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第八章
6.魔力以外を感じられない【5】
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「……あ、れ……?お、おはようございます。私、いつの間に寝てしまったのでしょうか」
意識が戻った時、何故か私は完全に寝ていたようでした。
空の明るさからして現在の暗さでおはようございますもどうかと思いましたが、起床の挨拶としてはやはりこれです。
「あ、おはよ~。良く寝てたねぇ、メル」
爽やかに答えてくれたのはベンダーツさんでした。
──あ、あれ?ヴォルは?
いつもならばすぐに返ってくる声音が聞こえないので、私は違和感を感じずにいられません。
一通り周囲を見回し、ヴォルの不在を確認してベンダーツさんに問い掛けました。
「おはようございます、マークさん。あの、ヴォルは何処へ行かれたのですか?」
問い掛けながらも未だ目はヴォルを捜している私です。
キョロキョロと辺りを見回し、さすがに馬車の陰にはいないだろうと思いつつふと後ろへ視線を向けた私でした。
「あぁ、ヴォルは外だよ?ほら、あの辺り……光ってるのが見えるかな」
私の態度に苦笑を浮かべつつもベンダーツさんは南の方を指を差します。
指し示す先を見ると、確かに青い光が見えました。
ここからは結構距離があります。走っていっても息耐えてしまうくらいはありました。
「近付いて来ているあれ、人間じゃないみたいなんだよね。ヴォルが言うには、魔力しか感じられないんだってさ」
「え……では、魔物なのですか?」
「う~ん、それを見に行った?」
質疑応答を交わし、ヴォルの行き先と理由は分かりました。
しかしながら疑問符が多い返答である気がします。
とにかく現時点で、こちらに接近する『何か』を確認する為にヴォルが出向いたようでした。
「あの……ヴォルは魔力が回復したのでしょうか。あれから半日程しか経っていないですよね?」
「そうだねぇ、まだ完全復活と言う訳ではないかもね。でも仮にそうであっても、本人は素直に教えてなんてくれないんだけどさぁ」
ベンダーツさんの物言いに、思わず私も納得してしまいます。
問い掛けたところで、『問題ない』とか普通に返ってきそうなのでした。
「まぁ……魔物なら討伐してくるだろうから、俺等は大人しくここで待ってようか」
「はい……」
ベンダーツさんの意見に賛同し、首肯します。勿論納得はしかねますが、私は気分を変える意味もあり改めて自分の周囲を見回してみました。
私が今いる場所は広げてある寝袋の上です。そして記憶の中で座っていた筈のテーブルや椅子は、既に片付けられていました。
ここまで色々皆さんがしているのに眠ったままの私って──と思いましたが、呆れるのは今更なのです。
「そう言えばさ、メルは精霊を何処で見たの?」
そんな現実逃避的な思考に走っていた時、不意にベンダーツさんから質問が飛びました。
けれども、その突然のベンダーツさんの質問に首を傾げます。
「精霊を見た事があるんでしょ?」
確信を得ているかのような追求に、私は彼にその事実を話した気がしました。
確か、クスカムの集落辺りでした覚えがあります。
「えっと、ヴォルの研究室です。他の場所では見えないのですけど、あの場所なら私にも見えたのです」
「ふぅ~ん……ヴォルの研究室、ねぇ。勿論俺も何度だって足を運んだ事があるけど、ヴォル以外の動くものは見た事がないなぁ」
私の返答に、ベンダーツさんが僅かに瞳を細めました。
三人であの場にいた事はないので分かりませんが、私はヴォルの周囲に漂うたくさんの小さい人を見ています。
「そうだったのですか?」
「そうだったのだよ。原理は不明だけど、何だか羨ましいねぇ。綺麗なんだろう?」
「はいっ、それは勿論です」
ベンダーツさんが少しだけ口角を上げたので、私は自信を持って返しました。
形自体は人型ではありますが、人よりも明らかに強者なのです。あんなに小さいのに、見た目とは違う大きな力が伝わってきました。
綺麗で強いって、凄いです。
意識が戻った時、何故か私は完全に寝ていたようでした。
空の明るさからして現在の暗さでおはようございますもどうかと思いましたが、起床の挨拶としてはやはりこれです。
「あ、おはよ~。良く寝てたねぇ、メル」
爽やかに答えてくれたのはベンダーツさんでした。
──あ、あれ?ヴォルは?
