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第七章
4.何をやっている【3】
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「……ゼブル卿に会った」
唐突に口を開くヴォルです。突然過ぎて驚きました。
ヴォルはずっと大人しく髪を撫でられていたので、眠ってしまったのかと思っていたのです。
「えっと、ゼブルさんはどうでしたか?話を聞いてくれました?」
私が髪を撫でるのをやめると僅かに不満を見せたものの、ヴォルはベッドに半身起き上がってくれました。
まさか黒幕ですかと聞ける筈はないでしょうが、何の目的があってサガルットに滞在しているかを調べる手掛かりになると良いです。
私もヴォルに合わせて起き上がりました。
「俺を見てすぐに誰だか分かっていたようだ。卿の狙いは推測通り魔法石だった」
「やっぱりかっ。となると、セントラルに魔法石を売る気だったのか?」
遠くからベンダーツさんも参加してきます。ヴォルはチラリと彼に視線を向けただけで、再び私に向き直りました。まだお許しが出ないようです。
それでもこのような難しい会話は、知識のない私に継続は不可能でした。いつの間にか普通にヴォルとベンダーツさんの話し合いになっています。
「ゼブル卿は魔法石の収集家だ」
「売買目的ではなく、コレクターとはなぁ。でも確かに、自然界にも魔法石自体は存在しているよ。大概は発掘したりしなきゃだけど、大昔の魔物の肉体が長い年月を経る事で出来たりもするらしいからね」
ベンダーツさんはヴォルに下ろしてもらえなくても、そのまま口をつぐむ事がないようでした。
そしていつも思いますけど、本当に二人とも知識が豊富でした。もしかすると王城では必要なものなのでしょうか。
「あの……サガルットにある魔法石も、その大昔の魔物の石なのでしょうか。って言うか魔法石が狙いでも、わざわざ町を壊す事はないですよね?」
私は知識を元にした会話は出来ないので、疑問に思った事をそのまま問い掛けます。
逆に、本当に大昔の魔物だと良いと考えていました。だって、魔力所持者の方が犠牲になるのは嫌ですから。
「見ていないから何とも言えない。魔法石はその強大な魔力残留量から、何処でも町の重要な守りだ。元が何であれ、町の方でも簡単に手放す筈はない」
「そうだよ、メル。魔法石で町の結界を維持しているから、持っていかれたら結局滅びるしかないんだからね。まぁ結界があるって分かっていながら先に町を壊すって手は、誰もが考えつくものではないだろうけど」
ヴォルとベンダーツさんは魔法石の事にも詳しく、それを知らない私にも分かるように教えてくれます。
どうやら人が持ち得ない魔力を凝縮したような物質が魔法石らしいので、魔力所持者云々というより石自体の有無が重要との事でした。
「あの、結界を張るのは魔力所持者なのではないのですか?」
「そうだ。だが魔力所持者が張った結界を魔法石に委託する。人が結界を維持し続けるには、継続して大量の魔力供給が必要だ。通常の人間は全力を出し続ける事が出来ない」
またしても私の疑問に簡潔な答えが返ってきます。
それにしても『通常の人間は』って、ヴォルも人なのだという事を忘れていませんか。こう言うところに境界線を引いてしまうヴォルは、やはり自分の事を良く思っていないのだと感じました。
「そう、そう。ヴォルのような精霊に好かれた者は、潜在魔力自体が規格外だからね。精霊もその匂いに引かれてやってくるもんだから、まさに精霊ほいほいだよね。普通の魔力所持者とは格が違うんだよ」
ベンダーツさんはヴォルに仕えるだけあって、魔力所持者に偏見がないのでしょう。からかいが混ざっている気もしますが、嫌な感じを受けない発言でした。
それでもこの世界に魔力所持者とそうでない人達がいるのは現実で、差別する人が絶えないのは事実なのです。
唐突に口を開くヴォルです。突然過ぎて驚きました。
ヴォルはずっと大人しく髪を撫でられていたので、眠ってしまったのかと思っていたのです。
「えっと、ゼブルさんはどうでしたか?話を聞いてくれました?」
私が髪を撫でるのをやめると僅かに不満を見せたものの、ヴォルはベッドに半身起き上がってくれました。
まさか黒幕ですかと聞ける筈はないでしょうが、何の目的があってサガルットに滞在しているかを調べる手掛かりになると良いです。
私もヴォルに合わせて起き上がりました。
「俺を見てすぐに誰だか分かっていたようだ。卿の狙いは推測通り魔法石だった」
「やっぱりかっ。となると、セントラルに魔法石を売る気だったのか?」
遠くからベンダーツさんも参加してきます。ヴォルはチラリと彼に視線を向けただけで、再び私に向き直りました。まだお許しが出ないようです。
それでもこのような難しい会話は、知識のない私に継続は不可能でした。いつの間にか普通にヴォルとベンダーツさんの話し合いになっています。
「ゼブル卿は魔法石の収集家だ」
「売買目的ではなく、コレクターとはなぁ。でも確かに、自然界にも魔法石自体は存在しているよ。大概は発掘したりしなきゃだけど、大昔の魔物の肉体が長い年月を経る事で出来たりもするらしいからね」
ベンダーツさんはヴォルに下ろしてもらえなくても、そのまま口をつぐむ事がないようでした。
そしていつも思いますけど、本当に二人とも知識が豊富でした。もしかすると王城では必要なものなのでしょうか。
「あの……サガルットにある魔法石も、その大昔の魔物の石なのでしょうか。って言うか魔法石が狙いでも、わざわざ町を壊す事はないですよね?」
私は知識を元にした会話は出来ないので、疑問に思った事をそのまま問い掛けます。
逆に、本当に大昔の魔物だと良いと考えていました。だって、魔力所持者の方が犠牲になるのは嫌ですから。
「見ていないから何とも言えない。魔法石はその強大な魔力残留量から、何処でも町の重要な守りだ。元が何であれ、町の方でも簡単に手放す筈はない」
「そうだよ、メル。魔法石で町の結界を維持しているから、持っていかれたら結局滅びるしかないんだからね。まぁ結界があるって分かっていながら先に町を壊すって手は、誰もが考えつくものではないだろうけど」
ヴォルとベンダーツさんは魔法石の事にも詳しく、それを知らない私にも分かるように教えてくれます。
どうやら人が持ち得ない魔力を凝縮したような物質が魔法石らしいので、魔力所持者云々というより石自体の有無が重要との事でした。
「あの、結界を張るのは魔力所持者なのではないのですか?」
「そうだ。だが魔力所持者が張った結界を魔法石に委託する。人が結界を維持し続けるには、継続して大量の魔力供給が必要だ。通常の人間は全力を出し続ける事が出来ない」
またしても私の疑問に簡潔な答えが返ってきます。
それにしても『通常の人間は』って、ヴォルも人なのだという事を忘れていませんか。こう言うところに境界線を引いてしまうヴォルは、やはり自分の事を良く思っていないのだと感じました。
「そう、そう。ヴォルのような精霊に好かれた者は、潜在魔力自体が規格外だからね。精霊もその匂いに引かれてやってくるもんだから、まさに精霊ほいほいだよね。普通の魔力所持者とは格が違うんだよ」
ベンダーツさんはヴォルに仕えるだけあって、魔力所持者に偏見がないのでしょう。からかいが混ざっている気もしますが、嫌な感じを受けない発言でした。
それでもこの世界に魔力所持者とそうでない人達がいるのは現実で、差別する人が絶えないのは事実なのです。
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