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第4章 その暗躍、本当に必要ですか?
第50話 腹黒令嬢と専属侍女part4
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「いっそエーリック殿下が即位なさる後押しをされて、お嬢様が王妃になっても良いのではありませんか?」
「それじゃグロラッハ家の陞爵の話が流れるじゃない」
この婚約によるグロラッハ家の公爵への陞爵は、エーリックが当主になるのが絶対条件である。
「ですが、王妃になれば公爵への栄達よりもグロラッハ家への恩恵が大きくないです?」
「何を言っているの。王妃になれば国母として国全体を考えねばならないわ。グロラッハ領だけを優遇するわけにはいかなくなるでしょ」
「ふーん」
もっともらしく言い訳するウェルシェに疑いの目を向けるカミラ。
「それで本音は?」
「いやぁよ王妃なんてメンド臭い!」
ウェルシェは腹黒だが、それは諧謔であり領民思いの根は善性な令嬢だ。だが、自己犠牲の精神が旺盛なわけではない。
「王妃様のご苦労を目の当たりにしたら、あんなの率先してなりたいって思えないわよ」
「王妃をあんなのって……まあ、オルメリア様が可哀想なくらい気苦労の絶えないお方なのには同意しますが」
側妃エレオノーラと第二王子エーリックに気を使い、自分の息子の後継問題に波風を立てぬよう八方手を尽くしたのはオルメリアである。
その甲斐あって今の今まで順調であった……のだが、その平穏を壊す者が現れた。
当の愚息オーウェンである。
オルメリアは彼の為に頑張ってきたのに、恩恵を受けていた当人にちゃぶ台をひっくり返されたのだ。
まったく涙が出そうな珍事である。
王妃の苦労も偲ばれると言うもの。
「私は公爵夫人くらいで好き勝手やってる方が楽でいいわ」
「私としましては是非お嬢様には王妃を目指して欲しいものです」
「どうしてよ?」
「お嬢様を野放しにしたら、周囲の者が苦労するからです」
「酷ッ!?」
つまりカミラとしてはウェルシェに王妃と言う首輪を付けたいのだ。
「ねぇ、私はカミラの主人よね?」
「はい」
「あなたは私の侍女よね?」
「はい、いつもお嬢様の腹黒の準備から後始末まで苦労させられている侍女にございます」
「ぐっ、悪かったわね」
いつも好き勝手できるのも有能な侍女あってのこと。ゆえに、この侍女に苦労を掛けてる自覚のあるウェルシェは速攻で白旗を挙げた。
「それでどう対処されるおつもりで?」
「王妃様が主催されるお茶会でオーウェン殿下の行状を暴露してやるのよ」
ふっふっふっとウェルシェは黒い笑みを浮かべる。
「この際だからケヴィン様だけではなく殿下にも痛い目を見てもらいましょ」
王妃オルメリアの有能っぷりはウェルシェの耳にも届いていた。間違いなくオーウェンは叱責を食らうだろうとウェルシェは確信している。
「少しは反省してもらわないと国民が不幸だわ」
「へぇ……」
感心したような声を漏らしたカミラであるが、これっぽっちも信じてなさそうに胡乱げな視線を主人に向けた。
「で、その心は?」
ウェルシェはグッと拳を握って突き上げた。
「これを機に王家から絞れるだけ絞り取ってやるのよ!」
「やっぱり!」
予想通りとカミラは天井を仰いだ。やはり、どこまでいってもウェルシェはウェルシェなのだ。
「大丈夫ですか? 下手をすればオーウェン殿下だけではなく王妃様まで敵に回しかねませんが」
「王妃様は賢明な方らしいから大丈夫よ」
カミラの心配などウェルシェにとってどこ吹く風。
「それに、もし王妃様がオーウェン殿下を庇うような愚かな真似をするなら、陛下まで巻き込んで絞り取るものが増えるだけだし」
