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第9章 その乙女ゲーム、本当に必要ですか?
第102話 支離滅裂
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「誰がマゾよ!!」
「いえ、でも……自分をイジメて欲しいと仰られたではありませんか」
変態は自分が変態だと認識していないものなのね、とウェルシェは奇妙に納得してしまった。
「違うわよ!」
「それではどんな意味ですの?」
「だからぁ、あんたが私をイジメてザマァされろって言ってんの」
「どうして私があなたをイジメてザマァされなければいけませんの?」
イジメる理由もなければザマァされる謂れもない。
「それが悪役令嬢の役目だからよ!」
「ザマァされる為にしたくもないイジメをしろと?」
なんだその理不尽は!?
「そうじゃないとエーリックの『わんこルート』が開放されないじゃない!」
「――ッ!?」
アイリスの言っている意味を完全には理解できないが、『わんこルート』が何を指しているか分かりウェルシェはギョッとした。
「あなた、まさかエーリック様を犬呼ばわりしているのですか!?」
「そうよ。エーリックは純情従順なわんこ王子って人気のルートなのは常識じゃない」
「王族を犬扱いにする常識なんてありません!」
何なのだこの異常な少女は?
「それに比べてケヴィンはやーね。ヤンデレなんて趣味じゃないの」
「あなた正気ですの?」
王族や高位貴族の子弟を呼び捨てしてトンデモ発言を繰り返すアイリスは常軌を逸している。
「本当はケヴィンなんてどーでも良かったのよ。それでもわんこルートの開放条件だからケヴィンを攻略したのに、肝心の悪役令嬢が仕事しないし……」
「先程からあなたは何の話をしているんです?」
まったく話が通じない目の前の愛らしい少女に、ウェルシェは恐怖に似たものを感じた。
「ケヴィンに惚れてるあんたが彼に付き纏わないから、仕方なく私がケヴィンを誘導してあげたのよ」
何だその上から目線は?
「してあげたって……私はセギュル様に恋慕の情など抱いておりませんが?」
「それなのに、何であんたケヴィンを拒否るのよ」
「当たり前です。私はエーリック様の婚約者ですよ」
「あんたはケヴィンに惚れるの!」
めちゃくちゃである。
まるで会話にならない。
「いい! それがあんたの役目なんだから、しっかり仕事してよね!」
「ですから、いったいあなたは何を言っているのです?」
「私が言ってる意味が分からないってんなら、あんたは『NPC』なのよね?」
NPC?――また意味不明な単語だ。
だが、アイリスは説明するつもりもないようで、ただ自分の言いたい事だけ捲し立てた。
「あんたが転生者じゃないってんならNPCとして決められた通りに動きなさいよ!」
「いえ、でも……自分をイジメて欲しいと仰られたではありませんか」
変態は自分が変態だと認識していないものなのね、とウェルシェは奇妙に納得してしまった。
「違うわよ!」
「それではどんな意味ですの?」
「だからぁ、あんたが私をイジメてザマァされろって言ってんの」
「どうして私があなたをイジメてザマァされなければいけませんの?」
イジメる理由もなければザマァされる謂れもない。
「それが悪役令嬢の役目だからよ!」
「ザマァされる為にしたくもないイジメをしろと?」
なんだその理不尽は!?
「そうじゃないとエーリックの『わんこルート』が開放されないじゃない!」
「――ッ!?」
アイリスの言っている意味を完全には理解できないが、『わんこルート』が何を指しているか分かりウェルシェはギョッとした。
「あなた、まさかエーリック様を犬呼ばわりしているのですか!?」
「そうよ。エーリックは純情従順なわんこ王子って人気のルートなのは常識じゃない」
「王族を犬扱いにする常識なんてありません!」
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「それに比べてケヴィンはやーね。ヤンデレなんて趣味じゃないの」
「あなた正気ですの?」
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「本当はケヴィンなんてどーでも良かったのよ。それでもわんこルートの開放条件だからケヴィンを攻略したのに、肝心の悪役令嬢が仕事しないし……」
「先程からあなたは何の話をしているんです?」
まったく話が通じない目の前の愛らしい少女に、ウェルシェは恐怖に似たものを感じた。
「ケヴィンに惚れてるあんたが彼に付き纏わないから、仕方なく私がケヴィンを誘導してあげたのよ」
何だその上から目線は?
「してあげたって……私はセギュル様に恋慕の情など抱いておりませんが?」
「それなのに、何であんたケヴィンを拒否るのよ」
「当たり前です。私はエーリック様の婚約者ですよ」
「あんたはケヴィンに惚れるの!」
めちゃくちゃである。
まるで会話にならない。
「いい! それがあんたの役目なんだから、しっかり仕事してよね!」
「ですから、いったいあなたは何を言っているのです?」
「私が言ってる意味が分からないってんなら、あんたは『NPC』なのよね?」
NPC?――また意味不明な単語だ。
だが、アイリスは説明するつもりもないようで、ただ自分の言いたい事だけ捲し立てた。
「あんたが転生者じゃないってんならNPCとして決められた通りに動きなさいよ!」
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