騒動は何故に」
ヴォルが話を変え、町の現象についての核心をついてきます。
ここにいるのですから、知らない筈もありませんでした。そして旧知の仲とは言え、ヴォルは協会長さんと世間話をしに来た訳ではないのです。
「ここの魔法石か?ふむ。御主も感じているだろう。世界の魔力が大きく流れている事を」
「はい」
「それを食い止めるが故の措置だよ」
再び感情の見えない会話を始めました。
それは先程、あの怒っている魔力協会職員の人が言っていた事です。
「ではケストニアの民に了承を得たのですね」
「それはない」
ヴォルの問い掛けは直ぐ様否定されてしまいました。
被害者の方達の了解なしとは、人の命を何だと考えているのでしょうか。
「……そうですか」
ヴォルはそれだけ返しました。
──えぇっ?!怒らないのですか?
驚いてヴォルの顔を見上げると、まぁ──かなり怒っています。近しい人にしか分からないかもですが、彼のこの無表情は相当怒っている時のものでした。
ソロリと後ろを振り向いてみるとやはりというか、ベンダーツさんも腰が引けているように見えます。
「ここの民は世界の糧となったのだ。感謝こそされ、恨む筈もなかろうて」
ヴォルの怒りに気付かないのか、協会長さんは話を続けました。
何でこんな風に、勝手に皆の感情を答えられるのでしょうか。当たり前の事ですが、誰だって命を奪われたくはありません。
世界の為だとか言われても、正直『ごめんなさい』って言いたくなると私は思いました。
「それが魔力協会のやり方なの?」
陶酔したような協会長の言葉に、ベンダーツさんは真顔で問います。
「今までもそうしてきたのだ。新たに精霊に好かれた者が現れなければ、更にこれから幾らでも町や村を魔法石にしよう。それが世界を守る事である」
自分達の行いを、少しも間違っていると思っていない魔力協会の人達でした。
今までもって事は、過去何度もこの凄惨な史実を残してきたと言う事ですよね。
それ程までに魔法、魔力が必要なのですか?
ヴォルが白髭の協会長さんに応じました。
二人の雰囲気を見る限り、ただの知り合いでは無さそうです。勿論私は初見ですが、この場の雰囲気も相まって緊張感が増していました。
「まさか御主が、査定でもないのにここへ足を運ぶとはな」
「俺にも色々と事情がありましてね」
お二方の感情を見せない会話が続きます。
査定とは何でしょうか、初めて聞きました。言葉通りの、調査をして評価をするアレでしょうか。
魔力協会の人の言葉ですから、想像するに魔力関連であろうとは思いました。けれども問い掛けられる空気ではないのです。
「して、そこの娘が御主の姫か」
「はい」
話の流れから突然二人の視線が私に向けられた。
私は思わず背筋を伸ばしてしまいます。
「ふむ。まさか、市井の民から連れてくるとは……。話に聞いた時は驚いたが、御主らしいと思えば納得出来るな」
協会長さんが私を見たまま告げました。
僅かに瞳を細めてくれたので、悪感情を向けられた訳ではない事は何となく分かります。
でも誉めていないのだとは分かりました。普通にヴォルの立場や血筋から考えれば、高位の貴族から妻を娶る筈ですから。
「ところで協会長。この度の騒動は何故に」
ヴォルが話を変え、町の現象についての核心をついてきます。
ここにいるのですから、知らない筈もありませんでした。そして旧知の仲とは言え、ヴォルは協会長さんと世間話をしに来た訳ではないのです。
「ここの魔法石か?ふむ。御主も感じているだろう。世界の魔力が大きく流れている事を」
「はい」
「それを食い止めるが故の措置だよ」
再び感情の見えない会話を始めました。
それは先程、あの怒っている魔力協会職員の人が言っていた事です。
「ではケストニアの民に了承を得たのですね」
「それはない」
ヴォルの問い掛けは直ぐ様否定されてしまいました。
被害者の方達の了解なしとは、人の命を何だと考えているのでしょうか。
「……そうですか」
ヴォルはそれだけ返しました。
──えぇっ?!怒らないのですか?
驚いてヴォルの顔を見上げると、まぁ──かなり怒っています。近しい人にしか分からないかもですが、彼のこの無表情は相当怒っている時のものでした。
ソロリと後ろを振り向いてみるとやはりというか、ベンダーツさんも腰が引けているように見えます。
「ここの民は世界の糧となったのだ。感謝こそされ、恨む筈もなかろうて」
ヴォルの怒りに気付かないのか、協会長さんは話を続けました。
何でこんな風に、勝手に皆の感情を答えられるのでしょうか。当たり前の事ですが、誰だって命を奪われたくはありません。
世界の為だとか言われても、正直『ごめんなさい』って言いたくなると私は思いました。
「それが魔力協会のやり方なの?」
陶酔したような協会長の言葉に、ベンダーツさんは真顔で問います。
「今までもそうしてきたのだ。新たに精霊に好かれた者が現れなければ、更にこれから幾らでも町や村を魔法石にしよう。それが世界を守る事である」
自分達の行いを、少しも間違っていると思っていない魔力協会の人達でした。
今までもって事は、過去何度もこの凄惨な史実を残してきたと言う事ですよね。
それ程までに魔法、魔力が必要なのですか?
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