22 / 23
墓まで
しおりを挟む
《お題【隠し事】=不倫、はあまりにも安直。でも真っ先に浮かんだのがこれだったので》
「もう会わない、絶対に会わない」
「なんでだよ、いいのかよ、このままで」
「いいの。今のままで。墓まで持っていく隠し事は、私が犯した罪の一生掛けての禊」
「なんだよ、それ。本当に言わないのか」
「言わない」
「お前の天秤はどっちに傾いてたんだよ」
「それも言わない」
「いいんだな、それで。これっきりで」
「いいの、あなたとはこれっきりで」
「後悔しないか」
「しない」
「絶対?」
「絶対」
「禊って、自分に嘘ついて生きるって意味じゃないのか」
「違う。絶対違う」
「そうか。けど、その子は」
「この子は間違いなくあなたの子。こう話すのは今日が最後。この事実は墓まで持っていく」
*
可愛い我が子をあやしていると、自分に似てると思えてくる。
血、繋がってないのにな。
穏やかに過ぎていく妻と子供と三人の暮らし。
知ってるよ。
でも、これは墓まで持っていく僕の隠し事。君たちを守る為に。
「もう会わない、絶対に会わない」
「なんでだよ、いいのかよ、このままで」
「いいの。今のままで。墓まで持っていく隠し事は、私が犯した罪の一生掛けての禊」
「なんだよ、それ。本当に言わないのか」
「言わない」
「お前の天秤はどっちに傾いてたんだよ」
「それも言わない」
「いいんだな、それで。これっきりで」
「いいの、あなたとはこれっきりで」
「後悔しないか」
「しない」
「絶対?」
「絶対」
「禊って、自分に嘘ついて生きるって意味じゃないのか」
「違う。絶対違う」
「そうか。けど、その子は」
「この子は間違いなくあなたの子。こう話すのは今日が最後。この事実は墓まで持っていく」
*
可愛い我が子をあやしていると、自分に似てると思えてくる。
血、繋がってないのにな。
穏やかに過ぎていく妻と子供と三人の暮らし。
知ってるよ。
でも、これは墓まで持っていく僕の隠し事。君たちを守る為に。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる