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第八章
3.魔物達の飢えの原因【3】
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「あの……魔物が人を襲うのは、その肉体から魔力を摂取する為なのですよね?」
討伐が終わり、ベンダーツさんと一緒に戻ってきたヴォルに問い掛けました。
私は相変わらずで、ウマウマさんと共に結界で守られた馬車の待機組だったのです。
「そうだ。魔力を持っていない人間も、その身の内に魔力の元となる生命力を持っている。魔物はそれらの命を搾取する事によって自らの魔力とする」
「一番手っ取り早くて効率が良いのは、やっぱり魔力所持者を食らう事だけどね。魔物は魔力が欠乏してくると、人間で言う貧血?みたいになるようだからさ。そうなると動きは鈍くなるし攻撃は単調だし……こっちとしては討伐が楽になって良いんだけど、当たり前ながら自主的にはなってくれないんだよねぇ」
私の問いに答えてくれるヴォルの後ろで、ベンダーツさんは戻ってきてすぐ自身の剣のメンテナンスをしていました。
彼は剣術が優れている事もあるでしょうけど、旅の最中でも武器の手入れを怠っているところを見た事がないのです。
「ヴォルも今は魔法メインじゃないんだから、きちんと武器の手入れをしておけよ?いくら魔剣とはいえ、自分のメンテナンスを出来る剣はない筈だからな」
刃に付着した汚れを丁寧に拭いながら、ベンダーツさんが視線だけをヴォルに向けました。
確かにヴォルの剣は二本とも普通ではないです。それでも道具である以上、ベンダーツさんの言う事にも一理あると思いました。
「問題ない。天の剣は浄化作用がある。更に闇の剣は魔物の血を吸う。残念ながら、お前のいう『自分のメンテナンスを出来る剣』だな。そこらの鋼の剣とは違う」
対してヴォルは真顔で返します。
そうですよね。ヴォルの剣は前の旅でもメンテナンスなんて受けていませんでしたが、天の剣はいつも輝くまでの透明さを保っていて、闇の剣は顔が映るくらい黒光りしていました。
「あ~、そうかよっ。便利だな、ったく。まぁ、俺としてはこうやって何も考えずに剣を磨いてる事も好きだけどな。ストレスの掛かる城に居た時でさえ、使う機会があまりないけど剣のメンテナンスは欠かさなかったし」
などと言いながら、ベンダーツさんは綺麗になった剣をかざして見ています。
そう言われてみれば何だかうっとりと幸せそうでした。刃物を見ながら薄く笑っているのは少し怖くもありますが。
「それで、何か気付いたのか?」
不意にヴォルが私に視線を向けました。
──えっと、何の話でしたっけ?
突然私に質問が回ってきたので、思わず首を傾げてしまいます。
「魔物の魔力摂取方法が気になっていたようだが」
問い掛けの意味を理解出来ていなかった私へ、ヴォルが改めて口にしてくれました。
そうですね。自分のした質問を忘れる残念な脳味噌ですみません。
「えっと……魔物って、お腹が膨れる訳ではないのですか?」
「あ、根本的な質問だね。でも元から生物ではないからさ。人や動物が行う消化吸収とは違うんだよ」
「魔物は魔力が欠乏してくると肉体の維持が出来ず、見た目からも分かる程に痩せ衰えてくるようだ。だが常に魔力を摂取出来ていたとしても、その行為は腹を膨らます為ではない。摂取された生物は魔物の腹の中で魔力に変換され、消失する」
ベンダーツさんとヴォルが魔物知識を披露してくれます。
危険で怖い魔物のイメージから、今まで詳しく知ろうともしていませんでした。
そして知り得たものは、私にしてみれば不思議なとしか言い様のない生体情報です。
「だから排泄物がないんだよ。良いよね、ある意味さ」
一人で頷いているベンダーツさんでした。
何だか違う部分で感心しているようでしたが、確かに普通の生物の基準では考えられない生命体です。あ、それ以上に発生自体も通常の繁殖とは異なるのでした。
