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羽化
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右京さんと〝寝て〟はいません。でも……少しだけ、嘘をつきました。
みちるの躰には、まだ彼の温もりと感覚が残っていた。
指一本も、は嘘です。右京さんを全身で感じた記憶は残ってる。でも肌は触れてないもの!
全てを見透かすような、星児の瞳。みちるはそんな星児の視線に毅然と立ち向かう。
「みちるに〝触れる〟事なく、御幸はそんな約束をしたのか?」
星児の声には明らかに怪訝な響きがあり、微かに意地悪な色も滲んでいた。みちるは改めてキッと見詰め返して口を開いた。
「あの方は私に言ったんです!」
みちるはあの夜の、御幸の言葉を丁寧に星児と保に伝えようと、ギュッと目を閉じ、気持ちを整え語り始めた。
『みちる』
御幸の深みのある静かな声が、みちるの名を呼ぶ。
胸に素直に染み込む声にみちるは御幸を見上げていた。
『君の大事なものは、こんな、私のような男ではなく、みちる自身の本当に大切な男に捧げなさい。
ただ、約束だからね。
みちるの〝処女〟は私が頂いた、という事にしておこう。
その〝大切な男〟にだけ、真実を伝えると良い』
瞳を潤ませたみちるに穏やかに微笑みかけた御幸は、みちるの顔を両手でそっと挟むと頬に優しくキスをした。
みちるは御幸の言葉だけを伝えた。
ごめんなさい。あれは、御幸さんと私の大事な思い出。秘密です。
目を閉じたまま俯くみちるに、そうか、と星児が何かを諦めたかのように肩を竦めた。みちるの頬を優しく両手を添え、挟んだ。
「みちる、その大事な話を俺達にしたのは何故だ?」
答えを得る為に、深く黒い瞳がみちるを捉えていた。
トクトクと加速する鼓動に苦しい吐息。みちるの唇が震える。
今夜、伝えようと一大決心した。今が伝える時。けれどいざとなると。
怖い。
でも、今ちゃんと口にしなければ伝わらない。
みちるは意を決して、言った。
「私を、星児さんと保さんに貰ってもらいたいです」
保は、微かに上がったみちるの体温を感じていた。
この言葉に、どんな覚悟を。
押し潰されそうになる感覚に保は顔をしかめた。
真空のような緊張の空間を、星児がフッと笑う事で解した。
「みちる、いいか? 一生に一度の相手っつーのは、ただ1人だぞ」
星児の静かな言葉に保の胸にズキッと痛みが走った。
そうだ。そんなんだよ、みちる。
「あ……」
みちるが、そうだった、というように口に手を当てた。保はクスリと笑った。
みちる、君って子は。
保はみちるを背後から抱き締め、静かに言った。
「ピアスの時と同じだな」
「それは……」
その意味は。
「そういう事だ」
振り向いたみちるに保は優しくキスをした。
みちるの躰が大きく跳ねる。
「あ、だめ、んあっんっ」
拡げた足の間にある星児の頭を堪らず押したが、その手を保に掴まれた。保は掴んだ手にキスをし、囁く。
「沢山、躰を喜ばせてあげてからじゃないと」
「んんんっ、ひあっあ」
何度も背中を弓なりに反らせる度に揺れる形の良い乳房の愛撫は保が請け負う。
絶え間なく襲う悦楽の波に呑み込まれていく。快感が幾度も躰の芯を貫き、みちるは何度も声を上げた。
持たないですーー、そう思った時、星児がみちるを見、フッと笑った。
「みちる、力抜けよ」
涙目のみちるの両膝裏を掴み目一杯拡げさせた、星児は甘く囁く。
「ぁんっ」
背中を保に預けるみちるは初めての感覚を味わった。
「こ、こわれちゃうっ」
「壊れねーよ。大丈夫だから、力抜け」
首を振るみちるを濡らす為に保は背後から秘豆を刺激した。
「ひあうっ、保さん、そこだめっ」
「いいぞ、みちる」
一気に熱した鉄のような芯が入ってきた。
「あ、あ、っ」
目を見開くみちるはズズッという膣の感触を覚えていた。
視界を瞬くうちに、突端に熱が届く。
「入ったぞ」
みちるの細い腰を抱く星児が隙間なく密着する。芳香溢れる顔が目の前にあった。
「みちる」
繋がったまま頬に手を添える星児に、みちるは涙を浮かべとろんとした瞳を向けた。唇を重ねてから、星児は上半身を少し離した。
「動かすぞ」
奥が、何度も突かれる。声を上げるみちるの唇を、保が優しく塞いだ。
これが。これが。
「ーーーーああっ」
「みちる」
保と星児に強く挟まれ、みちるは目を閉じた。
ここにずっと。この二人の間にずっといたい。
立て続けに2人の男を受け入れたみちるの躰は痺れを残し、意識は深い泉の底に堕ちていった。
伸ばした両手は、それぞれ違う感触の手が握りしめる。
星児さん、保さん。
「みちる、もう眠るといい」
柔らかな声は眠りの森に誘う。
すぅ……と眠ったみちるの髪に保がそっとキスをした。その姿を見ながら星児はタバコに手を伸ばした。
みちるの右手を握る手はそのままに器用にそれを取り出しくわえ、火を点ける。
保が静かに切り出した。
「ヴァージンは、お前初めてだったろ」
タバコをくわえていた星児が横目で保を見る。
「悪ぃか」
煙を吐き出しハッハと笑った。星児特有の照れ隠しである事を保は知っている。
恐らく、今夜の星児はあまり見られない姿だったんだろうな、と保は思う。いつも余裕に構える星児が、と。
みちるの寝姿を眺めて保は、自分も正気を失いかけていた、と苦笑いした。
止められなかった――。
眠るみちるの頬に涙の跡が一筋残っていた。保はそっと手で拭いそこに軽くキスをした。
「俺達の先には、どんな未来が待っているんだろうな」
星児は、さあな、とだけ答え、くゆる煙に目を細めていた。
†††
みちるの躰には、まだ彼の温もりと感覚が残っていた。
指一本も、は嘘です。右京さんを全身で感じた記憶は残ってる。でも肌は触れてないもの!
全てを見透かすような、星児の瞳。みちるはそんな星児の視線に毅然と立ち向かう。
「みちるに〝触れる〟事なく、御幸はそんな約束をしたのか?」
星児の声には明らかに怪訝な響きがあり、微かに意地悪な色も滲んでいた。みちるは改めてキッと見詰め返して口を開いた。
「あの方は私に言ったんです!」
みちるはあの夜の、御幸の言葉を丁寧に星児と保に伝えようと、ギュッと目を閉じ、気持ちを整え語り始めた。
『みちる』
御幸の深みのある静かな声が、みちるの名を呼ぶ。
胸に素直に染み込む声にみちるは御幸を見上げていた。
『君の大事なものは、こんな、私のような男ではなく、みちる自身の本当に大切な男に捧げなさい。
ただ、約束だからね。
みちるの〝処女〟は私が頂いた、という事にしておこう。
その〝大切な男〟にだけ、真実を伝えると良い』
瞳を潤ませたみちるに穏やかに微笑みかけた御幸は、みちるの顔を両手でそっと挟むと頬に優しくキスをした。
みちるは御幸の言葉だけを伝えた。
ごめんなさい。あれは、御幸さんと私の大事な思い出。秘密です。
目を閉じたまま俯くみちるに、そうか、と星児が何かを諦めたかのように肩を竦めた。みちるの頬を優しく両手を添え、挟んだ。
「みちる、その大事な話を俺達にしたのは何故だ?」
答えを得る為に、深く黒い瞳がみちるを捉えていた。
トクトクと加速する鼓動に苦しい吐息。みちるの唇が震える。
今夜、伝えようと一大決心した。今が伝える時。けれどいざとなると。
怖い。
でも、今ちゃんと口にしなければ伝わらない。
