67 / 129
ある日、突然。
お絵描き大会 ★
しおりを挟む
私、丸山 柚花、カレンダホテルでウェディングプランナーをしている。
他人の結婚には、偉そうに口を出し、積極的に行動をするが、自分は彼氏すらいない有り様だ。
以前の私は、いつしか王子様が迎えに来てくれるなどと、妄想を抱いていた事もあった。
そして、とうとう本物の王子様のような智也さんという男性が現れてくれたのだ!
本来ならば、二つ返事で智也さんの胸に飛び込むべきところを何を血迷ったか、私は交際を断ってしまった。
余りにも私には、勿体ないイケメンの智也さんだから、気が引けてしまったのだ。
色々と考えてしまう お年頃の私は、チャンスを棒に振ってしまったのだった。
もしかしたら、バチが当たるかもしれないな……。
……………………
ここは、カレンダホテルのブライダル部のスタッフルーム。
「さあ、先日の宿題の発表会をしましょう。
外崎さん、お休みのところ悪いわね。
まあ、私もそうなんだけどね!
では、プレゼンを始めて下さい。
丸山さんから、いってみましょうか」
倉田チーフが私を指名した。
「はい、前もって言っておきますが、私は絵が苦手だから、上手く描けませんでした!
皆さん、我慢して見て下さい。
お願いします。では、始めます」
柚花は、4枚の画用紙に絵を描いてきたが、取り敢えず、身振り手振りで説明をする。
「カレンダホテルの文字を映してから、噴水広場をバンと映して、癒しの小道を通って行くと、チャペルがドーン!
はい、こちらです」
柚花は、1枚目を見せた。
(これは、どこのチャペル?
うちのチャペルではない!
この絵は全然、似ていない!)
この場にいる全員が思ったが、口には出さない。
皆んなの反応は、まあ、頷く程度だから、悪くないのかも?
まっ、超適当に見えますけど、私としては頑張りましたよ!
「次にチャペル前で、新婦は母にベールダウンしてもらい、父と共にバージンロードを歩きます。
これまで両親にベールに包まれるように守られ、大切に育てられてきた新婦を新郎に託します。
ここで、両親の表情をズームイン。
そして、新婦両親からの思いを受け取り、新郎が新婦のベールを優しくオープンします。
今、2人の垣根が取り除かれる!
これから2人の世界が始まってゆくのです!
こちらです、じゃん」
「ぶっ、ぶっはっはっ」
外崎さん、野村さん、軽米さんが吹き出して笑った……。
「ひぃ、そ、そら豆……こけし……はっはっは、笑える……ひっひっひ」
外崎は、涙を流して笑っている。
彼のツボにはまったようだ。
「こら、外崎さん、笑い過ぎですよ。
あなたは、これからなんだから!人のこと笑っていられないでしょう?
さあ、丸山さん、続けて!」
倉田チーフに注意をされて、手で口を隠す外崎だった。
「はい、うんんっ。続けます。
次は、和装の2人、神前式を行うシーンです。
おふたりらしい、結婚式の形を自由に選んでもらえることが、カレンダホテルの売りですから、その思いをこのシーンに込めました。じゃん」
(今度は、のっぺら坊だ……面白過ぎだ!でも、笑ってはいけない……)
外崎、野村、軽米は、必死に笑いを堪えている。
ずっと黙っているのは、倉田チーフと緑川さんだ。
倉田チーフは、ともかく。緑川さんは、思いやりがあるのね。
見直したわ。笑わないでいてくれて、ありがとう!
「それから、最後はカレンダホテルの中、大きな花瓶をドンとアップして、ロビー、シャンデリアをサッと流して、ホテルをバックに私達がご挨拶。こちらです。
スタッフ全員で、お待ちしておりますと言います。以上です」
(今度は、まるに針金の私たちだ!)
そんな風に誰もが思った。
「あ、とても楽しかったです。いえ、良かったと思います」
軽米さんが言ってくれて、皆が拍手をしてくれた。
よしっ!私にしては良く出来たわ!
笑われても、満足している!
