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第五章: 新人仕事人 恋模様
オストリッチの未来は?
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あおいは、里帰りを終え、いつもの日常に戻っている。
今は、仕事の合間にオストリッチ宅に、戻って来ていた。
ピッピロリン ピッピロリン ピッピロリン ……
「リッチくーん、なんか電話かな?変な音がしているよー」
水浴びをしようとしていたオストリッチを呼び止め、モバリスを持って行く。
「はい、オストリッチです。はい、はい、かしこまりました。
はい、伝えます」
「蓮さんからでした。
今から、生命の泉に来るようにとのことです」
「リッチ君だけが、呼ばれたの?」
「お姉ちゃんにも伝えて、と言っていました」
「リッチ君に電話が掛かってきたのを初めて聞いたけど、変わった音にしているんだね」
オストリッチは、何を言われているのか分からない様子で、キョトンとしている。
私とは、違う呼び出し音に、設定されているんだな。
あおいとオストリッチは、生命の泉に移動する。
「蓮さん、お呼びでしょうか」
オストリッチが言った。
「休憩中、悪いね。今、この地区に新しい生命が誕生したから、蝋燭を見ておいた方がいいと思って連絡したんだ」
新しい生命は、その母親の住んでいる所の近くに、新しい蝋燭を立て、火が灯されてから人間界に誕生する。
引っ越しをしても変わらないが、結婚して、移動する時に変わる。
この生命の泉にある札の人が、他の地域で亡くなる場合は、札を他の生命の泉、札所に持って行く専用の人がそれぞれにいて、そこの死神に札が届くようになっているのだ。
「ここにある蝋燭の人たちは、この地区に住んでいないかもしれないんですか?」
あおいが聞いた。
「その通りだよ。
大抵は、都会に働きに行ったり、引っ越したりするのが、多いかな。
人が集中する都会は、その分 亡くなる人も多いから、死神や調査員の数を増やさないと、対応出来ないよ」
新しく長い蝋燭は、勢い良く蝋燭の火を灯している。
そんな新しい蝋燭がいくつか増えていたのだった。
「ここにあるのは、人間のだけですか?」
オストリッチが聞いた。
あっ、リッチ君は、鳥だものね!
鳥の蝋燭は何処って、思うよね!
「あー、そうか。
鳥のはここじゃない。
というか、蝋燭は無くて、私も詳しくは知らないが……」
蓮の説明を簡単に言うと、
人間以外は、畜生界という世界から人間界へ降りて、厳しい世界に身を置く者や、素晴らしい暮らしを送る者がいる。
やがて、生き物の命が尽きた時、一旦 畜生界に戻るが、人間界で役割りを果たした者の中で、神が認めた者だけが、人間に生まれ変われるかもしれない、らしい。
「じゃあ、僕も生まれ変わったら、人間かもしれないの?」
「オストリッチ君は、人間になりたいの?」
「だって、生きていくのが、難しい世界だから、鳥は嫌だ!嫌です」
「そうか、人間の世界も なかなかシンドイ事も多いけどね。
自然界で、生きるってことは、とても厳しい、食うか食われるかだもんな。
それがないだけ、人間の方がマシか」
と、蓮が言った。
「今、冥界で活躍しているから、未来は明るいでしょう!」
そんな風に あおいが適当に言った。
「うん。僕、活躍しているんだね!
じゃあ、人間になれるんだね!やったー」
おい、おい、あおいちゃん、適当に言うなよ。
ぬか喜びをさせては、ダメだ。
それは、神様が決める事だし。
天最上界に住む、特別に偉い神様が決めるのか、天上界に住む神様が決めるのかは、知らないが、 どちらかなのだろう。
まあ、天界に住む神様ではないな。
いつもユキトから、愚痴を聞かされているからな。
と、蓮は思っていたのだった。
そして、オストリッチが、突然 話しを変える。
「そうだ、蓮さん、旅行に持って行く物って、あるんですか?
