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九十七話
しおりを挟む「‥‥」
道中、誰も話す事なく歩いた
ゾフィアを先頭に彼が付いて行く
その後ろに私とジーナが歩いていた
討伐署に着くと、ゾフィアには
タリアを呼びに行ってもらい、
席を外してもらう事にした
会議室に移動し、椅子に座る
「最近、僕のことを見ている人って
どんな人だったんですか?」
椅子に座ると、彼は
先程の話の続きを始めたが
申し訳そうにジーナは頭を下げた
「ごめん、それ嘘なんだよ
討伐署の人が3人も来て
君を連れて行くことに対して、
周りの人が変な噂とか流したら困ると思った
ゾフィアが嘘をついたんだ」
頭を上げたジーナのことを見つめる彼は
次の言葉を待っているようだった
部屋が静かになったタイミングで
ゆっくりと扉が開き、
ファイルを抱えたタリアが入ってきた
あのファイルは
シギの事が書いてあるものだろう
タリアが席に座り、
私たち3人は頷き合うと
ジーナが口を開いた
「君の名前は、シギで合ってるかい?」
「はい、シギで合っています」
まだ混乱している様子だが、
しっかり答えてくれた
同じ顔、同じ名前‥
この人が私と同じ
別のところからやってきた人なんだ
心臓が口から出そうになるほど
バクバクとすごい音を上げている
隣に座るジーナにも
聞こえているんじゃないかと思うほどだ
鼻呼吸の方が良いのは分かっているが、
自然と口が開き
たくさんの酸素を取り込もうとしてしまう
「ありがとう、私はジーナ、
こっちはタリアとナツだ」
シギが順番に顔を見つめてくる
目が合った時、少し変な感じがした
何が変なのかは説明出来ないけど、
違和感を感じた
「君は北東の盗賊だったが、
街の南東のパン屋に配属になったね?」
それで、と話を続けようとしたジーナを
シギは制した
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