それでも活動を止めた魔物の身体は、この世界の大地を潤す糧になるのですよね。
討伐が終わり、ベンダーツさんと一緒に戻ってきたヴォルに問い掛けました。
私は相変わらずで、ウマウマさんと共に結界で守られた馬車の待機組だったのです。
「そうだ。魔力を持っていない人間も、その身の内に魔力の元となる生命力を持っている。魔物はそれらの命を搾取する事によって自らの魔力とする」
「一番手っ取り早くて効率が良いのは、やっぱり魔力所持者を食らう事だけどね。魔物は魔力が欠乏してくると、人間で言う貧血?みたいになるようだからさ。そうなると動きは鈍くなるし攻撃は単調だし……こっちとしては討伐が楽になって良いんだけど、当たり前ながら自主的にはなってくれないんだよねぇ」
私の問いに答えてくれるヴォルの後ろで、ベンダーツさんは戻ってきてすぐ自身の剣のメンテナンスをしていました。
彼は剣術が優れている事もあるでしょうけど、旅の最中でも武器の手入れを怠っているところを見た事がないのです。
「ヴォルも今は魔法メインじゃないんだから、きちんと武器の手入れをしておけよ?いくら魔剣とはいえ、自分のメンテナンスを出来る剣はない筈だからな」
刃に付着した汚れを丁寧に拭いながら、ベンダーツさんが視線だけをヴォルに向けました。
確かにヴォルの剣は二本とも普通ではないです。それでも道具である以上、ベンダーツさんの言う事にも一理あると思いました。
「問題ない。天の剣は浄化作用がある。更に闇の剣は魔物の血を吸う。残念ながら、お前のいう『自分のメンテナンスを出来る剣』だな。そこらの鋼の剣とは違う」
対してヴォルは真顔で返します。
そうですよね。ヴォルの剣は前の旅でもメンテナンスなんて受けていませんでしたが、天の剣はいつも輝くまでの透明さを保っていて、闇の剣は顔が映るくらい黒光りしていました。
「あ~、そうかよっ。便利だな、ったく。まぁ、俺としてはこうやって何も考えずに剣を磨いてる事も好きだけどな。ストレスの掛かる城に居た時でさえ、使う機会があまりないけど剣のメンテナンスは欠かさなかったし」
などと言いながら、ベンダーツさんは綺麗になった剣をかざして見ています。
そう言われてみれば何だかうっとりと幸せそうでした。刃物を見ながら薄く笑っているのは少し怖くもありますが。
「それで、何か気付いたのか?」
不意にヴォルが私に視線を向けました。
──えっと、何の話でしたっけ?
突然私に質問が回ってきたので、思わず首を傾げてしまいます。
「魔物の魔力摂取方法が気になっていたようだが」
問い掛けの意味を理解出来ていなかった私へ、ヴォルが改めて口にしてくれました。
そうですね。自分のした質問を忘れる残念な脳味噌ですみません。
「えっと……魔物って、お腹が膨れる訳ではないのですか?」
「あ、根本的な質問だね。でも元から生物ではないからさ。人や動物が行う消化吸収とは違うんだよ」
「魔物は魔力が欠乏してくると肉体の維持が出来ず、見た目からも分かる程に痩せ衰えてくるようだ。だが常に魔力を摂取出来ていたとしても、その行為は腹を膨らます為ではない。摂取された生物は魔物の腹の中で魔力に変換され、消失する」
ベンダーツさんとヴォルが魔物知識を披露してくれます。
危険で怖い魔物のイメージから、今まで詳しく知ろうともしていませんでした。
そして知り得たものは、私にしてみれば不思議なとしか言い様のない生体情報です。
「だから排泄物がないんだよ。良いよね、ある意味さ」
一人で頷いているベンダーツさんでした。
何だか違う部分で感心しているようでしたが、確かに普通の生物の基準では考えられない生命体です。あ、それ以上に発生自体も通常の繁殖とは異なるのでした。
それでも活動を止めた魔物の身体は、この世界の大地を潤す糧になるのですよね。
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