その後、私を笑った3人は、なかなかの絵のセンスを見せつけてくれた。
私を笑わなかった2人の作品は、私以上の面白さだと3人から評価されて、倉田チーフは、ぷりぷり怒り、緑川さんは恥ずかしそうにしていた。
「はい、皆さん、お疲れ様でした。
総じて、皆さんの考えているものは、だいたい同じであるとわかりました。
今から皆さんの絵コンテを持って、協力会社に相談をしてきます。
では、解散しましょう。
外崎さんは、帰っていいですよ。
お休みのところ、ありがとうこざいました。お疲れ様」
こうして、お絵描き大会は終わったのだった。
因みに、外崎さんが考えたものは、自分と野村さんがモデルだと判る花婿、花嫁の似顔絵だった。
それを見た野村さんは、口にこそ出さなかったが、微妙に顏が引きつっていたようだ。
……………………
仕事が終わり、軽米が声を掛けてきた。
「丸山さん、プレゼンのお疲れ様会をしません?
焼肉食べ放題の店がオープンしたんですよ。知ってます?」
「えー、焼肉?どうしようかなぁ。
それにしても、その細さで食欲旺盛なのは、凄いよ。
まさか、前沢さんの前でもガンガン食べているんじゃないでしょうねえ?」
好きな男性の前では、そんなに食べていないだろうと思ったが、一応、聞いてみた。
「えっ?もちろん!食べますよ。
ありのままを見せていないと、疲れちゃいますから!
いつでも私は、自然体でいます。
和希さんは、よく食べるねって!褒めてくれますよ」
そう言って、軽米は微笑んでいた。
褒めてくれていると思っちゃう あなたが可愛いと、私は思います。
本当、軽米さんは可愛い後輩だし、頼もしい友人でもある。
「ねっ、焼肉、一緒に行きましょうよ」
軽米が甘えた声を出した。
「わかった、一緒に行くわよ。
で、どの辺にできたの?」
柚花が軽米に聞いたら、ショッピングモールの中にオープンしたと言った。
「じゃあ、行こうか」
柚花が言い、いつものように別々の車で、食事に向かうのだった。
他人の結婚には、偉そうに口を出し、積極的に行動をするが、自分は彼氏すらいない有り様だ。
以前の私は、いつしか王子様が迎えに来てくれるなどと、妄想を抱いていた事もあった。
そして、とうとう本物の王子様のような智也さんという男性が現れてくれたのだ!
本来ならば、二つ返事で智也さんの胸に飛び込むべきところを何を血迷ったか、私は交際を断ってしまった。
余りにも私には、勿体ないイケメンの智也さんだから、気が引けてしまったのだ。
色々と考えてしまう お年頃の私は、チャンスを棒に振ってしまったのだった。
もしかしたら、バチが当たるかもしれないな……。
……………………
ここは、カレンダホテルのブライダル部のスタッフルーム。
「さあ、先日の宿題の発表会をしましょう。
外崎さん、お休みのところ悪いわね。
まあ、私もそうなんだけどね!
では、プレゼンを始めて下さい。
丸山さんから、いってみましょうか」
倉田チーフが私を指名した。
「はい、前もって言っておきますが、私は絵が苦手だから、上手く描けませんでした!
皆さん、我慢して見て下さい。
お願いします。では、始めます」
柚花は、4枚の画用紙に絵を描いてきたが、取り敢えず、身振り手振りで説明をする。
「カレンダホテルの文字を映してから、噴水広場をバンと映して、癒しの小道を通って行くと、チャペルがドーン!
はい、こちらです」
柚花は、1枚目を見せた。
(これは、どこのチャペル?
うちのチャペルではない!
この絵は全然、似ていない!)
この場にいる全員が思ったが、口には出さない。
皆んなの反応は、まあ、頷く程度だから、悪くないのかも?
まっ、超適当に見えますけど、私としては頑張りましたよ!
