ねぇ、大好きっていって

友秋

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スウィート・バスタイム2

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 無我夢中だったの。

 遼ちゃんに誰かが?

 遼ちゃんが誰かのものに?

 そんなことを考えたら、頭の中がぐちゃぐちゃになった。

 いや!

 絶対にイヤ! 遼ちゃんに誰も触らないで!

 涙が止まらなくなって、気付いたら遼ちゃんにしがみついて泣き出していた。

 なんて言ったかなんて覚えてないけれど、遼ちゃん「どこにも行かないで」って必死に訴えていたと思う。

 遼ちゃんは、そんなあたしを優しく抱きとめてくれて、頭を撫でてくれた。

 痺れるの。

遼ちゃんの腕も、手も、

「もう、しないから」

 甘い、声も。

 もう、しない?

 あたしは、遼ちゃんの言葉の意味がちょっと分からなくて顔を上げた。

 真っ直ぐに見つめ合うと、遼ちゃん、ニッと笑った。なんだか、意味深な笑みも、カッコよくてドキンッ。

「ひよ」

 遼ちゃんがあたしの顔を両手で優しく挟む。

「はい」とお返事すると。

「〝なかよし〟のアップデートをしよう」
「え?」




 遼ちゃんとお風呂、いつまで入ってたかな。遼ちゃんが高校生になるくらいまで、かな?

 ママに怒られて泣きながら遼ちゃんのお家に行った時。お友達にいじめられて泣いてた時。

 いつもお風呂一緒に入って慰めてくれた。ママに一緒に謝ってくれた事もあったよね、遼ちゃん。

 遼ちゃんは今夜、お風呂で、もう一つの〝なかよし〟を教えてくれた――。




 遼ちゃんのお家はお風呂が2階にある。あたしをお姫様抱っこしてくれた遼ちゃんはお部屋からあっという間にお風呂へ。

 遼ちゃん、服を脱ぐ。

 ワイシャツの下に隠れていた、鍛えて引き締まった身体、それからーー、

 ドキドキしてしまう。

 小さい頃見た遼ちゃんの、その、はだか……は、は、はだか。

 あ、あのあのあの! えっとえっと。

「遼ちゃん」
「ん?」

 オロオロするあたしに遼ちゃん、クスッと笑った。

「ひよ、ほら」

 遼ちゃん、あたしの腕を首に抱き付かせて……レギンスと……ショーツ脱がせてくれて……、

 ワンピースを、まるで小さな子供の服を脱がせるみたいに脱がせてくれた。

 あたしを横抱きに抱き上げた遼ちゃんは、笑う。

「りょ、遼ちゃん!」
「今さら、だろ」

 恥ずかしいのと、ドキドキと、嬉しい?

 あたしは、遼ちゃんの首にギュッとしがみついた。

 ねえ遼ちゃん。肌が触れ合うって不思議な気持ちになるよ。

 フワフワする。どうしよう。

 チャプン、ってお湯が跳ねた。

 バスタブの中で遼ちゃんにまたがるようにして座って、向き合う。

「ひよ」

 遼ちゃんの声が、くすぐったいの。

 長い指が髪の毛梳いてくれて、ふるって震えた。

 遼ちゃんのお顔がゆっくり近づいて、キスをする。

 ……あっ。

 あたしは、微かに感電したみたいな感覚にたまらず唇を離した。

「遼ちゃ、あっんんっ」

 ビクンッと震えた。遼ちゃんの手があたしの胸の先端に触れていた。あたしはギュッと目を瞑る。

「遼ちゃん、どうしよう……」

 そこ、触られると。

「どうしよう、って?」

 優しく笑った遼ちゃんの顔が涙で曇ってよく見えないよ。

「だめだよぉ……からだ中がゾクゾクするの」

 あたしは無我夢中で手を伸ばして遼ちゃんにしがみついた。

「ひよ、感度良すぎだよ」

 しがみくつあたしをほんの少し引き離すと遼ちゃんは、胸の先端……乳首、を吸った。あたしはさっきより大きくビクッと震えた。

「やぁあ……っん……ぁあ……」

 声が出ちゃう。

「ぁあ……ん……」

 遼ちゃんの肩に捕まって、あたしは仰け反る。

「は、あっ」

 どうしよう! おかしくなっちゃいそう!

「ああんっ、遼ちゃん」

 あたしの胸から少し顔を離した遼ちゃん、クスッと笑った。

「ひよのカラダが気持ちいい、って言ってる」
「え? あっ、遼ちゃん、そんなとこ!」

 遼ちゃんの手が、指が、あたしの、足の間に滑りこんでいた。あたしはお湯の中の遼ちゃんの手に触れる。筋肉が綺麗についた逞しい遼ちゃんの腕。

「ひよ」

 遼ちゃんが、耳元で囁く。

「ワンランク上の〝なかよし〟しよう」

 遼ちゃんの顔を見る。

 バスタブからゆらゆら上がる湯気が優しくあたしと遼ちゃんを包む。遼ちゃんが、柔らかくて優しいキスをしてくれた。

 もう一つ上の〝なかよし〟。

 あたしは、ドキドキ鳴る胸を抑えて頷いた。




~side 遼太~

 バスタブに一緒に入り、ひよを抱き寄せゆっくりと優しく胸を揉む。

「……ぁ……遼ちゃん……」

 少しとろんとした瞳が俺を見てる。戸惑いから、愛撫を受け入れる躰になってきた。

 足の間に入れた手には水の中でも濡れる秘部の感触。擦り、撫でるたびにひよは躰を捩らせる、吐息を漏らす。

「ひよ、気持ちいい?」

 ドキリとさせられる表情でコクンと小さく頷くひよが愛しくて、もう一度キスをした。

 〝少女〟と〝女〟の狭間を行き来する。揺れながら、少しずつ階段を上って行くのかもしれない。

 俺はもしかしたら、大事なタイミングを逃した、のではなくて〝間違えた〟のかもしれない。

 悩ましい表情ではあはあと息をするひよに、俺はとても狡い一言を言う。

「ひよ。今教えたこの〝なかよし〟の挨拶は本当の〝なかよし〟としかしちゃダメなんだぞ」
「遼ちゃん? あたしは、遼ちゃんとしか、しないよ?」

 キョトンとしたひよの頬を優しく撫で、そのまま黒くて綺麗な長い髪を指で梳く。

 ひよは多分、分かっていない。でもこの言葉は今、俺が言えるひよへの精一杯の気持ちだった。

 少し言い方を間違えたかもしれない、と気付くのは、もう少し後の事となる――。


 
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