130 / 158
盈月
121
しおりを挟む
***
ーー昼休みの瑠璃の態度……。
自分の部屋でベッドに寝転がりながら物思いにふける。
あれはーー。
転校してきた当初であればまだ納得できた。あの時の彼女は周りを拒絶はしなかったが、受け入れもしなかった。あの瑠璃であれば手を振り払ってもおかしくはないかもしれない。
だが、瑠璃は変わった。少なくとも、私と接する時に限っては大きく変わったと思う。だからこそあの態度気になった。
見つめ続けた白い天井が私を飲み込む。
「なんでさ」
白い世界で巡らせた考えの果て、私の頬には涙が伝った。
気づいていない訳ではなかった。
瑠璃は宿泊研修が終わってから、私への態度を少し変えた。
彼女は会話などで対峙した時、必ず探るような目をする。私以外は気づいていないであろう小さな変化。そんな秘密めいたことに私は優越感を感じていた。
だけど、宿泊研修以降、彼女は私にだけその目を向けなくなった。
瑠璃は私に興味を無くしたのかもしれない。
そう思えて怖かった。いつ友達をやめると言われるのかと怯えていた。だけど、瑠璃はいつまでもあの目を向けてくれない。私の怯えにも気づいてくれない。以前ならば絶対に気づいて何か声をかけてきたはずなのに、未だに気づく素振りもしない。
それが、興味ない裏づけのようで恐ろしかった。
私はあの子が分からない。理解したと思ってもすぐ遠くへ行ってしまうから。いつまで経ってもブラックボックスのまま。
「瑠璃……」
なんでなんだろう。怖いからずっと聞かなかったし、勘違いだと思おうとした。なのに、今日、はっきりと拒絶をされた。無意識のような行動だった。その後の謝罪に焦りが見えた。目には探る光が無かった。
「私って、もう用済みかな?」
そんなことは無いと思いたい。瑠璃はまだ、友達の証であるヘアピンをしてくれている。それにきっと、彼女なら、こんなことをせずにはっきりと「もう巴と友達やめる」と言うだろう。
だけど、そんなのはあくまで私の想像だった。本当の瑠璃は、回りくどいやり方をするのかもしれない。
「心が読めたらいいのに」
そうしたら、人間関係なんて楽になるだろう。こんなにも悩む必要は無い。瑠璃のことも、もう一人のことも。
「だけどまぁ、ひとまずは打ち上げを楽しむしかないよね……」
瑠璃と遊びに行きたいから、もっと仲良くなりたいから誘ったのだ。怖がってばかりではもったいない。
それに、もう一人の問題児にも対処しなきゃいけない。瑠璃のことだけ悩んでいられない。
スマホに表示した幼馴染の電話番号。迷わず私は発信を押した。
ーー昼休みの瑠璃の態度……。
自分の部屋でベッドに寝転がりながら物思いにふける。
あれはーー。
転校してきた当初であればまだ納得できた。あの時の彼女は周りを拒絶はしなかったが、受け入れもしなかった。あの瑠璃であれば手を振り払ってもおかしくはないかもしれない。
だが、瑠璃は変わった。少なくとも、私と接する時に限っては大きく変わったと思う。だからこそあの態度気になった。
見つめ続けた白い天井が私を飲み込む。
「なんでさ」
白い世界で巡らせた考えの果て、私の頬には涙が伝った。
気づいていない訳ではなかった。
瑠璃は宿泊研修が終わってから、私への態度を少し変えた。
彼女は会話などで対峙した時、必ず探るような目をする。私以外は気づいていないであろう小さな変化。そんな秘密めいたことに私は優越感を感じていた。
だけど、宿泊研修以降、彼女は私にだけその目を向けなくなった。
瑠璃は私に興味を無くしたのかもしれない。
そう思えて怖かった。いつ友達をやめると言われるのかと怯えていた。だけど、瑠璃はいつまでもあの目を向けてくれない。私の怯えにも気づいてくれない。以前ならば絶対に気づいて何か声をかけてきたはずなのに、未だに気づく素振りもしない。
それが、興味ない裏づけのようで恐ろしかった。
私はあの子が分からない。理解したと思ってもすぐ遠くへ行ってしまうから。いつまで経ってもブラックボックスのまま。
「瑠璃……」
なんでなんだろう。怖いからずっと聞かなかったし、勘違いだと思おうとした。なのに、今日、はっきりと拒絶をされた。無意識のような行動だった。その後の謝罪に焦りが見えた。目には探る光が無かった。
「私って、もう用済みかな?」
そんなことは無いと思いたい。瑠璃はまだ、友達の証であるヘアピンをしてくれている。それにきっと、彼女なら、こんなことをせずにはっきりと「もう巴と友達やめる」と言うだろう。
だけど、そんなのはあくまで私の想像だった。本当の瑠璃は、回りくどいやり方をするのかもしれない。
「心が読めたらいいのに」
そうしたら、人間関係なんて楽になるだろう。こんなにも悩む必要は無い。瑠璃のことも、もう一人のことも。
「だけどまぁ、ひとまずは打ち上げを楽しむしかないよね……」
瑠璃と遊びに行きたいから、もっと仲良くなりたいから誘ったのだ。怖がってばかりではもったいない。
それに、もう一人の問題児にも対処しなきゃいけない。瑠璃のことだけ悩んでいられない。
スマホに表示した幼馴染の電話番号。迷わず私は発信を押した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない
兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。
銀腕の武闘派聖女
小狐丸
ファンタジー
一生を武に生きた女性が、生まれ変わったのは貴族の少女。
不運にも事故に遭い右腕を喪くし、幸運にも神造の義手を得る。
その少々武闘派の少女が歩む人生。
気分転換に書いたものですが、暇つぶしになれば幸いです。
【完結】誰でも持っているはずの7つのスキルの内の1つ、運び屋スキルしか持っていなかったけど、最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
誰でも持っているはずの7つのスキルの内1つ【運び屋】スキルしか持っていなかったトリスが転移魔法スキルを覚え『運び屋トリス』となり、その後『青の錬金術師』として目覚め、最強の冒険者として語り継がれるようになる物語
武田義信に転生したので、父親の武田信玄に殺されないように、努力してみた。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
アルファポリス第2回歴史時代小説大賞・読者賞受賞作
原因不明だが、武田義信に生まれ変わってしまった。血も涙もない父親、武田信玄に殺されるなんて真平御免、深く静かに天下統一を目指します。
眠り姫な私は王女の地位を剥奪されました。実は眠りながらこの国を護っていたのですけれどね
たつき
ファンタジー
「おまえは王族に相応しくない!今日限りで追放する!」
「お父様!何故ですの!」
「分かり切ってるだろ!おまえがいつも寝ているからだ!」
「お兄様!それは!」
「もういい!今すぐ出て行け!王族の権威を傷つけるな!」
こうして私は王女の身分を剥奪されました。
眠りの世界でこの国を魔物とかから護っていただけですのに。
元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌
紫南
ファンタジー
十二才の少年コウヤは、前世では病弱な少年だった。
それは、その更に前の生で邪神として倒されたからだ。
今世、その世界に再転生した彼は、元家族である神々に可愛がられ高い能力を持って人として生活している。
コウヤの現職は冒険者ギルドの職員。
日々仕事を押し付けられ、それらをこなしていくが……?
◆◆◆
「だって武器がペーパーナイフってなに!? あれは普通切れないよ!? 何切るものかわかってるよね!?」
「紙でしょ? ペーパーって言うし」
「そうだね。正解!」
◆◆◆
神としての力は健在。
ちょっと天然でお人好し。
自重知らずの少年が今日も元気にお仕事中!
◆気まぐれ投稿になります。
お暇潰しにどうぞ♪
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる