ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

文字の大きさ
上 下
80 / 129
さあ、始めよう!

いつもありがとう

しおりを挟む
「お先に失礼します、お疲れ様です」

 緑川が挨拶をして、スタッフルームから出て行った。


 その後に続き、柚花と軽米も出て、話しながら歩いている。 


「丸山さん、明日は お休みですよね?
いよいよ、誕生日ですね。

西崎さんと、何処かへ行くんですか?」


 軽米がワクワクしながら聞いている。


「えっ?何も約束なんてしてないよ。
明日は、実家に帰って泊まってくるわ。

 たまには、実家で のほほんとダラけるつもり!」


「えー!何で ?ふたりで お祝いをしないんですか?

 じゃあ、もしかして、今日これから会うんですか?」


 軽米は、納得いかない様子で更に聞いたのだった。


「えっ?私と西崎さんは、付き合っているわけじゃないし。

お互いの誕生日なんて、知らないから。特別なお祝いなんて無いわよ」


「はあ?お互いに知らない?

えー!男女の友達だとしても、それくらい聞いておきませんか?

 知り合って同い年なら尚更、どっちが微妙に上かが、気になりませんか?」


 軽米が呆れたように言った。


(うわぁ、驚いた。お互いの誕生日も聞かないなんて!

 丸山さん達、大丈夫なのかしら?)


「そっか……そういえば、そんな話しをしたことがなかった。

 年齢を考えると焦ってきちゃうから、誕生日の話しはしてないわ」


「うーん、そうなんですか?
お祝い無しで、寂しくありませんか?」


「親が私を不憫ふびんに思って、帰って来いって連絡をくれて、少し情け無いけど、家族が祝ってくれるから、それでいいの」

 
「そうなんですね……。あまり嬉しくなさそうですが、これ、私から ほんの気持ちのお祝いです」


 駐車場について、軽米が小さくて可愛い紙袋を 柚花に渡した。

 
「えっ?何かな?毎年、ありがとうね。 
 
開けてもいい?」


 軽米から了解を得て柚花が袋の中を見てみた。


「あっ、口紅だぁ!

 綺麗な色!軽米さん、ありがとう。

 とっても嬉しい!

 ここぞという時に使わせてもらうね」


「その色、丸山さんに似合うと思って買ってみました。

 是非、是非、使ってください」


 いつも気を遣ってくれて、どうもありがとう。

 
 あなたが側にいてくれているから、私は元気でいられるのです。


 ずっと付き合っていきたい後輩 いえ、友人だから、これからもよろしくね。

……………………

 私は、軽米さんと駐車場で別れ、まっすぐ家に帰っていた。

 
 家の近くのコンビニ手前辺りから、渋滞をしていて、全く車が動かない。


  前方から救急車がサイレンを鳴らして、過ぎ去って行った。


 それから、ズルズルと動き出し、事故車の脇を通って、何とか家へとたどり着いたのだった。

…………………


「はぁ、疲れたー!やっと、着いたよ」


 柚花は、お風呂に浸かり、ぼけーっとしている。


  明日は、何時に出ようかな?

 お父さんもお母さんも仕事だし、兄さんも仕事だよね。

 早く行っても、誰も居ないか……。

 
 そうだ、食材を買って行って、たまには料理を作ってご馳走してあげようかな。


 プルプルプルプル……

 脱衣場に置いてあった携帯電話が鳴った。


「えっ、電話?あ、手が濡れている。

はい、はい、待っていて。

 はい、丸山です」


 急いで電話を取ってみたら、智也からの電話だったのだ。


「柚花?今、電話 大丈夫?」


「えっ?あっ、お風呂に入っているところなの。

 折り返して、かけてもいいかしら?」


(お風呂!!)


「わっ、ごめん。タイミングが悪くてごめん。じゃあ、待っているから」

…………………

 柚花は、智也に電話をかけた。

「明日、柚花の誕生日なんだってね。

 俺、明日は公休日だし、柚花が仕事終わるのを待っているから、どこかに行かない?」


「あ、私も休みなんだけど、実家に帰るの……。

 それで、一泊してくるんだ。

 だから、会えないの。

 ごめんなさい……。気持ちだけで充分だからね。ありがとうございます」


「じゃあ、帰る前に少しだけでも会いたいけど、それも無理?」


「うーん、実家に行く前に、ショッピングモールに寄って行こうと思っているから、そこでもいいなら会えるけど」


 柚花の返事にホッとしながら、智也が言う。

「わかった。待ち合わせをしよう。

 じゃあ、待っているから!」

…………………

 翌日、柚花は智也に会ってから買い物をするため、ショッピングモールへと向かっていた。


 もうすぐお店に着くわ。

 
 智也さんが待っているのかな?

 それとも私が待つのかな?

 寂しい誕生日だと思っていたけど、智也さんと待ち合わせができるだけでも、幸せな事だよね。

 いい誕生日なのかも?


 ふふふ。


 何たって、超イケメンだもの!


 へっへっへ……。


「 ! 」
 
 
「何?ハンドルが、言うこと聞いてくれない!!」


 ウソでしょう?

 
 車体が傾いている!!


 一体、どうしたの?


「きゃあ、助けて!」


 ガガガガガァ……


(柚花、遅いな……。どうしたんだろう?早く逢いたいな)


 智也は、柚花を待ち続けていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

裏切りの代償

志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。 家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。 連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。 しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。 他サイトでも掲載しています。 R15を保険で追加しました。 表紙は写真AC様よりダウンロードしました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...