34 / 52
第四章──山椒魚(サンショウウオ)──
に
しおりを挟む
※ ※ ※
酪農家の一日は早い。ぼくたちに振り分けられた担当は、一日三分割。五時から十二時まで一番担当。九時から十二時と、十五時から十八時まで二番担当。十五時から二十一時まで三番担当。十二時から十五時までは休憩時間の為、基本的には休みだ。
四人で順番にローテーション。二日働いて三日目休み。三日働いて四日目五日目に連休となる。休みはその時の二番担当。初日の今日は、名渡山だけ三番担当。その分、明日は休み。
そんな感じで組まれた予定表を見る。誰かと休みが一緒になる場合もあれば、一人の時もあった。この日は課題をやろう。一人で遊びになんて行けない。
「潤之介と休みが被るの、初回は八月二日か。なぁこの日、街に遊びに行こうぜ」
「うん、良いよっ。楽しみ。でもぼく、何処に何があるのか分からないから。臥竜と一緒に、行けそうなところを探したいな」
「おぅ、一緒にな」
「諸君っ。その為の観光ガイドなのだよぉ」
「おっ。たまにはやるな、名渡山」
「おぉ~、たまにはな~。って俺……褒められてるんだよな、田地ぃ?」
「まぁ、そんな感じだ。で、最終日八月二十五日。俺たち、揃って休みなわけじゃん。その日の行き場所も選出しないとだぜ?」
「そっかぁ。二人で先に行っちゃったら、四人で行く時に初めてじゃなくなるもんね」
「それならそっちから先に決めようぜ。名渡山の仕事開始には、まだ時間があるだろ。おれと潤之介は、後で決めるからよぉ」
「「おぅ」」
「楽しみぃ」
近くの駅までの行き帰りは。酪農家の誰かが出るついでに、車で送っていってくれるらしい。
とても助かる、至れり尽くせりだ。それに、公共交通サービスで自由行動だなんて。ぼく、ワクワクが止まらない。
※ ※ ※
夕食後。部屋でそれぞれの自由時間だ。
一ヶ月滞在する事もあり。学校の課題なども含めて、結構な荷物がある。それらを出して整頓しながら、それでもぼくはニコニコが止まらない。
「ふふっ」
「潤之介、楽しそうだなぁ」
「うん、スッゴク楽しい」
「来て良かったな」
「うんっ」
与えられた二人部屋。ぼくは臥竜と同室で、それも楽しい要因だった。
いつも宗颯寺──冴木家では、ぼくに個室が与えられている。叔父さんの家にいた時のような。四畳半の物置部屋じゃなく、立派な部屋だ。
和室だけど、綺麗で清潔感のある場所。これからぼくの部屋なのだと言われた時、思わず涙がでちゃった。臥竜や天照さんは慌ててたけど、嬉しくて仕方がなかったんだ。
今回は二人部屋だけど、それもまた新鮮で。本当に毎日幸せ。
酪農家の一日は早い。ぼくたちに振り分けられた担当は、一日三分割。五時から十二時まで一番担当。九時から十二時と、十五時から十八時まで二番担当。十五時から二十一時まで三番担当。十二時から十五時までは休憩時間の為、基本的には休みだ。
四人で順番にローテーション。二日働いて三日目休み。三日働いて四日目五日目に連休となる。休みはその時の二番担当。初日の今日は、名渡山だけ三番担当。その分、明日は休み。
そんな感じで組まれた予定表を見る。誰かと休みが一緒になる場合もあれば、一人の時もあった。この日は課題をやろう。一人で遊びになんて行けない。
「潤之介と休みが被るの、初回は八月二日か。なぁこの日、街に遊びに行こうぜ」
「うん、良いよっ。楽しみ。でもぼく、何処に何があるのか分からないから。臥竜と一緒に、行けそうなところを探したいな」
「おぅ、一緒にな」
「諸君っ。その為の観光ガイドなのだよぉ」
「おっ。たまにはやるな、名渡山」
「おぉ~、たまにはな~。って俺……褒められてるんだよな、田地ぃ?」
「まぁ、そんな感じだ。で、最終日八月二十五日。俺たち、揃って休みなわけじゃん。その日の行き場所も選出しないとだぜ?」
「そっかぁ。二人で先に行っちゃったら、四人で行く時に初めてじゃなくなるもんね」
「それならそっちから先に決めようぜ。名渡山の仕事開始には、まだ時間があるだろ。おれと潤之介は、後で決めるからよぉ」
「「おぅ」」
「楽しみぃ」
近くの駅までの行き帰りは。酪農家の誰かが出るついでに、車で送っていってくれるらしい。
とても助かる、至れり尽くせりだ。それに、公共交通サービスで自由行動だなんて。ぼく、ワクワクが止まらない。
※ ※ ※
夕食後。部屋でそれぞれの自由時間だ。
一ヶ月滞在する事もあり。学校の課題なども含めて、結構な荷物がある。それらを出して整頓しながら、それでもぼくはニコニコが止まらない。
「ふふっ」
「潤之介、楽しそうだなぁ」
「うん、スッゴク楽しい」
「来て良かったな」
「うんっ」
与えられた二人部屋。ぼくは臥竜と同室で、それも楽しい要因だった。
いつも宗颯寺──冴木家では、ぼくに個室が与えられている。叔父さんの家にいた時のような。四畳半の物置部屋じゃなく、立派な部屋だ。
和室だけど、綺麗で清潔感のある場所。これからぼくの部屋なのだと言われた時、思わず涙がでちゃった。臥竜や天照さんは慌ててたけど、嬉しくて仕方がなかったんだ。
今回は二人部屋だけど、それもまた新鮮で。本当に毎日幸せ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ココログラフィティ
御厨 匙
BL
【完結】難関高に合格した佐伯(さえき)は、荻原(おぎわら)に出会う。荻原の顔にはアザがあった。誰も寄せつけようとしない荻原のことが、佐伯は気になって仕方なく……? 平成青春グラフィティ。
(※なお表紙画はChatGPTです🤖)

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
孤独な蝶は仮面を被る
緋影 ナヅキ
BL
とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。
全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。
さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。
彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。
あの日、例の不思議な転入生が来るまでは…
ーーーーーーーーー
作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。
学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。
所々シリアス&コメディ(?)風味有り
*表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい
*多少内容を修正しました。2023/07/05
*お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25
*エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20

Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
「誕生日前日に世界が始まる」
悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です)
凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^
ほっこり読んでいただけたら♡
幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡
→書きたくなって番外編に少し続けました。
【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。
ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。
幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。
逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。
見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。
何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。
しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。
お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。
主人公楓目線の、片思いBL。
プラトニックラブ。
いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。
2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。
最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。
(この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。)
番外編は、2人の高校時代のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる