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大晦日
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今夜は、お家で年越し宴会、ということで、ママとおばさんがキッチンでお料理してます。これはこうして、こうやって、と作り方を相談していたと思ったら、冗談言って大笑いしたり。とっても賑やか。
あたしがいるリビングからカウンターになってるキッチンはよく見えるんだけど、ママもおばさんもすごく楽しそう。
おばさんとママは、よくしゃべって、よく笑って、まるで姉妹。そうだよね、生まれた時からずっと一緒って言ってたもんね。
あたしは、歩くのもびっこ引いてるからママもおばさんも「ひよちゃんは座ってなさい」って。だから今はこうしてリビングのソファに座ってテレビ観てる。
なんだか、さびしいです。賑やかなのに、さびしいなんて言ったら神さまに怒られちゃうかな。
でも。あたしの胸の中にずっとモヤモヤした雲があって晴れなくて。そのせいかな。
外は、ゆっくりと暮れ始めてる。遼ちゃんの予定は――、今夜は大学時代のお友達と呑み会の予定が入っているみたいです。
しょんぼり。
あたし、こんな足じゃ、どこにも行けないもん。このまま、紅白観て、お蕎麦食べて、年越しちゃうのかな。
遼ちゃん。心が、離れちゃうーー。
夜になって、ママとおばさんが呑み始めた頃、年末ぎりぎりまでお仕事していたおじさんがやって来た。
すでに仕事のお仲間さんと呑んでて、少し酔っぱらってるおじさんがあたしに四角い包みをくれた。
クリスマスの包装紙です。ちょっと大きいですよ?
「ひよりちゃんにクリスマスプレゼントだよー」
え? くりすます?
「あなた、なーに? 今さらー?」
「仕事場のロッカーに、入ってた。職場のクリスマス会だったかで、ビンゴで当てたの忘れてたー」
そう言って、おじさんワハハと笑った。酔っぱらってご機嫌で、いつもの物静かなおじさんが別人みたいになってます。
「ゲーム機らしいんだけど、遼太にやっても仕方ないからひよりちゃんにあげようと思ってね。でもロッカーの奥に入れて忘れてしまってたんだな」
そうなんだー。
おばさんが「あなたったらー」と文句言って、ママは「まぁ、すみません」と言っていた。
あたしは、というと。やっぱりプレゼント貰えるのは嬉しいな。
「おじさん、ありがとう! あたし、足がこんなだから、どこにもいけないし、いいものもらっちゃった」
おじさん、嬉しそうな笑顔であたしの頭を撫でてくれた。
「ひよりちゃんに喜んでもらえるのが、おじさん一番嬉しいなあ」
おばさんが、お酒のグラス片手にフフフと笑った。
「うちは娘いないから、この人、ひよりちゃんかわいがることで娘持つ父親の疑似体験してるの」
おじさんは、そうそう、と言いながらおばさんの隣に座って、渡されたグラスにママからお酒注いでもらう。
「晃太も健太も一向に嫁さん連れて来ないしなぁ」
「アハハ、そうね」
おじさんの言葉に、ママもおばさんも笑ってた。
晃太さん、健太さん、というのは、遼ちゃんのお兄ちゃん。あたしとはあんまりにもお年が離れているので、一緒に遊んでもらったりした記憶はほとんどないのです。
もうお家にもいないし遠くに住んているので、お顔もあまり覚えてません。パパもママも、よく知ってるみたいだけど。
そっか、まだ結婚はしてないよね、そういえば。
けっこん。
その言葉、思い浮べてちょっとドキッとしちゃった。
遼ちゃん。あたしは、遼ちゃんのお嫁さんになれるのかなぁ。
小さい頃はいつも、遼ちゃんのお嫁さんになるの、って言ってた。あの頃の気持ちと、今の気持ちじゃ、言葉の重さが違うけど、やっぱりあたしは遼ちゃんのお嫁さんになりたいです。
あたしは、ソファの上で膝をだくように座って、その上に顔をのせた。そのまま、おじさんがくれた包みを開ける。
あー、任天堂スイッチ! すごーい、カセット付き? スーパーマリオ、かな。
これ、おじさん、ほんとにビンゴの賞品かなぁ。
おじさん交えてママたちはますます楽しそうに盛り上がる。
ママもおばさんもおじさんも、あたしがひとりぼっちにならないように時々色んなことを聞いたり話し掛けたりしてくれたけど、次第に大盛り上がりの大宴会になって、三人でわいわい飲んだり歌ったりが始まった。
楽しそう、と思いながら、あたしはもらったゲームを始めてみた。
ピーチ姫がかわいくて、楽しい。
普段、ほとんどゲームなんてしないあたしが時間も忘れて夢中でピコピコやっていると。
「なんだ、ひよ、珍しいな、ゲーム?」
あたしの耳に馴染んだ、あたしを蕩けさせてしまう、大好きなお声が、頭の上から降ってきた。
パッと振り返って見上げると。
「よっ、なんか久しぶりだよな、ひよ」
頭を、撫でる大きな手。
遼ちゃん、遼ちゃん、遼ちゃん!
