聖なる悪魔~sin of faith~

須桜蛍夜

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Day by day

保健室の夜

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       ***

深夜の保健室。
いつもは誰も居ないはずのそこに今日は明かりが点いている。

「あんまり変な時間に呼び出さないでよ。出てくるの大変になるから」

「密会がバレないように気を使ってあげてるんだけどね。お節介かい?」

 魔力提供が終わり、気だるい身体に鞭打って、サクはゆっくり立ち上がる。

途端に襲ってくる目眩重力に彼女はバランスを崩す。

「今日は一段と辛そうだね」

「誰のせいだと……」

 机に手をつき、しゃがみながら息を整える。人並みの魔力は残っているが、多い魔力を平常として動いている身体は欠乏を訴える。

「でも、今、日は許すかな……今日、は、頼みがあるから……」

「頼み? 君が?」

 面白がるようなDrを無視し、サクは言葉を続けた。

「魔闘祭、まで……魔力の提、供は控えてほしいの」

 ルートの瞳が鷹のように細くなる。

「へぇ、それはどうして?」

「次の魔闘祭は……きちんと取り組むから、ボロを、出さないように。こないだみたいな……失敗をしない為」

「そんなの、適当に初戦敗退でもしておけばいいだろ」

「そうはいかないから、頼んでる。それが終わったら、もう後は……好きにしていいから」

「それは毎回限界まで絞りつくしても文句言わないって事かい?」

 悩む風に頷くサク。ルートは彼女を観察する。真意はどこにあるのか。

「分かった。何が魔闘祭にあるのか知らないけど、その要求を呑もう」

「良かった。じゃあ今日はこれで失礼する」

 机を支えにサクはふらふらと立ち上がった。

急いで帰って寝よう。そうしなければ明日は平静を保てない。そう思って持ち上げた顔の先、Drが笑いながら立ち塞がった。

「許さないよ」

 そのままサクは、簡単に押し倒される。ただでさえ力の入らない手足を強引に押さえつけられ、抵抗力を根こそぎ奪われる。

「何を……あっ」

 彼の口が少女の首筋に襲い掛かった。感じた事の無い苦痛に、サクは細く儚い悲鳴を上げる。

「あと二週間も魔力をもらえないんだろ、なら、今全部貰っちゃっても文句ないよね」

 男は再び貪り始める。そこに容赦という言葉は無い。

声が出ない。身体は動かない。彼女の身体はされるがままで、痛みが限度を超えていく。身体の全てが渇望に喘いでいる。気が狂いそうだ。耐えるなんてとんでもない。手も足も、首も腰も、全ての部分から魔力が引き剥がされていく。血は出ない。しかし、肉を剥がされる事と同種の痛みが広がっていく。発狂したい。逃げたい。無が彼女を苛んでいく。

 そして、尋常ならざる苦痛に溺れ、サクの意識は闇へと溶けた。
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