「次にチャペル前で、新婦は母にベールダウンしてもらい、父と共にバージンロードを歩きます。
これまで両親にベールに包まれるように守られ、大切に育てられてきた新婦を新郎に託します。
ここで、両親の表情をズームイン。
そして、新婦両親からの思いを受け取り、新郎が新婦のベールを優しくオープンします。
今、2人の垣根が取り除かれる!
これから2人の世界が始まってゆくのです!
こちらです、じゃん」
「ぶっ、ぶっはっはっ」
外崎さん、野村さん、軽米さんが吹き出して笑った……。
「ひぃ、そ、そら豆……こけし……はっはっは、笑える……ひっひっひ」
外崎は、涙を流して笑っている。
彼のツボにはまったようだ。
「こら、外崎さん、笑い過ぎですよ。
あなたは、これからなんだから!人のこと笑っていられないでしょう?
さあ、丸山さん、続けて!」
倉田チーフに注意をされて、手で口を隠す外崎だった。
「はい、うんんっ。続けます。
次は、和装の2人、神前式を行うシーンです。
おふたりらしい、結婚式の形を自由に選んでもらえることが、カレンダホテルの売りですから、その思いをこのシーンに込めました。じゃん」
(今度は、のっぺら坊だ……面白過ぎだ!でも、笑ってはいけない……)
外崎、野村、軽米は、必死に笑いを堪えている。
ずっと黙っているのは、倉田チーフと緑川さんだ。
倉田チーフは、ともかく。緑川さんは、思いやりがあるのね。
見直したわ。笑わないでいてくれて、ありがとう!
「それから、最後はカレンダホテルの中、大きな花瓶をドンとアップして、ロビー、シャンデリアをサッと流して、ホテルをバックに私達がご挨拶。こちらです。
スタッフ全員で、お待ちしておりますと言います。以上です」
(今度は、まるに針金の私たちだ!)
そんな風に誰もが思った。
「あ、とても楽しかったです。いえ、良かったと思います」
軽米さんが言ってくれて、皆が拍手をしてくれた。
よしっ!私にしては良く出来たわ!
笑われても、満足している!
その後、私を笑った3人は、なかなかの絵のセンスを見せつけてくれた。
私を笑わなかった2人の作品は、私以上の面白さだと3人から評価されて、倉田チーフは、ぷりぷり怒り、緑川さんは恥ずかしそうにしていた。
「はい、皆さん、お疲れ様でした。
総じて、皆さんの考えているものは、だいたい同じであるとわかりました。
今から皆さんの絵コンテを持って、協力会社に相談をしてきます。
では、解散しましょう。
外崎さんは、帰っていいですよ。
お休みのところ、ありがとうこざいました。お疲れ様」
こうして、お絵描き大会は終わったのだった。
因みに、外崎さんが考えたものは、自分と野村さんがモデルだと判る花婿、花嫁の似顔絵だった。
それを見た野村さんは、口にこそ出さなかったが、微妙に顏が引きつっていたようだ。
……………………
仕事が終わり、軽米が声を掛けてきた。
「丸山さん、プレゼンのお疲れ様会をしません?
焼肉食べ放題の店がオープンしたんですよ。知ってます?」
「えー、焼肉?どうしようかなぁ。
それにしても、その細さで食欲旺盛なのは、凄いよ。
まさか、前沢さんの前でもガンガン食べているんじゃないでしょうねえ?」
好きな男性の前では、そんなに食べていないだろうと思ったが、一応、聞いてみた。
「えっ?もちろん!食べますよ。
ありのままを見せていないと、疲れちゃいますから!
いつでも私は、自然体でいます。
和希さんは、よく食べるねって!褒めてくれますよ」
そう言って、軽米は微笑んでいた。
褒めてくれていると思っちゃう あなたが可愛いと、私は思います。
本当、軽米さんは可愛い後輩だし、頼もしい友人でもある。
「ねっ、焼肉、一緒に行きましょうよ」
軽米が甘えた声を出した。
「わかった、一緒に行くわよ。
で、どの辺にできたの?」
柚花が軽米に聞いたら、ショッピングモールの中にオープンしたと言った。
「じゃあ、行こうか」
柚花が言い、いつものように別々の車で、食事に向かうのだった。
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる