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Chapetr1
050 レティシアと街中華
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嫌がる女の子達を無理矢理車に詰め込む。
完全にアウトな内容だけど、私はなんか楽しくなっていた。
「ほら!さっさと車に乗り込むんだよ!」
「泣いても誰も助けてくれないよ。観念することね!」
保護者も本人も同意しているので、実は完全セーフである。
この何ヶ月かでいつの間にため込んだのか、彼女たちの部屋の荷物は、かなりの量になっていた。笑顔の別れを想像していた私がキレたことで、各家庭から車を出してもらい、この強制送還劇となったのだ。
私の世話をするために派遣した娘達が、実はお世話されていて、だらけ放題やりたい放題していた事実に、各家庭のご両親達はただひたすら謝るばかり。
まだ少し寒さが残る日だったが、彼女たちを追い出すために、すっかり汗をかいてしまった。
私だって寂しくないわけじゃない。でも私だってだらけたい。具体的にはシャワー後は下着姿で涼みたい!
彼女たちの使っていた部屋を片づけよう。忘れ物もあるだろう、ほら、パンツがあった。
ゴミだけは注意させていたから、大変なことにはなっていない。布団にはさまれていろんな物が行方不明になるから、レンタル業者に返す前にベランダで一つ一つ広げて確認だ。下着に化粧品、ゲームソフト?お菓子の包み紙!子供か!……後でもって行ってやろう。
片付けして、洗濯して、くつろいで昼前。久しぶりに何も考えずのんびりした。さて、忘れ物を届けてやろう。
マリーとソフィアの家に行ったけど、二人は出てこなかった。物は預けて、昼食の誘いは丁寧に断った。
久しぶりに歩きたい。
学校下の谷の区域は星都に来てすぐ歩いたことはあった。最近はご無沙汰だ。何か美味しい物がある気がしてならない。
散策していると、一件の店が私を「見た」。そう感じられるほどのすさまじい威圧感ッ!
「ほう、ギョーザか」
古びてくたびれた、失礼な言い方では「小汚い」中華料理店。発祥地から遠く離れた国に根付いた場合は、創作中華と呼ばれるジャンルに変身することが多い。この店は創作中華が更に進化した仏風創作中華と言えるだろう。
わたしのギョーザに対する拘りなんてほとんどない。スタイルは焼きで羽根は不要だ。皮はモッチリよりパリパリが良い。餡は野菜多めでジンジャーが効いていて、ガーリックはやや強め。タレは可能であれば、酢醤油とゴマだれ二種類欲しい。そしてライス、ここはジャポニカ種一択だ。やや堅めで炊いていただきたい。
オレンジの色硝子が嵌められたサッシ戸を開けて店内に入る。四人掛けのテーブルが二つ、六人程度のカウンター席。調度品は豪華ではないが長年使い込まれた物に宿る魂がのようなもの感じられた。先程の圧はこれらから発せられていたのだろう。
「いらっしゃい」
私はカウンター席に座ると同時にコップに入った冷たい水が出される。目の前の壁に掛かっているメニュー札をながめる。
「ギョーザを二人前……焼きで」
「ニンニクは抜くかい?」
「いえ。それとライスを大で」
「……ギョーザ定食にすれば。スープと小鉢の油淋鶏が付くぜ?」
「!……おじさま、定食で……お願い」
私が「徘徊グルメ美人レティシア」だと感づかれたか?
「待ってな」
落ち着かない。数人いる他のお客も相当な手練れのように感じてしまう。隙を見せると飲み込まれてしまいそうだ!
「おまちどう」
目の前に料理が載った皿が次々と置かれていく。
ビジュアルは完璧だ、期待感しかない。流石にゴマだれはないようだ。アレは地球でも地域の限られた調味料だと聞いた。
ライスも粒が立っていて、期待感しかない!
そして、運命の一口。最初は何もつけずに……
「んん!」
汁が……!肉が!
「あっつい!」
いざ食べ出すとウンチクは無用。まだ半口なのにライスが必要!
夢中で3つ食べた。
水を飲み汗を拭う。ふと視線を感じると、おじさまも後ろのお客さんもニコニコ笑ってた。
「お嬢さん、うまいかい?」
「ええ、おじさま!その、言葉には上手くできないけど、最高に美味しいわ!」
「それは嬉しいね」
あとはもう夢中で食べた。
フレンチとかなんとか、ジンジャーとかなんとか全て吹っ飛ぶ美味しさよ。
餃子定食大盛の完食女性記録を大幅に更新……。
完全にアウトな内容だけど、私はなんか楽しくなっていた。
「ほら!さっさと車に乗り込むんだよ!」
「泣いても誰も助けてくれないよ。観念することね!」
保護者も本人も同意しているので、実は完全セーフである。
この何ヶ月かでいつの間にため込んだのか、彼女たちの部屋の荷物は、かなりの量になっていた。笑顔の別れを想像していた私がキレたことで、各家庭から車を出してもらい、この強制送還劇となったのだ。
私の世話をするために派遣した娘達が、実はお世話されていて、だらけ放題やりたい放題していた事実に、各家庭のご両親達はただひたすら謝るばかり。
まだ少し寒さが残る日だったが、彼女たちを追い出すために、すっかり汗をかいてしまった。
私だって寂しくないわけじゃない。でも私だってだらけたい。具体的にはシャワー後は下着姿で涼みたい!
彼女たちの使っていた部屋を片づけよう。忘れ物もあるだろう、ほら、パンツがあった。
ゴミだけは注意させていたから、大変なことにはなっていない。布団にはさまれていろんな物が行方不明になるから、レンタル業者に返す前にベランダで一つ一つ広げて確認だ。下着に化粧品、ゲームソフト?お菓子の包み紙!子供か!……後でもって行ってやろう。
片付けして、洗濯して、くつろいで昼前。久しぶりに何も考えずのんびりした。さて、忘れ物を届けてやろう。
マリーとソフィアの家に行ったけど、二人は出てこなかった。物は預けて、昼食の誘いは丁寧に断った。
久しぶりに歩きたい。
学校下の谷の区域は星都に来てすぐ歩いたことはあった。最近はご無沙汰だ。何か美味しい物がある気がしてならない。
散策していると、一件の店が私を「見た」。そう感じられるほどのすさまじい威圧感ッ!
「ほう、ギョーザか」
古びてくたびれた、失礼な言い方では「小汚い」中華料理店。発祥地から遠く離れた国に根付いた場合は、創作中華と呼ばれるジャンルに変身することが多い。この店は創作中華が更に進化した仏風創作中華と言えるだろう。
わたしのギョーザに対する拘りなんてほとんどない。スタイルは焼きで羽根は不要だ。皮はモッチリよりパリパリが良い。餡は野菜多めでジンジャーが効いていて、ガーリックはやや強め。タレは可能であれば、酢醤油とゴマだれ二種類欲しい。そしてライス、ここはジャポニカ種一択だ。やや堅めで炊いていただきたい。
オレンジの色硝子が嵌められたサッシ戸を開けて店内に入る。四人掛けのテーブルが二つ、六人程度のカウンター席。調度品は豪華ではないが長年使い込まれた物に宿る魂がのようなもの感じられた。先程の圧はこれらから発せられていたのだろう。
「いらっしゃい」
私はカウンター席に座ると同時にコップに入った冷たい水が出される。目の前の壁に掛かっているメニュー札をながめる。
「ギョーザを二人前……焼きで」
「ニンニクは抜くかい?」
「いえ。それとライスを大で」
「……ギョーザ定食にすれば。スープと小鉢の油淋鶏が付くぜ?」
「!……おじさま、定食で……お願い」
私が「徘徊グルメ美人レティシア」だと感づかれたか?
「待ってな」
落ち着かない。数人いる他のお客も相当な手練れのように感じてしまう。隙を見せると飲み込まれてしまいそうだ!
「おまちどう」
目の前に料理が載った皿が次々と置かれていく。
ビジュアルは完璧だ、期待感しかない。流石にゴマだれはないようだ。アレは地球でも地域の限られた調味料だと聞いた。
ライスも粒が立っていて、期待感しかない!
そして、運命の一口。最初は何もつけずに……
「んん!」
汁が……!肉が!
「あっつい!」
いざ食べ出すとウンチクは無用。まだ半口なのにライスが必要!
夢中で3つ食べた。
水を飲み汗を拭う。ふと視線を感じると、おじさまも後ろのお客さんもニコニコ笑ってた。
「お嬢さん、うまいかい?」
「ええ、おじさま!その、言葉には上手くできないけど、最高に美味しいわ!」
「それは嬉しいね」
あとはもう夢中で食べた。
フレンチとかなんとか、ジンジャーとかなんとか全て吹っ飛ぶ美味しさよ。
餃子定食大盛の完食女性記録を大幅に更新……。
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