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Day by day
保健室(2)
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だが、何も起こらなかった。サクは呻きをあげて目を瞑る。魔力を練り上げた途端、頭に走った激痛に、術を保つ事などできなかった。
「良かった、効いてたんだね。いやー、ひやひやしたよ。さっき君が飲んだ水には魔力の流れをでたらめにする薬が入っていたんだ。それが効いている限り君は術を使えないよ」
全てを封じられていた。少女は視線で彼を殺すように睨みつける。
「そんな恐い顔しないでよ。らしくないよ。あ、もしかして僕が君を殺すと思ってる? そんな事しないから安心してよ」
「なんで……」
「上から殺せって言われたら殺さなきゃいけないけど、まだ君の存在は知られていない。なら、殺す必要は無いだろ? でももちろん、ただで帰すつもりも無いよ」
サクは、彼の全てを見つめ、真意を探る。
「僕には特異な能力があるって言った。でもそれは魔力を感じられる事じゃない。それはただの付属品。本当の能力は魔力を喰える事。他人の魔力を喰って自分の物にできる。ここまで言えば、僕が何を要求するか分かるんじゃない?」
「喰わせろって言うの?」
「そう、定期的に僕の餌になってくれればいい。もちろん生活に支障ない程度には留めるさ。それさえ許してくれれば僕は君の存在を口外しない。元々僕は君らに関するいざこざには興味ないんだ。みすみす餌を殺させやしないさ。悪い取引ではないだろ?」
確かに悪い取引ではない。魔力を喰うとはなんなのか。この男の掌で踊らされていていいのか。思うところは色々ある。
だが彼女にとって、殺されなければなんでもよかった。
「一つ条件がある。魔契約を交わして」
魔契約は魔術的拘束力のある契約で、決して破る事のできない約束だ。
「なるほどね。君はもう聖者じゃない訳か。いいよ、気が済むまで交わそうじゃないか」
Drは机から魔契約書取り出すと、それを彼女の手に握らせ、自分の手もそこに重ねた。
「我々は誓約を交わす。ルートはサクが聖なる民である事を口外しない。サクはルートに危害を加える事なく魔力を提供する。期限は――」
「サクの事情が公然となるまで。サクはここにそれを誓う」
「ルートはここにそれを誓う」
魔契約書は青白い光を放ち、空間へと溶けてなくなる。
「これで契約は成立っと。それじゃあ早速貰うね、対価」
いうが早いか彼女の上へと馬乗りになった。サクは突然の事に抵抗しようとするが、もちろんそれが叶う訳がない。Drはそんな彼女の首元に口を近づける。
「うっ……」
魔力が逆流する気持ちの悪い感触。そして激しい程の虚脱感が一気に身体へのしかかる。
「甘露だ。こんな濃厚な魔力は初めてだよ」
ルートは子供のような声でそう言うと、先程より激しく魔力を欲する。
「ゔ……ぁ」
彼女が呻こうとも、苦しもうとも彼は微塵も気にせず、欲望のままに貪っていく。
「良かった、効いてたんだね。いやー、ひやひやしたよ。さっき君が飲んだ水には魔力の流れをでたらめにする薬が入っていたんだ。それが効いている限り君は術を使えないよ」
全てを封じられていた。少女は視線で彼を殺すように睨みつける。
「そんな恐い顔しないでよ。らしくないよ。あ、もしかして僕が君を殺すと思ってる? そんな事しないから安心してよ」
「なんで……」
「上から殺せって言われたら殺さなきゃいけないけど、まだ君の存在は知られていない。なら、殺す必要は無いだろ? でももちろん、ただで帰すつもりも無いよ」
サクは、彼の全てを見つめ、真意を探る。
「僕には特異な能力があるって言った。でもそれは魔力を感じられる事じゃない。それはただの付属品。本当の能力は魔力を喰える事。他人の魔力を喰って自分の物にできる。ここまで言えば、僕が何を要求するか分かるんじゃない?」
「喰わせろって言うの?」
「そう、定期的に僕の餌になってくれればいい。もちろん生活に支障ない程度には留めるさ。それさえ許してくれれば僕は君の存在を口外しない。元々僕は君らに関するいざこざには興味ないんだ。みすみす餌を殺させやしないさ。悪い取引ではないだろ?」
確かに悪い取引ではない。魔力を喰うとはなんなのか。この男の掌で踊らされていていいのか。思うところは色々ある。
だが彼女にとって、殺されなければなんでもよかった。
「一つ条件がある。魔契約を交わして」
魔契約は魔術的拘束力のある契約で、決して破る事のできない約束だ。
「なるほどね。君はもう聖者じゃない訳か。いいよ、気が済むまで交わそうじゃないか」
Drは机から魔契約書取り出すと、それを彼女の手に握らせ、自分の手もそこに重ねた。
「我々は誓約を交わす。ルートはサクが聖なる民である事を口外しない。サクはルートに危害を加える事なく魔力を提供する。期限は――」
「サクの事情が公然となるまで。サクはここにそれを誓う」
「ルートはここにそれを誓う」
魔契約書は青白い光を放ち、空間へと溶けてなくなる。
「これで契約は成立っと。それじゃあ早速貰うね、対価」
いうが早いか彼女の上へと馬乗りになった。サクは突然の事に抵抗しようとするが、もちろんそれが叶う訳がない。Drはそんな彼女の首元に口を近づける。
「うっ……」
魔力が逆流する気持ちの悪い感触。そして激しい程の虚脱感が一気に身体へのしかかる。
「甘露だ。こんな濃厚な魔力は初めてだよ」
ルートは子供のような声でそう言うと、先程より激しく魔力を欲する。
「ゔ……ぁ」
彼女が呻こうとも、苦しもうとも彼は微塵も気にせず、欲望のままに貪っていく。
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