僕、何も持っていないんですけど」
「旅先の物を借りればいいよ。
何もいらないでしょ」
「ヘルメットは、被ってもいいですか?」
オストリッチは、それがお洒落なのだと思っているらしい。
「いいよ。被っておいで」
「蓮さんは、どんな服装で行きますか」
あおいの気になっているところなのであった。
「そうだな、カジュアルシャツとジーンズかな」
じゃあ私も、カジュアルな感じにしよう。
タマキ先輩に相談しなくても、大丈夫だな。
衣料樹様にお願いしに行かないと。
あっ、呪文が分からないな。
蓮さんに聞いちゃう?
でも、旅行の為に服を用意しに行くって、知られると恥ずかしいよね。
あおいは、身体をクネクネさせて、考えている。
「どうしたの?お姉さん」
オストリッチから、冷めた目で言われた。
「えっ、別に何でもない」
リッチ君は、呪文を知らないよね?
聞くだけ無駄だよね。
私の名前だって、覚えているか怪しいくらいだからな。
よし、蓮さんに聞いちゃおう!
「蓮さん、衣料樹様に服を出して貰いたいのですが、呪文が分からなくて、教えて下さい」
蓮は、驚いた顔をした。
「何で?脱衣場の作務衣があるじゃないか。
あれが似合っていて、可愛いのに」
えっ!あれが?可愛い?
脱衣場の制服の作務衣なんですけど。
あれ?褒められたの?
「作務衣を着て、行ってもいいんですか?」
蓮は、もちろん、むしろ着て来てと言ったのだった。
「蓮さん、僕は裸でいいですか?」
「ぶっ、裸って……オストリッチ君は、そのままでいいよ。
旅行は、明後日だね。
ワクワクしてきたよ」
「僕、温泉って初めて!熱くないかな?
僕 煮えないかな?」
「まさか!万が一の時は、私が水をかけてやるから、安心して」
と蓮が言うから、オストリッチは安心した。
煮えちゃうって……、リッチ君、怖い心配してるね。
けど、本当に煮えないかな、大丈夫?
まあ、きっと大丈夫だよね。
うん、明後日が楽しみです。
温泉旅行 嬉しいな。
今は、仕事の合間にオストリッチ宅に、戻って来ていた。
ピッピロリン ピッピロリン ピッピロリン ……
「リッチくーん、なんか電話かな?変な音がしているよー」
水浴びをしようとしていたオストリッチを呼び止め、モバリスを持って行く。
「はい、オストリッチです。はい、はい、かしこまりました。
はい、伝えます」
「蓮さんからでした。
今から、生命の泉に来るようにとのことです」
「リッチ君だけが、呼ばれたの?」
「お姉ちゃんにも伝えて、と言っていました」
「リッチ君に電話が掛かってきたのを初めて聞いたけど、変わった音にしているんだね」
オストリッチは、何を言われているのか分からない様子で、キョトンとしている。
私とは、違う呼び出し音に、設定されているんだな。
あおいとオストリッチは、生命の泉に移動する。
「蓮さん、お呼びでしょうか」
オストリッチが言った。
「休憩中、悪いね。今、この地区に新しい生命が誕生したから、蝋燭を見ておいた方がいいと思って連絡したんだ」
新しい生命は、その母親の住んでいる所の近くに、新しい蝋燭を立て、火が灯されてから人間界に誕生する。
引っ越しをしても変わらないが、結婚して、移動する時に変わる。
この生命の泉にある札の人が、他の地域で亡くなる場合は、札を他の生命の泉、札所に持って行く専用の人がそれぞれにいて、そこの死神に札が届くようになっているのだ。
「ここにある蝋燭の人たちは、この地区に住んでいないかもしれないんですか?」
あおいが聞いた。
「その通りだよ。
大抵は、都会に働きに行ったり、引っ越したりするのが、多いかな。
人が集中する都会は、その分 亡くなる人も多いから、死神や調査員の数を増やさないと、対応出来ないよ」
新しく長い蝋燭は、勢い良く蝋燭の火を灯している。
そんな新しい蝋燭がいくつか増えていたのだった。
「ここにあるのは、人間のだけですか?」
オストリッチが聞いた。
あっ、リッチ君は、鳥だものね!
