舞姫【前編】

 恋や愛なんて言葉で表現できない絆で繋がる心と躰。


 時代は、90年代初頭。

 金と地位と権力と愛欲。

 私利私欲に溺れた大人達に翻弄されるのはいつだって弱者。

 二人の少年はある事件に。
 少女はある事故に。
 静謐な幸せを奪われ人生が一転した。


 二人の少年が大人になった時、少女に出会ってしまったその日から、運命が動き出す。

 雨降るネオン街で星児(せいじ)と保(たもつ)はみちるという少女を拾う。

 育てる。そう決めたのは、〝処女〟だったから。最高の〝切り札〟になる、と見込んだから。ただそれだけの筈だったのに。


 彼等の行く手には事件と事故の影。

 見え隠れするのは“華麗なる一族”の光と影と、汚職にまみれた国家権力。次第に、全く無関係と思われていた二つの事件の接点が浮き上がり始める。

 手繰り寄せる過去のピースが揃った時、星児と保、そしてみちるは、自分達を結ぶ思いもよらない事実を知る。



 誰も本気になどならない筈だったのに。決して口にしてはいけない感情を心にしまい、複雑に絡み合う3人の糸の先に待つものは幸せか、それとも――。



*恋愛要素たっぷりのミステリーとなってます。


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