みちるは意を決して、言った。
「私を、星児さんと保さんに貰ってもらいたいです」
保は、微かに上がったみちるの体温を感じていた。
この言葉に、どんな覚悟を。
押し潰されそうになる感覚に保は顔をしかめた。
真空のような緊張の空間を、星児がフッと笑う事で解した。
「みちる、いいか? 一生に一度の相手っつーのは、ただ1人だぞ」
星児の静かな言葉に保の胸にズキッと痛みが走った。
そうだ。そんなんだよ、みちる。
「あ……」
みちるが、そうだった、というように口に手を当てた。保はクスリと笑った。
みちる、君って子は。
保はみちるを背後から抱き締め、静かに言った。
「ピアスの時と同じだな」
「それは……」
その意味は。
「そういう事だ」
振り向いたみちるに保は優しくキスをした。
みちるの躰が大きく跳ねる。
「あ、だめ、んあっんっ」
拡げた足の間にある星児の頭を堪らず押したが、その手を保に掴まれた。保は掴んだ手にキスをし、囁く。
「沢山、躰を喜ばせてあげてからじゃないと」
「んんんっ、ひあっあ」
何度も背中を弓なりに反らせる度に揺れる形の良い乳房の愛撫は保が請け負う。
絶え間なく襲う悦楽の波に呑み込まれていく。快感が幾度も躰の芯を貫き、みちるは何度も声を上げた。
持たないですーー、そう思った時、星児がみちるを見、フッと笑った。
「みちる、力抜けよ」
涙目のみちるの両膝裏を掴み目一杯拡げさせた、星児は甘く囁く。
「ぁんっ」
背中を保に預けるみちるは初めての感覚を味わった。
「こ、こわれちゃうっ」
「壊れねーよ。大丈夫だから、力抜け」
首を振るみちるを濡らす為に保は背後から秘豆を刺激した。
「ひあうっ、保さん、そこだめっ」
「いいぞ、みちる」
一気に熱した鉄のような芯が入ってきた。
「あ、あ、っ」
目を見開くみちるはズズッという膣の感触を覚えていた。
視界を瞬くうちに、突端に熱が届く。
「入ったぞ」
みちるの細い腰を抱く星児が隙間なく密着する。芳香溢れる顔が目の前にあった。
「みちる」
繋がったまま頬に手を添える星児に、みちるは涙を浮かべとろんとした瞳を向けた。唇を重ねてから、星児は上半身を少し離した。
「動かすぞ」
奥が、何度も突かれる。声を上げるみちるの唇を、保が優しく塞いだ。
これが。これが。
「ーーーーああっ」
「みちる」
保と星児に強く挟まれ、みちるは目を閉じた。
ここにずっと。この二人の間にずっといたい。
立て続けに2人の男を受け入れたみちるの躰は痺れを残し、意識は深い泉の底に堕ちていった。
伸ばした両手は、それぞれ違う感触の手が握りしめる。
星児さん、保さん。
「みちる、もう眠るといい」
柔らかな声は眠りの森に誘う。
すぅ……と眠ったみちるの髪に保がそっとキスをした。その姿を見ながら星児はタバコに手を伸ばした。
みちるの右手を握る手はそのままに器用にそれを取り出しくわえ、火を点ける。
保が静かに切り出した。
「ヴァージンは、お前初めてだったろ」
タバコをくわえていた星児が横目で保を見る。
「悪ぃか」
煙を吐き出しハッハと笑った。星児特有の照れ隠しである事を保は知っている。
恐らく、今夜の星児はあまり見られない姿だったんだろうな、と保は思う。いつも余裕に構える星児が、と。
みちるの寝姿を眺めて保は、自分も正気を失いかけていた、と苦笑いした。
止められなかった――。
眠るみちるの頬に涙の跡が一筋残っていた。保はそっと手で拭いそこに軽くキスをした。
「俺達の先には、どんな未来が待っているんだろうな」
星児は、さあな、とだけ答え、くゆる煙に目を細めていた。
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