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さあ、始めよう!
いつもありがとう
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「お先に失礼します、お疲れ様です」
緑川が挨拶をして、スタッフルームから出て行った。
その後に続き、柚花と軽米も出て、話しながら歩いている。
「丸山さん、明日は お休みですよね?
いよいよ、誕生日ですね。
西崎さんと、何処かへ行くんですか?」
軽米がワクワクしながら聞いている。
「えっ?何も約束なんてしてないよ。
明日は、実家に帰って泊まってくるわ。
たまには、実家で のほほんとダラけるつもり!」
「えー!何で ?ふたりで お祝いをしないんですか?
じゃあ、もしかして、今日これから会うんですか?」
軽米は、納得いかない様子で更に聞いたのだった。
「えっ?私と西崎さんは、付き合っているわけじゃないし。
お互いの誕生日なんて、知らないから。特別なお祝いなんて無いわよ」
「はあ?お互いに知らない?
えー!男女の友達だとしても、それくらい聞いておきませんか?
知り合って同い年なら尚更、どっちが微妙に上かが、気になりませんか?」
軽米が呆れたように言った。
(うわぁ、驚いた。お互いの誕生日も聞かないなんて!
丸山さん達、大丈夫なのかしら?)
「そっか……そういえば、そんな話しをしたことがなかった。
年齢を考えると焦ってきちゃうから、誕生日の話しはしてないわ」
「うーん、そうなんですか?
お祝い無しで、寂しくありませんか?」
「親が私を不憫に思って、帰って来いって連絡をくれて、少し情け無いけど、家族が祝ってくれるから、それでいいの」
「そうなんですね……。あまり嬉しくなさそうですが、これ、私から ほんの気持ちのお祝いです」
駐車場について、軽米が小さくて可愛い紙袋を 柚花に渡した。
「えっ?何かな?毎年、ありがとうね。
開けてもいい?」
軽米から了解を得て柚花が袋の中を見てみた。
「あっ、口紅だぁ!
綺麗な色!軽米さん、ありがとう。
とっても嬉しい!
ここぞという時に使わせてもらうね」
「その色、丸山さんに似合うと思って買ってみました。
是非、是非、使ってください」
いつも気を遣ってくれて、どうもありがとう。
あなたが側にいてくれているから、私は元気でいられるのです。
ずっと付き合っていきたい後輩 いえ、友人だから、これからもよろしくね。
……………………
私は、軽米さんと駐車場で別れ、まっすぐ家に帰っていた。
家の近くのコンビニ手前辺りから、渋滞をしていて、全く車が動かない。
前方から救急車がサイレンを鳴らして、過ぎ去って行った。
それから、ズルズルと動き出し、事故車の脇を通って、何とか家へとたどり着いたのだった。
…………………
「はぁ、疲れたー!やっと、着いたよ」
柚花は、お風呂に浸かり、ぼけーっとしている。
明日は、何時に出ようかな?
お父さんもお母さんも仕事だし、兄さんも仕事だよね。
早く行っても、誰も居ないか……。
そうだ、食材を買って行って、たまには料理を作ってご馳走してあげようかな。
プルプルプルプル……
脱衣場に置いてあった携帯電話が鳴った。
「えっ、電話?あ、手が濡れている。
はい、はい、待っていて。
はい、丸山です」
急いで電話を取ってみたら、智也からの電話だったのだ。
「柚花?今、電話 大丈夫?」
「えっ?あっ、お風呂に入っているところなの。
折り返して、かけてもいいかしら?」
(お風呂!!)
「わっ、ごめん。タイミングが悪くてごめん。じゃあ、待っているから」
…………………
柚花は、智也に電話をかけた。
「明日、柚花の誕生日なんだってね。
俺、明日は公休日だし、柚花が仕事終わるのを待っているから、どこかに行かない?」
「あ、私も休みなんだけど、実家に帰るの……。
それで、一泊してくるんだ。
だから、会えないの。
ごめんなさい……。気持ちだけで充分だからね。ありがとうございます」
「じゃあ、帰る前に少しだけでも会いたいけど、それも無理?」
「うーん、実家に行く前に、ショッピングモールに寄って行こうと思っているから、そこでもいいなら会えるけど」
柚花の返事にホッとしながら、智也が言う。
「わかった。待ち合わせをしよう。
じゃあ、待っているから!」
…………………
翌日、柚花は智也に会ってから買い物をするため、ショッピングモールへと向かっていた。
もうすぐお店に着くわ。
智也さんが待っているのかな?
それとも私が待つのかな?
寂しい誕生日だと思っていたけど、智也さんと待ち合わせができるだけでも、幸せな事だよね。
いい誕生日なのかも?
ふふふ。
何たって、超イケメンだもの!
へっへっへ……。
「 ! 」
「何?ハンドルが、言うこと聞いてくれない!!」
ウソでしょう?
車体が傾いている!!
一体、どうしたの?
「きゃあ、助けて!」
ガガガガガァ……
(柚花、遅いな……。どうしたんだろう?早く逢いたいな)
智也は、柚花を待ち続けていた。
緑川が挨拶をして、スタッフルームから出て行った。
その後に続き、柚花と軽米も出て、話しながら歩いている。
「丸山さん、明日は お休みですよね?
いよいよ、誕生日ですね。
西崎さんと、何処かへ行くんですか?」
軽米がワクワクしながら聞いている。
「えっ?何も約束なんてしてないよ。
明日は、実家に帰って泊まってくるわ。
たまには、実家で のほほんとダラけるつもり!」
「えー!何で ?ふたりで お祝いをしないんですか?
じゃあ、もしかして、今日これから会うんですか?」
軽米は、納得いかない様子で更に聞いたのだった。
「えっ?私と西崎さんは、付き合っているわけじゃないし。
お互いの誕生日なんて、知らないから。特別なお祝いなんて無いわよ」
「はあ?お互いに知らない?
えー!男女の友達だとしても、それくらい聞いておきませんか?
知り合って同い年なら尚更、どっちが微妙に上かが、気になりませんか?」
軽米が呆れたように言った。
(うわぁ、驚いた。お互いの誕生日も聞かないなんて!
丸山さん達、大丈夫なのかしら?)
「そっか……そういえば、そんな話しをしたことがなかった。
年齢を考えると焦ってきちゃうから、誕生日の話しはしてないわ」
「うーん、そうなんですか?
お祝い無しで、寂しくありませんか?」
「親が私を不憫に思って、帰って来いって連絡をくれて、少し情け無いけど、家族が祝ってくれるから、それでいいの」
「そうなんですね……。あまり嬉しくなさそうですが、これ、私から ほんの気持ちのお祝いです」
駐車場について、軽米が小さくて可愛い紙袋を 柚花に渡した。
「えっ?何かな?毎年、ありがとうね。
開けてもいい?」
軽米から了解を得て柚花が袋の中を見てみた。
「あっ、口紅だぁ!
綺麗な色!軽米さん、ありがとう。
とっても嬉しい!
ここぞという時に使わせてもらうね」
「その色、丸山さんに似合うと思って買ってみました。
是非、是非、使ってください」
いつも気を遣ってくれて、どうもありがとう。
あなたが側にいてくれているから、私は元気でいられるのです。
ずっと付き合っていきたい後輩 いえ、友人だから、これからもよろしくね。
……………………
私は、軽米さんと駐車場で別れ、まっすぐ家に帰っていた。
家の近くのコンビニ手前辺りから、渋滞をしていて、全く車が動かない。
前方から救急車がサイレンを鳴らして、過ぎ去って行った。
それから、ズルズルと動き出し、事故車の脇を通って、何とか家へとたどり着いたのだった。
…………………
「はぁ、疲れたー!やっと、着いたよ」
柚花は、お風呂に浸かり、ぼけーっとしている。
明日は、何時に出ようかな?
お父さんもお母さんも仕事だし、兄さんも仕事だよね。
早く行っても、誰も居ないか……。
そうだ、食材を買って行って、たまには料理を作ってご馳走してあげようかな。
プルプルプルプル……
脱衣場に置いてあった携帯電話が鳴った。
「えっ、電話?あ、手が濡れている。
はい、はい、待っていて。
はい、丸山です」
急いで電話を取ってみたら、智也からの電話だったのだ。
「柚花?今、電話 大丈夫?」
「えっ?あっ、お風呂に入っているところなの。
折り返して、かけてもいいかしら?」
(お風呂!!)
「わっ、ごめん。タイミングが悪くてごめん。じゃあ、待っているから」
…………………
柚花は、智也に電話をかけた。
「明日、柚花の誕生日なんだってね。
俺、明日は公休日だし、柚花が仕事終わるのを待っているから、どこかに行かない?」
「あ、私も休みなんだけど、実家に帰るの……。
それで、一泊してくるんだ。
だから、会えないの。
ごめんなさい……。気持ちだけで充分だからね。ありがとうございます」
「じゃあ、帰る前に少しだけでも会いたいけど、それも無理?」
「うーん、実家に行く前に、ショッピングモールに寄って行こうと思っているから、そこでもいいなら会えるけど」
柚花の返事にホッとしながら、智也が言う。
「わかった。待ち合わせをしよう。
じゃあ、待っているから!」
…………………
翌日、柚花は智也に会ってから買い物をするため、ショッピングモールへと向かっていた。
もうすぐお店に着くわ。
智也さんが待っているのかな?
それとも私が待つのかな?
寂しい誕生日だと思っていたけど、智也さんと待ち合わせができるだけでも、幸せな事だよね。
いい誕生日なのかも?
ふふふ。
何たって、超イケメンだもの!
へっへっへ……。
「 ! 」
「何?ハンドルが、言うこと聞いてくれない!!」
ウソでしょう?
車体が傾いている!!
一体、どうしたの?
「きゃあ、助けて!」
ガガガガガァ……
(柚花、遅いな……。どうしたんだろう?早く逢いたいな)
智也は、柚花を待ち続けていた。
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