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2019エイプリルフール

神は言っている、未だ童貞でいる運命ではないと

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 気づいたら闇の中。俺はポツンと立ち尽くしていた。
 しかし闇の中であるはずなのに、俺自身はちゃんと見えている。俺が光り輝いているわけではない。
 そんな不思議な空間で、俺は何もすることがなかった。

 そんな中。急に目の前からまばゆい光が降り注ぎ、俺は目を細め腕で影を作った。

「な、何だ!?」

 俺の驚きに対して、光はこう言った。

『私は神である』
「何か変なの出ちまった」

 光に対して俺は速攻で言葉を返した。しかし光は俺の言葉を気にすることはなかった。

『面倒だから前置きなどは省いて説明する。神の世界では今日は4月1日である。この日は何の日かわかっているな?』

 その質問に俺はどう反応すべきか悩みつつ、求められているであろう答えを発した。

「エイプリルフール?」
『ピンポーン!!!』

 急にテンションあげんなよ!

『だから、この日限定でお前に褒美を与えてやろうと思う』

 そう言って自称神である光がさらに強く輝いた。眩しっ!!

『そう、お前にセックスを経験させてやろうと!』
「何言っちゃってんの!?」

 俺は叫んだ。叫んだ俺はまったく間違っていないはずだ。

『せっかくのR-18だというのに、残念なほどにお前が童貞を卒業しないのが悪い』
「俺、何も悪くねぇだろうが!」
『挙げ句の果てには童貞よりも先に処女を喪失する始末』
「だからそれ俺何も悪くないよな!?」
『本当ならば処女を喪失する前に童貞卒業させるプロットであったはずなのに、いつの間にかそのタイミングを失ってしまっていたという失態。これもすべてお前の呪いが悪い。少しは童貞の呪いを解く努力をしろ』
「童貞の呪いって何!? え、マジで呪いなの!? 俺童貞卒業できないの!?」

 いろいろと理不尽なことを言われる俺。好きで童貞してんじゃねぇよ!

『だからさー、エイプリルフールというお祭りに便乗しようと。だからお前と接点のある者4名とセックスさせてやろうかと』
「いらぬお節介やめろ! そんな急にセックスできたら童貞してねぇよ!」
『安心せえええええい。神だから、世界を変えることくらい楽だから。だからお前と恋人であるという前提の世界にしてやるから。だから安心してセックスしてこい』

 無理だろ、とか。嘘だろ、とか。いろいろと言いたいことはある。
 でも少し期待しちゃっている自分もいる。
 え、俺もしかして童貞卒業できるんじゃないのだろうかって。


『いっておくが、エイプリルフール限定だから。嘘ということが前提のセックスだから。エイプリルフールが終われば、その世界も消えるから。つまりお前の記憶からもセックスの記憶はなくなるということ。結局は童貞であることには変わりない』

「結局童貞は変わらないのかよ!」


 くっそ、非情だ。世の中非情すぎる。
 同性愛という概念がない世界ではあるが、いい加減普通に童貞卒業させてくれよ。


『ええええい。神に逆らうな。いいからお前はさっさと飛ばされていけえええい』


 自称神がそう叫んだ瞬間。光の輝きがさらに強くなり、俺はもう目を閉じることしかできなくなっていった。
 そして足下がふらつき、俺はその場から転落するような感覚に陥るのだった。






+++

 クウガが神によって、それぞれのキャラと恋人関係であるという世界に行ってセックスするというだけのお話。
 本編とは一切関係はありません。あまり細かいことを気にせず読んでください。

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