いつもならばすぐに返ってくる声音が聞こえないので、私は違和感を感じずにいられません。
一通り周囲を見回し、ヴォルの不在を確認してベンダーツさんに問い掛けました。
「おはようございます、マークさん。あの、ヴォルは何処へ行かれたのですか?」
問い掛けながらも未だ目はヴォルを捜している私です。
キョロキョロと辺りを見回し、さすがに馬車の陰にはいないだろうと思いつつふと後ろへ視線を向けた私でした。
「あぁ、ヴォルは外だよ?ほら、あの辺り……光ってるのが見えるかな」
私の態度に苦笑を浮かべつつもベンダーツさんは南の方を指を差します。
指し示す先を見ると、確かに青い光が見えました。
ここからは結構距離があります。走っていっても息耐えてしまうくらいはありました。
「近付いて来ているあれ、人間じゃないみたいなんだよね。ヴォルが言うには、魔力しか感じられないんだってさ」
「え……では、魔物なのですか?」
「う~ん、それを見に行った?」
質疑応答を交わし、ヴォルの行き先と理由は分かりました。
しかしながら疑問符が多い返答である気がします。
とにかく現時点で、こちらに接近する『何か』を確認する為にヴォルが出向いたようでした。
「あの……ヴォルは魔力が回復したのでしょうか。あれから半日程しか経っていないですよね?」
「そうだねぇ、まだ完全復活と言う訳ではないかもね。でも仮にそうであっても、本人は素直に教えてなんてくれないんだけどさぁ」
ベンダーツさんの物言いに、思わず私も納得してしまいます。
問い掛けたところで、『問題ない』とか普通に返ってきそうなのでした。
「まぁ……魔物なら討伐してくるだろうから、俺等は大人しくここで待ってようか」
「はい……」
ベンダーツさんの意見に賛同し、首肯します。勿論納得はしかねますが、私は気分を変える意味もあり改めて自分の周囲を見回してみました。
私が今いる場所は広げてある寝袋の上です。そして記憶の中で座っていた筈のテーブルや椅子は、既に片付けられていました。
ここまで色々皆さんがしているのに眠ったままの私って──と思いましたが、呆れるのは今更なのです。
「そう言えばさ、メルは精霊を何処で見たの?」
そんな現実逃避的な思考に走っていた時、不意にベンダーツさんから質問が飛びました。
けれども、その突然のベンダーツさんの質問に首を傾げます。
「精霊を見た事があるんでしょ?」
確信を得ているかのような追求に、私は彼にその事実を話した気がしました。
確か、クスカムの集落辺りでした覚えがあります。
「えっと、ヴォルの研究室です。他の場所では見えないのですけど、あの場所なら私にも見えたのです」
「ふぅ~ん……ヴォルの研究室、ねぇ。勿論俺も何度だって足を運んだ事があるけど、ヴォル以外の動くものは見た事がないなぁ」
私の返答に、ベンダーツさんが僅かに瞳を細めました。
三人であの場にいた事はないので分かりませんが、私はヴォルの周囲に漂うたくさんの小さい人を見ています。
「そうだったのですか?」
「そうだったのだよ。原理は不明だけど、何だか羨ましいねぇ。綺麗なんだろう?」
「はいっ、それは勿論です」
ベンダーツさんが少しだけ口角を上げたので、私は自信を持って返しました。
形自体は人型ではありますが、人よりも明らかに強者なのです。あんなに小さいのに、見た目とは違う大きな力が伝わってきました。
綺麗で強いって、凄いです。
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