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第10章 その陰謀、本当に必要ですか?
第118話 それは愛のなせる業
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「それは愛だ!」
突然、スレインが両手を広げて天井を仰いだ。
その姿はまるで天啓を授かった神官のようだ。
「はぁ?」
スレインの意味不明言動にセルランは開いた口が塞がらない。
「全てはエル様のウェルシェ様への愛のなせる業!」
出たよドリーマー従者、とセルランは同僚の天然に辟易した。
「よく考えてもみろセルラン」
だが、スレインは止まらない。
「ウェルシェ様と婚約してからエル様は少しずつご成長あそばされているだろう」
「何を言ってんだ。そんなわけ……」
いや、待てよとセルランは言葉を切った。
(今日の変化は劇的だったが、確かに殿下は婚約してからの成長は著しいぞ)
「思い当たるだろ?」
「まあ……そうだな……」
「やはり愛なのだ。愛の力は偉大なり!」
おめでたいスレインにはついていけないが、ウェルシェとの婚約がエーリックに大きな変化を齎したのは事実のようだ。
(あの腹黒令嬢は腹に一物があると思ってたんだがなぁ……)
実はオルメリアのお茶会の件でセルランはウェルシェについて調査しており、彼女が見た目通りの『妖精姫』ではないと既に知っていた。
(今回もレーキ達を使った陰謀かとも考えたが……)
その過程でウェルシェがレーキ達を傘下に収めているのも既にセルランは掴んでいる。
だから、セルランはレーキ達がウェルシェを害する事はないと知っていたし、むしろウェルシェが彼らを使って良からぬ事を企てているのではと勘繰っていた。
(さすがにスレインみたく愛の力とは思わんが、姫さんが殿下に良い影響を与えているのは間違いなさそうだ)
それならもうしばらく様子見しても良いかと、セルランは傍観者になる事にした。
「伝手があるから俺がレーキ達に接触してくらぁ」
「そうなのか? セルランは本当に顔が広いな」
さすがだとスレインが褒めた。その同僚を疑わないおめでたい性格の良さに、セルランはため息が出そうになった。
「お前も殿下も幸せだよなぁ」
「うむ、私はともかくエル様には幸せになってもらいたいものだ」
「……そうだな」
しかしながら、この人の好い主従のために奔走しようと考えている自分もだいぶん毒されているなと、セルランは自嘲が漏れた。
「だけど俺はお前にも幸せになって欲しいよ」
だからセルランは腹黒については教えない方が良いと判断した。
それがきっと二人にとって幸せなのだと思うから……
突然、スレインが両手を広げて天井を仰いだ。
その姿はまるで天啓を授かった神官のようだ。
「はぁ?」
スレインの意味不明言動にセルランは開いた口が塞がらない。
「全てはエル様のウェルシェ様への愛のなせる業!」
出たよドリーマー従者、とセルランは同僚の天然に辟易した。
「よく考えてもみろセルラン」
だが、スレインは止まらない。
「ウェルシェ様と婚約してからエル様は少しずつご成長あそばされているだろう」
「何を言ってんだ。そんなわけ……」
いや、待てよとセルランは言葉を切った。
(今日の変化は劇的だったが、確かに殿下は婚約してからの成長は著しいぞ)
「思い当たるだろ?」
「まあ……そうだな……」
「やはり愛なのだ。愛の力は偉大なり!」
おめでたいスレインにはついていけないが、ウェルシェとの婚約がエーリックに大きな変化を齎したのは事実のようだ。
(あの腹黒令嬢は腹に一物があると思ってたんだがなぁ……)
実はオルメリアのお茶会の件でセルランはウェルシェについて調査しており、彼女が見た目通りの『妖精姫』ではないと既に知っていた。
(今回もレーキ達を使った陰謀かとも考えたが……)
その過程でウェルシェがレーキ達を傘下に収めているのも既にセルランは掴んでいる。
だから、セルランはレーキ達がウェルシェを害する事はないと知っていたし、むしろウェルシェが彼らを使って良からぬ事を企てているのではと勘繰っていた。
(さすがにスレインみたく愛の力とは思わんが、姫さんが殿下に良い影響を与えているのは間違いなさそうだ)
それならもうしばらく様子見しても良いかと、セルランは傍観者になる事にした。
「伝手があるから俺がレーキ達に接触してくらぁ」
「そうなのか? セルランは本当に顔が広いな」
さすがだとスレインが褒めた。その同僚を疑わないおめでたい性格の良さに、セルランはため息が出そうになった。
「お前も殿下も幸せだよなぁ」
「うむ、私はともかくエル様には幸せになってもらいたいものだ」
「……そうだな」
しかしながら、この人の好い主従のために奔走しようと考えている自分もだいぶん毒されているなと、セルランは自嘲が漏れた。
「だけど俺はお前にも幸せになって欲しいよ」
だからセルランは腹黒については教えない方が良いと判断した。
それがきっと二人にとって幸せなのだと思うから……
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