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Chapetr1
030 レティシアと嵐の日
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嵐が来るらしい。
夏が終わって秋に向かう季節。
マリパパが言うにはようやく暖まった海がため込んだその力を解放するのだ!らしい。ヒャッハーとか言い出したので、マリーにプイされて泣いていた。
「ゴメン、やっぱ自分ち戻るわ」
「ダメ」
このあいだの雨期に私を一人にしてしまったことをマリーは気にしてて、独りでいないようにしてくれている。それは分かるんだけど、マリパパがキツイ。
癒やしはマリ弟のルー君だけどなかなか部屋から出てきてくれない。本当に照れてるだけ?私嫌われてない?ってマリーに聞いたら、私が泊まりに来る前はいつもめちゃくちゃハイテンションで話したいことがいっぱいあるとか言ってるらしい。で結局話せず私が帰ると、鬱陶しいくらい落ち込むんだとか。
ああそうか、ルー君から照れを無くせばマリパパってことか。
風がどんどん強くなっていく。マリー家のリビングではマリマママリパパマリーと私が話したりボンヤリしたり、くつろいでいた。
ご飯を作るお手伝いもしたよ。
鶏肉に一杯詰めてやりました。宇宙パワーたっぷりのアレを。だって減らないもん。香草も詰めて、焼いて貰う。
後は何します?色々切るんですね、お任せを。
ああ、マリママ。私と娘さんの力量を比べてはいけないよ。ほら、拗ねて向こう行っちゃった。
嵐の日はできることは早めに済まそう。このあと嵐が強くなって何が起こるか分からないし。
ご飯は楽しかった。ようやく出てきたルー君を誘導し、お話が少しできるようにした。可愛い。
お風呂の時間だ。やっぱりマリーは一緒に入ってきた。まあ良いけどさ。
二人で湯船に浸かる。
雨がひどくなってきた。
雨の音を聞いていると、突然もの凄く不安になる。目をぎゅっと閉じて、マリーにしがみつく。
「……ゴメン。ちょっと怖い」
「いいよ」
目を開けるのが怖い。マリーはマリーだよね……?
「レティシア」
「ひゃ」
「お風呂上がったらさ、パパが珍しいおつまみ用意してるんだ。眠くなるまで楽しくやろう」
「パパって、この日のために下らないことを百個考えたんだって。一つも言わせる気はないけどね」
「……うん」
しがみつく力が緩んだのに気がついたマリーが急かしてくる。
「さあ出よう。ほら、頭拭いてあげるよ」
マリーに促されて、何とか浴槽から出る。
「身体はどうする?自分で拭く?拭かせてくれるんなら、揉むけどさ」
「自分で拭く」
マリーの冗談はわかりにくい。
お風呂から出る。
マリママとルー君が夜更かしの会を準備中だった。
「すいません。先に使わせてもらって……」
「良いのよ、レティシアちゃん。お客さんなんだから。マリアンナ、どうしたの面白い顔して」
「お風呂でさ、レティシアが恐がってくっついてきたの。すごく柔らかくてすばらしい体験だったの」
オイ、何言ってんだ。ルー君いるんだぞ。
「なにが違うんだろうって考えてたの……」
マリーの心が闇に飲まれていく。
お酒の量じゃない?と軽口を言おうとするけど、表情の無くなったマリーの雰囲気が何故かとても怖くて。
「ヤダ……」
急に足の力が入らなくなって、膝から崩れ落ちてしまった。
「レティシア!?」
ビックリしたマリーが、心配そうな顔で近付いてきてくれる。
ヤダヤダヤダヤダ……恐いよお兄ちゃん……
マリーだって分かってるのに。
「お兄ちゃん……助けて……」
夏が終わって秋に向かう季節。
マリパパが言うにはようやく暖まった海がため込んだその力を解放するのだ!らしい。ヒャッハーとか言い出したので、マリーにプイされて泣いていた。
「ゴメン、やっぱ自分ち戻るわ」
「ダメ」
このあいだの雨期に私を一人にしてしまったことをマリーは気にしてて、独りでいないようにしてくれている。それは分かるんだけど、マリパパがキツイ。
癒やしはマリ弟のルー君だけどなかなか部屋から出てきてくれない。本当に照れてるだけ?私嫌われてない?ってマリーに聞いたら、私が泊まりに来る前はいつもめちゃくちゃハイテンションで話したいことがいっぱいあるとか言ってるらしい。で結局話せず私が帰ると、鬱陶しいくらい落ち込むんだとか。
ああそうか、ルー君から照れを無くせばマリパパってことか。
風がどんどん強くなっていく。マリー家のリビングではマリマママリパパマリーと私が話したりボンヤリしたり、くつろいでいた。
ご飯を作るお手伝いもしたよ。
鶏肉に一杯詰めてやりました。宇宙パワーたっぷりのアレを。だって減らないもん。香草も詰めて、焼いて貰う。
後は何します?色々切るんですね、お任せを。
ああ、マリママ。私と娘さんの力量を比べてはいけないよ。ほら、拗ねて向こう行っちゃった。
嵐の日はできることは早めに済まそう。このあと嵐が強くなって何が起こるか分からないし。
ご飯は楽しかった。ようやく出てきたルー君を誘導し、お話が少しできるようにした。可愛い。
お風呂の時間だ。やっぱりマリーは一緒に入ってきた。まあ良いけどさ。
二人で湯船に浸かる。
雨がひどくなってきた。
雨の音を聞いていると、突然もの凄く不安になる。目をぎゅっと閉じて、マリーにしがみつく。
「……ゴメン。ちょっと怖い」
「いいよ」
目を開けるのが怖い。マリーはマリーだよね……?
「レティシア」
「ひゃ」
「お風呂上がったらさ、パパが珍しいおつまみ用意してるんだ。眠くなるまで楽しくやろう」
「パパって、この日のために下らないことを百個考えたんだって。一つも言わせる気はないけどね」
「……うん」
しがみつく力が緩んだのに気がついたマリーが急かしてくる。
「さあ出よう。ほら、頭拭いてあげるよ」
マリーに促されて、何とか浴槽から出る。
「身体はどうする?自分で拭く?拭かせてくれるんなら、揉むけどさ」
「自分で拭く」
マリーの冗談はわかりにくい。
お風呂から出る。
マリママとルー君が夜更かしの会を準備中だった。
「すいません。先に使わせてもらって……」
「良いのよ、レティシアちゃん。お客さんなんだから。マリアンナ、どうしたの面白い顔して」
「お風呂でさ、レティシアが恐がってくっついてきたの。すごく柔らかくてすばらしい体験だったの」
オイ、何言ってんだ。ルー君いるんだぞ。
「なにが違うんだろうって考えてたの……」
マリーの心が闇に飲まれていく。
お酒の量じゃない?と軽口を言おうとするけど、表情の無くなったマリーの雰囲気が何故かとても怖くて。
「ヤダ……」
急に足の力が入らなくなって、膝から崩れ落ちてしまった。
「レティシア!?」
ビックリしたマリーが、心配そうな顔で近付いてきてくれる。
ヤダヤダヤダヤダ……恐いよお兄ちゃん……
マリーだって分かってるのに。
「お兄ちゃん……助けて……」
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