鳥の蝋燭は何処って、思うよね!
「あー、そうか。
鳥のはここじゃない。
というか、蝋燭は無くて、私も詳しくは知らないが……」
蓮の説明を簡単に言うと、
人間以外は、畜生界という世界から人間界へ降りて、厳しい世界に身を置く者や、素晴らしい暮らしを送る者がいる。
やがて、生き物の命が尽きた時、一旦 畜生界に戻るが、人間界で役割りを果たした者の中で、神が認めた者だけが、人間に生まれ変われるかもしれない、らしい。
「じゃあ、僕も生まれ変わったら、人間かもしれないの?」
「オストリッチ君は、人間になりたいの?」
「だって、生きていくのが、難しい世界だから、鳥は嫌だ!嫌です」
「そうか、人間の世界も なかなかシンドイ事も多いけどね。
自然界で、生きるってことは、とても厳しい、食うか食われるかだもんな。
それがないだけ、人間の方がマシか」
と、蓮が言った。
「今、冥界で活躍しているから、未来は明るいでしょう!」
そんな風に あおいが適当に言った。
「うん。僕、活躍しているんだね!
じゃあ、人間になれるんだね!やったー」
おい、おい、あおいちゃん、適当に言うなよ。
ぬか喜びをさせては、ダメだ。
それは、神様が決める事だし。
天最上界に住む、特別に偉い神様が決めるのか、天上界に住む神様が決めるのかは、知らないが、 どちらかなのだろう。
まあ、天界に住む神様ではないな。
いつもユキトから、愚痴を聞かされているからな。
と、蓮は思っていたのだった。
そして、オストリッチが、突然 話しを変える。
「そうだ、蓮さん、旅行に持って行く物って、あるんですか?
僕、何も持っていないんですけど」
「旅先の物を借りればいいよ。
何もいらないでしょ」
「ヘルメットは、被ってもいいですか?」
オストリッチは、それがお洒落なのだと思っているらしい。
「いいよ。被っておいで」
「蓮さんは、どんな服装で行きますか」
あおいの気になっているところなのであった。
「そうだな、カジュアルシャツとジーンズかな」
じゃあ私も、カジュアルな感じにしよう。
タマキ先輩に相談しなくても、大丈夫だな。
衣料樹様にお願いしに行かないと。
あっ、呪文が分からないな。
蓮さんに聞いちゃう?
でも、旅行の為に服を用意しに行くって、知られると恥ずかしいよね。
あおいは、身体をクネクネさせて、考えている。
「どうしたの?お姉さん」
オストリッチから、冷めた目で言われた。
「えっ、別に何でもない」
リッチ君は、呪文を知らないよね?
聞くだけ無駄だよね。
私の名前だって、覚えているか怪しいくらいだからな。
よし、蓮さんに聞いちゃおう!
「蓮さん、衣料樹様に服を出して貰いたいのですが、呪文が分からなくて、教えて下さい」
蓮は、驚いた顔をした。
「何で?脱衣場の作務衣があるじゃないか。
あれが似合っていて、可愛いのに」
えっ!あれが?可愛い?
脱衣場の制服の作務衣なんですけど。
あれ?褒められたの?
「作務衣を着て、行ってもいいんですか?」
蓮は、もちろん、むしろ着て来てと言ったのだった。
「蓮さん、僕は裸でいいですか?」
「ぶっ、裸って……オストリッチ君は、そのままでいいよ。
旅行は、明後日だね。
ワクワクしてきたよ」
「僕、温泉って初めて!熱くないかな?
僕 煮えないかな?」
「まさか!万が一の時は、私が水をかけてやるから、安心して」
と蓮が言うから、オストリッチは安心した。
煮えちゃうって……、リッチ君、怖い心配してるね。
けど、本当に煮えないかな、大丈夫?
まあ、きっと大丈夫だよね。
うん、明後日が楽しみです。
温泉旅行 嬉しいな。
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