「いったぁっ!」
「あ、こら、ひよっ、立つな!」
あたし、遼ちゃんに飛びつこうとして、思わず立ち上がってケガをしていた足を思いきり床に着いちゃった。
激痛が走って膝が折れて、崩れそうになったところを、遼ちゃんの腕に支えられた。
あ……遼ちゃん。
たくましくて、強い腕が、あたしのカラダを抱いてくれる。
遼ちゃんだ。見上げると、遼ちゃんの優しい大きな目があたしを見て笑ってる。
今まで、会いたくて会いたくて、遼ちゃん求めて胸に詰まっていた想いが、出口に殺到して大渋滞してます。
せっかく久しぶりに、遼ちゃんに触れているのに。あんなにあんなに触れたくて触れたくて仕方なかった遼ちゃんに触れているのに。
「あ、あ、あのね、」
言葉が、出てこないの。
金魚みたいにお口パクパクしているあたしに、遼ちゃん、プッと吹き出した。
「なに? 餌ほしい?」
ひっ、ひど――――――いっ!
「遼ちゃんのばかっ!」
ちがうちがう、こんな言葉が言いたかったんじゃないのに!
りょ、遼ちゃんが変なこと言うから!
頬を膨らませて睨んだあたしに、遼ちゃん。
「冗談だよ、ごめんごめん」
笑いながらあたしを両手で抱き上げてソファに座らせてくれた。
「遼太―、遅かったじゃないの。ほら、駆けつけ一杯よー」
まだなにも注がれていないワイングラスをこちらにむけるおばさんと、ボトルを持って注ぐ準備ばっちりのママ。
「駆けつけ一杯って、今俺ワイン一気したら死ぬぞ」
呆れ半分で言う遼ちゃんのお顔を、ソファに座っているあたしは見上げた。
遼ちゃん、呑んで来たみたいだけど。ほとんど酔ってはいないみたい。
帰ってきてくれたの?
死にゃぁしないわよぉ、というおばさんと、遼ちゃん軽く言い合いが始まった。
おじさんはもう酔い潰れて寝ちゃってます。ママは、ニコニコしながらおばさんと遼ちゃんのやり取り見てる。あたしは、遼ちゃんが来てくれただけで嬉しくて嬉しくて。
遼ちゃんは、ママたちのところに座って、お話し始めたけど、ほとんどお酒に手をつけない。
遼ちゃん、呑まないのかな?
そんな風に思いながらあたしはテレビを観た。
紅白が、もう終わりに近づいてる。あ、遼ちゃん、日付が変わるよ? 新年は遼ちゃんと一番最初のご挨拶が出来るのね。
あたしが、そわそわしていると。
「そうだ、俺、近所の神社にひよ連れて初詣行ってくるよ」
え?
「あら、それはいいわね。でも、松葉杖のひよちゃん連れて行くのはたいへんよ?」
ママが言うと、遼ちゃんは。
「おぶって行く。ひよは軽いから」
ハハハと笑った遼ちゃんは「ほら、ひよ行くぞ」とあたしをソファからお姫様抱っこで抱き上げた。
ふわっとカラダが浮いて、あたしはとっさに遼ちゃんに掴まった。
遼ちゃん!?
お酒が入ったママとおばさんは、遼ちゃんの思いつきと行動を深く追求することもなく。
「いってらっしゃーい」
と、上機嫌で手を振って見送ってた。
あたしがいるリビングからカウンターになってるキッチンはよく見えるんだけど、ママもおばさんもすごく楽しそう。
おばさんとママは、よくしゃべって、よく笑って、まるで姉妹。そうだよね、生まれた時からずっと一緒って言ってたもんね。
あたしは、歩くのもびっこ引いてるからママもおばさんも「ひよちゃんは座ってなさい」って。だから今はこうしてリビングのソファに座ってテレビ観てる。
なんだか、さびしいです。賑やかなのに、さびしいなんて言ったら神さまに怒られちゃうかな。
でも。あたしの胸の中にずっとモヤモヤした雲があって晴れなくて。そのせいかな。
外は、ゆっくりと暮れ始めてる。遼ちゃんの予定は――、今夜は大学時代のお友達と呑み会の予定が入っているみたいです。
しょんぼり。
あたし、こんな足じゃ、どこにも行けないもん。このまま、紅白観て、お蕎麦食べて、年越しちゃうのかな。
遼ちゃん。心が、離れちゃうーー。
夜になって、ママとおばさんが呑み始めた頃、年末ぎりぎりまでお仕事していたおじさんがやって来た。
すでに仕事のお仲間さんと呑んでて、少し酔っぱらってるおじさんがあたしに四角い包みをくれた。
クリスマスの包装紙です。ちょっと大きいですよ?
「ひよりちゃんにクリスマスプレゼントだよー」
え? くりすます?
「あなた、なーに? 今さらー?」
「仕事場のロッカーに、入ってた。職場のクリスマス会だったかで、ビンゴで当てたの忘れてたー」
そう言って、おじさんワハハと笑った。酔っぱらってご機嫌で、いつもの物静かなおじさんが別人みたいになってます。
「ゲーム機らしいんだけど、遼太にやっても仕方ないからひよりちゃんにあげようと思ってね。でもロッカーの奥に入れて忘れてしまってたんだな」
そうなんだー。
おばさんが「あなたったらー」と文句言って、ママは「まぁ、すみません」と言っていた。
あたしは、というと。やっぱりプレゼント貰えるのは嬉しいな。
「おじさん、ありがとう! あたし、足がこんなだから、どこにもいけないし、いいものもらっちゃった」
おじさん、嬉しそうな笑顔であたしの頭を撫でてくれた。
「ひよりちゃんに喜んでもらえるのが、おじさん一番嬉しいなあ」
おばさんが、お酒のグラス片手にフフフと笑った。
「うちは娘いないから、この人、ひよりちゃんかわいがることで娘持つ父親の疑似体験してるの」
おじさんは、そうそう、と言いながらおばさんの隣に座って、渡されたグラスにママからお酒注いでもらう。
「晃太も健太も一向に嫁さん連れて来ないしなぁ」
「アハハ、そうね」
おじさんの言葉に、ママもおばさんも笑ってた。
晃太さん、健太さん、というのは、遼ちゃんのお兄ちゃん。あたしとはあんまりにもお年が離れているので、一緒に遊んでもらったりした記憶はほとんどないのです。
もうお家にもいないし遠くに住んているので、お顔もあまり覚えてません。パパもママも、よく知ってるみたいだけど。
そっか、まだ結婚はしてないよね、そういえば。
けっこん。
その言葉、思い浮べてちょっとドキッとしちゃった。
遼ちゃん。あたしは、遼ちゃんのお嫁さんになれるのかなぁ。
小さい頃はいつも、遼ちゃんのお嫁さんになるの、って言ってた。あの頃の気持ちと、今の気持ちじゃ、言葉の重さが違うけど、やっぱりあたしは遼ちゃんのお嫁さんになりたいです。
あたしは、ソファの上で膝をだくように座って、その上に顔をのせた。そのまま、おじさんがくれた包みを開ける。
あー、任天堂スイッチ! すごーい、カセット付き? スーパーマリオ、かな。
これ、おじさん、ほんとにビンゴの賞品かなぁ。
おじさん交えてママたちはますます楽しそうに盛り上がる。
ママもおばさんもおじさんも、あたしがひとりぼっちにならないように時々色んなことを聞いたり話し掛けたりしてくれたけど、次第に大盛り上がりの大宴会になって、三人でわいわい飲んだり歌ったりが始まった。
楽しそう、と思いながら、あたしはもらったゲームを始めてみた。
ピーチ姫がかわいくて、楽しい。
普段、ほとんどゲームなんてしないあたしが時間も忘れて夢中でピコピコやっていると。
「なんだ、ひよ、珍しいな、ゲーム?」
あたしの耳に馴染んだ、あたしを蕩けさせてしまう、大好きなお声が、頭の上から降ってきた。
パッと振り返って見上げると。
「よっ、なんか久しぶりだよな、ひよ」
頭を、撫でる大きな手。
遼ちゃん、遼ちゃん、遼ちゃん!
「いったぁっ!」
「あ、こら、ひよっ、立つな!」
あたし、遼ちゃんに飛びつこうとして、思わず立ち上がってケガをしていた足を思いきり床に着いちゃった。
激痛が走って膝が折れて、崩れそうになったところを、遼ちゃんの腕に支えられた。
あ……遼ちゃん。
たくましくて、強い腕が、あたしのカラダを抱いてくれる。
遼ちゃんだ。見上げると、遼ちゃんの優しい大きな目があたしを見て笑ってる。
今まで、会いたくて会いたくて、遼ちゃん求めて胸に詰まっていた想いが、出口に殺到して大渋滞してます。
せっかく久しぶりに、遼ちゃんに触れているのに。あんなにあんなに触れたくて触れたくて仕方なかった遼ちゃんに触れているのに。
「あ、あ、あのね、」
言葉が、出てこないの。
金魚みたいにお口パクパクしているあたしに、遼ちゃん、プッと吹き出した。
「なに? 餌ほしい?」
ひっ、ひど――――――いっ!
「遼ちゃんのばかっ!」
ちがうちがう、こんな言葉が言いたかったんじゃないのに!
りょ、遼ちゃんが変なこと言うから!
頬を膨らませて睨んだあたしに、遼ちゃん。
「冗談だよ、ごめんごめん」
笑いながらあたしを両手で抱き上げてソファに座らせてくれた。
「遼太―、遅かったじゃないの。ほら、駆けつけ一杯よー」
まだなにも注がれていないワイングラスをこちらにむけるおばさんと、ボトルを持って注ぐ準備ばっちりのママ。
「駆けつけ一杯って、今俺ワイン一気したら死ぬぞ」
呆れ半分で言う遼ちゃんのお顔を、ソファに座っているあたしは見上げた。
遼ちゃん、呑んで来たみたいだけど。ほとんど酔ってはいないみたい。
帰ってきてくれたの?
死にゃぁしないわよぉ、というおばさんと、遼ちゃん軽く言い合いが始まった。
おじさんはもう酔い潰れて寝ちゃってます。ママは、ニコニコしながらおばさんと遼ちゃんのやり取り見てる。あたしは、遼ちゃんが来てくれただけで嬉しくて嬉しくて。
遼ちゃんは、ママたちのところに座って、お話し始めたけど、ほとんどお酒に手をつけない。
遼ちゃん、呑まないのかな?
そんな風に思いながらあたしはテレビを観た。
紅白が、もう終わりに近づいてる。あ、遼ちゃん、日付が変わるよ? 新年は遼ちゃんと一番最初のご挨拶が出来るのね。
あたしが、そわそわしていると。
「そうだ、俺、近所の神社にひよ連れて初詣行ってくるよ」
え?
「あら、それはいいわね。でも、松葉杖のひよちゃん連れて行くのはたいへんよ?」
ママが言うと、遼ちゃんは。
「おぶって行く。ひよは軽いから」
ハハハと笑った遼ちゃんは「ほら、ひよ行くぞ」とあたしをソファからお姫様抱っこで抱き上げた。
ふわっとカラダが浮いて、あたしはとっさに遼ちゃんに掴まった。
遼ちゃん!?
お酒が入ったママとおばさんは、遼ちゃんの思いつきと行動を深く追求することもなく。
「いってらっしゃーい」
と、上機嫌で手を振って見送ってた。
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