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第3話 ガトー殿下の側近たち
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「私はイアリスが好きだ! 大好きだ!!」
また発作が始まりましたよ。
「誰よりも愛していると断言できる」
そんなの見てりゃ分かりますよ。
「だが、イアリスが私と同じ気持ちとは限らない」
「つまり、殿下とイアリス様はまだ想いが通い合っていないと?」
だから、イアリス様の心を読めないのですね。
「そうだ。イアリスはもしかしたら私を嫌っているかもしれない。ただ無関心なだけかもしれない」
「婚約を快諾しているんですから考え過ぎじゃないですかね?」
「いーや、伯爵家の彼女は王家の懇請を断りにくいはずだ。本当は渋々だったかもしれないだろ」
どっちでも良いじゃないですか。
殿下は好きな女性と結婚できるんですから。
「お互い好き合って夫婦になるもんだろ」
「政略結婚なんですから個人の感情は置いておきましょうよ」
ふぅ……殿下はもっとリアリストのはずだったのに、いつからこんなロマンチストになったのか。
「私はイアリスの嫌がることはしたくない」
冷徹な政治判断する癖に意外とピュアなんですねぇ。
「まあでもイアリス様が嫌がっているかは分かりませんよね?」
「そうなんだ。何とか彼女の気持ちを知る手段はないものか」
あの表情筋が死んだイアリス様の顔色を察するのは至難の業です。
「いっそ本人にお尋ねになられたらどうです?」
「そんなの直接聞けるか!!」
うるさいんでバンバン机を叩かないでください。
「だいたい本人を前にして『あなた嫌いです』なんてイアリスが言えると思うか?」
「難しいでしょうね」
しかも王族を相手なんですから、間違いなくイアリス様には「好きです」か「愛してます」の二択しかありません。もうそれで良くないです?
「ですが、婚約した以上はイアリス様には殿下と結婚する以外にないでしょう?」
「それは……」
「それとも殿下の方から婚約破棄でもしますか?」
「できるわけなかろうベニエ・フレスやブレスト・パーリじゃあるまいし」
ベニエ様とブレスト様は殿下の元側近です。
お二方とも婚約者がいる身でノエル・ブッシュという男爵令嬢浮気して、ついには濡れ衣を着せて婚約破棄にまで発展した愚か者です。
「件の男爵令嬢を虐めたとか冤罪をかけるのは拙いですよね」
「二人とも能力はあったのに、どうしてあんな馬鹿な真似をしたのか」
浮気までなら救いようもあったのですが、さすがに冤罪で貴族令嬢の名誉を損ねたのはやり過ぎでした。
二人とも殿下の側近をクビになって実家で幽閉されております。
「最近はアレクまでがノエル・ブッシュに懸想しているみたいなんだ」
アレク・エコーチョ様も殿下の側近の一人です。
「アレク様の婚約者はキルシュ・テトル様でしたよね?」
「ああ、イアリスほどではないが『黒百合の君』と呼ばれる美女だ」
私には冷たいイアリス様より柔らかく微笑まれるキルシュ様の方が魅力的に思え……ちょっと睨まないでくださいよ殿下!
お願いですから心読むの止めてください!
また発作が始まりましたよ。
「誰よりも愛していると断言できる」
そんなの見てりゃ分かりますよ。
「だが、イアリスが私と同じ気持ちとは限らない」
「つまり、殿下とイアリス様はまだ想いが通い合っていないと?」
だから、イアリス様の心を読めないのですね。
「そうだ。イアリスはもしかしたら私を嫌っているかもしれない。ただ無関心なだけかもしれない」
「婚約を快諾しているんですから考え過ぎじゃないですかね?」
「いーや、伯爵家の彼女は王家の懇請を断りにくいはずだ。本当は渋々だったかもしれないだろ」
どっちでも良いじゃないですか。
殿下は好きな女性と結婚できるんですから。
「お互い好き合って夫婦になるもんだろ」
「政略結婚なんですから個人の感情は置いておきましょうよ」
ふぅ……殿下はもっとリアリストのはずだったのに、いつからこんなロマンチストになったのか。
「私はイアリスの嫌がることはしたくない」
冷徹な政治判断する癖に意外とピュアなんですねぇ。
「まあでもイアリス様が嫌がっているかは分かりませんよね?」
「そうなんだ。何とか彼女の気持ちを知る手段はないものか」
あの表情筋が死んだイアリス様の顔色を察するのは至難の業です。
「いっそ本人にお尋ねになられたらどうです?」
「そんなの直接聞けるか!!」
うるさいんでバンバン机を叩かないでください。
「だいたい本人を前にして『あなた嫌いです』なんてイアリスが言えると思うか?」
「難しいでしょうね」
しかも王族を相手なんですから、間違いなくイアリス様には「好きです」か「愛してます」の二択しかありません。もうそれで良くないです?
「ですが、婚約した以上はイアリス様には殿下と結婚する以外にないでしょう?」
「それは……」
「それとも殿下の方から婚約破棄でもしますか?」
「できるわけなかろうベニエ・フレスやブレスト・パーリじゃあるまいし」
ベニエ様とブレスト様は殿下の元側近です。
お二方とも婚約者がいる身でノエル・ブッシュという男爵令嬢浮気して、ついには濡れ衣を着せて婚約破棄にまで発展した愚か者です。
「件の男爵令嬢を虐めたとか冤罪をかけるのは拙いですよね」
「二人とも能力はあったのに、どうしてあんな馬鹿な真似をしたのか」
浮気までなら救いようもあったのですが、さすがに冤罪で貴族令嬢の名誉を損ねたのはやり過ぎでした。
二人とも殿下の側近をクビになって実家で幽閉されております。
「最近はアレクまでがノエル・ブッシュに懸想しているみたいなんだ」
アレク・エコーチョ様も殿下の側近の一人です。
「アレク様の婚約者はキルシュ・テトル様でしたよね?」
「ああ、イアリスほどではないが『黒百合の君』と呼ばれる美女だ」
私には冷たいイアリス様より柔らかく微笑まれるキルシュ様の方が魅力的に思え……ちょっと睨まないでくださいよ殿下!
お願いですから心読むの止めてください!
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