自信満々なウェルシェの態度にカミラはボソリと呟いた。
「……私は王妃様が憐れでなりません」
「それじゃグロラッハ家の陞爵の話が流れるじゃない」
この婚約によるグロラッハ家の公爵への陞爵は、エーリックが当主になるのが絶対条件である。
「ですが、王妃になれば公爵への栄達よりもグロラッハ家への恩恵が大きくないです?」
「何を言っているの。王妃になれば国母として国全体を考えねばならないわ。グロラッハ領だけを優遇するわけにはいかなくなるでしょ」
「ふーん」
もっともらしく言い訳するウェルシェに疑いの目を向けるカミラ。
「それで本音は?」
「いやぁよ王妃なんてメンド臭い!」
ウェルシェは腹黒だが、それは諧謔であり領民思いの根は善性な令嬢だ。だが、自己犠牲の精神が旺盛なわけではない。
「王妃様のご苦労を目の当たりにしたら、あんなの率先してなりたいって思えないわよ」
「王妃をあんなのって……まあ、オルメリア様が可哀想なくらい気苦労の絶えないお方なのには同意しますが」
側妃エレオノーラと第二王子エーリックに気を使い、自分の息子の後継問題に波風を立てぬよう八方手を尽くしたのはオルメリアである。
その甲斐あって今の今まで順調であった……のだが、その平穏を壊す者が現れた。
当の愚息オーウェンである。
オルメリアは彼の為に頑張ってきたのに、恩恵を受けていた当人にちゃぶ台をひっくり返されたのだ。
まったく涙が出そうな珍事である。
王妃の苦労も偲ばれると言うもの。
「私は公爵夫人くらいで好き勝手やってる方が楽でいいわ」
「私としましては是非お嬢様には王妃を目指して欲しいものです」
「どうしてよ?」
「お嬢様を野放しにしたら、周囲の者が苦労するからです」
「酷ッ!?」
つまりカミラとしてはウェルシェに王妃と言う首輪を付けたいのだ。
「ねぇ、私はカミラの主人よね?」
「はい」
「あなたは私の侍女よね?」
「はい、いつもお嬢様の腹黒の準備から後始末まで苦労させられている侍女にございます」
「ぐっ、悪かったわね」
いつも好き勝手できるのも有能な侍女あってのこと。ゆえに、この侍女に苦労を掛けてる自覚のあるウェルシェは速攻で白旗を挙げた。
「それでどう対処されるおつもりで?」
「王妃様が主催されるお茶会でオーウェン殿下の行状を暴露してやるのよ」
ふっふっふっとウェルシェは黒い笑みを浮かべる。
「この際だからケヴィン様だけではなく殿下にも痛い目を見てもらいましょ」
王妃オルメリアの有能っぷりはウェルシェの耳にも届いていた。間違いなくオーウェンは叱責を食らうだろうとウェルシェは確信している。
「少しは反省してもらわないと国民が不幸だわ」
「へぇ……」
感心したような声を漏らしたカミラであるが、これっぽっちも信じてなさそうに胡乱げな視線を主人に向けた。
「で、その心は?」
ウェルシェはグッと拳を握って突き上げた。
「これを機に王家から絞れるだけ絞り取ってやるのよ!」
「やっぱり!」
予想通りとカミラは天井を仰いだ。やはり、どこまでいってもウェルシェはウェルシェなのだ。
「大丈夫ですか? 下手をすればオーウェン殿下だけではなく王妃様まで敵に回しかねませんが」
「王妃様は賢明な方らしいから大丈夫よ」
カミラの心配などウェルシェにとってどこ吹く風。
「それに、もし王妃様がオーウェン殿下を庇うような愚かな真似をするなら、陛下まで巻き込んで絞り取るものが増えるだけだし」
自信満々なウェルシェの態度にカミラはボソリと呟いた。
「……私は王妃様が憐れでなりません」
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