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エピローグ~世界を革命する者~
しおりを挟むその後、無事に殿下達は廃嫡、サワラーさんもエストック男爵に追い出され、みんな仲良く平民となりましたとさ……
そして――
「どうして『絆の剣』になれないの!?」
「私達の絆がまだ強くないと言うのか?」
「ありえない」
「俺達の愛も友情も本物のはず」
「だが、このままでは……」
「「「うわあぁぁぁ!」」」
設定通り異形の王が復活し王都へ攻め込んできた異形に、名誉挽回と意気揚々に挑んだ偽クリスことサワラーさん一行。
でも、剣の聖女の血筋ではないただの人である偽物は当然ですが『絆の剣』に変化できるはずもなくザコ相手に苦戦中。
「だから言ったのに」
「お前はレイピア!」
「何しに来た」
「貴様の出番など無いぞ!」
悪役令嬢……考えてみれば公爵家の人間で王家の血を引いていました。
なんで、私も『絆の剣』を使えるわけです。
しかも、ショーテルとの愛情はMAXです。
「あの愚か者共に本当の愛を教えて差し上げましょう」
「ええ、私とショーテルの愛こそ本物よ」
私の前でショーテルが両手を握って祈る。
「気高き想いの剣よ、お願い顕現して――世界を隔絶する力を!」
私は彼女の腰を抱くと叫んだ。
「世界を隔絶する力を!!」
ショーテルが光に包まれその身を『絆の剣』へと変えた。
「バ、バカな!」
「あの下女が『剣の聖女』だと言うのか!?」
「指輪は私が持っているのにどうして!?」
外野がうるさいですが無視です無視。
この『絆の剣』はショーテルそのもの。
私と彼女の愛の強さが剣の強さだ。
そして世界を隔絶する力こそ異形を斃す力。
異形達は異世界に本体を持つので目の前のおぞましい化け物をいくら攻撃しても無意味。
異世界とこの世界を隔絶しないと侵略を防げないのだ。
私は剣身を顔の前で立てる構えで異形の者を睨みつける。
「さあ私とショーテルの愛の重さを知れ……はぁっ!」
勢いよく突進する私は、まるで放たれた一本の矢。
一瞬にして間合いをつめ、私は突きを繰り出した。
「WRYRYYY!」
『絆の剣』の一撃を受けて断末魔を上げる異形の者。
「なっ!?」
「そんな!」
「一撃で!」
「お、俺達があんなに苦戦したのに」
これでわかったかしら?
あなた達まがい物とは違う私とショーテルの真実の愛を!
剣から元の姿に戻ったショーテルが私に熱い眼差しを向ける。
「お嬢様の為なら私はこの身が折れるまで戦います」
「大丈夫よ、私達の絆の強さが剣の強さ。あなたは決して折れないわ!」
私とショーテルの絆は誰にも引き裂けない!
「さあ、私達の戦いはこれからよ!」
その後、異形達との戦いは熾烈を極め、ヤケになって敵に寝返ったサワラーさん達を軽く一蹴した私達は激戦の末に異形の王を討伐するのに成功した。
その異形の王の残骸の前で佇む私とショーテル。
「これで私達の仲を邪魔する者はもういないわ」
「私の身も心もお嬢様のものです」
うっとりと陶酔した表情でしなだれる彼女を優しく抱き締める。
戦いの跡が残るこの場所で、夕陽に照らされた私達のシルエットは重なると何処までも伸びていった……
~fin~
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