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第8章 そのザマァ、本当に必要ですか?
第89話 そのザマァ、本当に必要ですか?
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「分かったわよ。以後は気をつけますぅ」
カミラに睨まれウェルシェは口を尖らせた。
「ホントですかぁ?」
そんな態度にカミラはウェルシェの言葉を疑った。
「お嬢様はとても優秀ですが、悪ノリして目的そっちのけで手段を楽しむ傾向がございますから」
「そんな事……」
「ありますよね!」
カミラにピシャリと強く言われてウェルシェの目が泳ぎだす。
「お嬢様は楽しみ優先の快楽刹那主義者ですから……今回の件だってオーウェン殿下をちょっと追い詰め過ぎたのではありませんか?」
ぐぬぬぬぬ……自覚のある確信犯ウェルシェは言い返せない。
確かに今回もついつい楽しくなってやり過ぎた。
王妃オルメリアのお茶会まで新たに配下にしたレーキやジョウジ達を使って色々と蠢動していたウェルシェであるが、裏工作が楽しくなってついケヴィンだけでなくオーウェンまでも追い詰めてしまった。
「ただ単に目的を遂行するよりも楽しんだ方がいいじゃない?」
「まあ、私は構いませんよ」
嘯くウェルシェだったがカミラは澄まし顔で痛恨の一撃を放つ。
「ですが、オーウェン殿下が即位できなくなって困るのはお嬢様ですよね?」
「ぐはッ!」
そうなのだ。
オーウェンが悔い改めてくれないとエーリックに順番が回ってきてしまう。
「オーウェン殿下が失脚するのも時間の問題ですねぇ」
「それは拙いわ!」
「このままではエーリック殿下が王太子に……そうなるとお嬢様が王太子妃に、ゆくゆくは王妃ですか」
それも良いかもしれませんねとカミラが呟けば、ウェルシェはガタリと椅子を蹴って立ち上がり両手を✕に交差させる。
「それは絶対にイヤ!!!」
冗談ではない!
ウェルシェそんな面倒断固拒否!!
「まったく……お嬢様自身が撒いた種ではありませんか」
我が儘ですねぇとカミラは呆れ顔だ。
「だって、まさか何か問題を起こしたわけではないオーウェン殿下の罰がここまで重くなるなんて思わないじゃない」
在学中に汚名を返上できなければ王位継承を剥奪されてしまうのだ。かなり重い処罰と言わざるを得ない。
「それにあれだけ好き勝手されたのよ。少しは痛い目に遭わせなきゃ気が済まないわ」
ちょっとお灸を据えるつもりだった。
まあ、ほんのすこ~しグロラッハ家におこぼれを頂こうかな、と邪な気持ちはあったし、ほんのちょっぴり悪巧みが楽しくなってしまったところはあったが……
「一時の溜飲を下げる為に自分まで損害受けてたら世話ありませんね」
はっ!とカミラはバカにして笑う。
専属侍女にあるまじき所業である。
「カミラ! あなた私の侍女よね!! 私があなたの主人よね!!!」
カミラに甘いウェルシェもさすがにバンバンとテーブルを叩いて猛抗議だ。
「はい、私は幼い頃よりお嬢様にお仕えしている忠実な侍女にございます。ゆえにご忠告せねばならないのです」
主人の不興にも鉄面皮の侍女は素知らぬ顔で言ってのけた。
「そのザマァ、本当に必要だったんですか?」
カミラに睨まれウェルシェは口を尖らせた。
「ホントですかぁ?」
そんな態度にカミラはウェルシェの言葉を疑った。
「お嬢様はとても優秀ですが、悪ノリして目的そっちのけで手段を楽しむ傾向がございますから」
「そんな事……」
「ありますよね!」
カミラにピシャリと強く言われてウェルシェの目が泳ぎだす。
「お嬢様は楽しみ優先の快楽刹那主義者ですから……今回の件だってオーウェン殿下をちょっと追い詰め過ぎたのではありませんか?」
ぐぬぬぬぬ……自覚のある確信犯ウェルシェは言い返せない。
確かに今回もついつい楽しくなってやり過ぎた。
王妃オルメリアのお茶会まで新たに配下にしたレーキやジョウジ達を使って色々と蠢動していたウェルシェであるが、裏工作が楽しくなってついケヴィンだけでなくオーウェンまでも追い詰めてしまった。
「ただ単に目的を遂行するよりも楽しんだ方がいいじゃない?」
「まあ、私は構いませんよ」
嘯くウェルシェだったがカミラは澄まし顔で痛恨の一撃を放つ。
「ですが、オーウェン殿下が即位できなくなって困るのはお嬢様ですよね?」
「ぐはッ!」
そうなのだ。
オーウェンが悔い改めてくれないとエーリックに順番が回ってきてしまう。
「オーウェン殿下が失脚するのも時間の問題ですねぇ」
「それは拙いわ!」
「このままではエーリック殿下が王太子に……そうなるとお嬢様が王太子妃に、ゆくゆくは王妃ですか」
それも良いかもしれませんねとカミラが呟けば、ウェルシェはガタリと椅子を蹴って立ち上がり両手を✕に交差させる。
「それは絶対にイヤ!!!」
冗談ではない!
ウェルシェそんな面倒断固拒否!!
「まったく……お嬢様自身が撒いた種ではありませんか」
我が儘ですねぇとカミラは呆れ顔だ。
「だって、まさか何か問題を起こしたわけではないオーウェン殿下の罰がここまで重くなるなんて思わないじゃない」
在学中に汚名を返上できなければ王位継承を剥奪されてしまうのだ。かなり重い処罰と言わざるを得ない。
「それにあれだけ好き勝手されたのよ。少しは痛い目に遭わせなきゃ気が済まないわ」
ちょっとお灸を据えるつもりだった。
まあ、ほんのすこ~しグロラッハ家におこぼれを頂こうかな、と邪な気持ちはあったし、ほんのちょっぴり悪巧みが楽しくなってしまったところはあったが……
「一時の溜飲を下げる為に自分まで損害受けてたら世話ありませんね」
はっ!とカミラはバカにして笑う。
専属侍女にあるまじき所業である。
「カミラ! あなた私の侍女よね!! 私があなたの主人よね!!!」
カミラに甘いウェルシェもさすがにバンバンとテーブルを叩いて猛抗議だ。
「はい、私は幼い頃よりお嬢様にお仕えしている忠実な侍女にございます。ゆえにご忠告せねばならないのです」
主人の不興にも鉄面皮の侍女は素知らぬ顔で言ってのけた。
「そのザマァ、本当に必要だったんですか?」
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