巡り合い、

アミノ

文字の大きさ
上 下
77 / 143

七十六話

しおりを挟む


緊張する
保管庫の前に着き、
扉の前で深く息を吸った

タリアは慣れた手つきで
2つある鍵を開け、中へ入って行く

私もゆっくりと中へ入り
その後にジーナ、シオン、リクも続いた

「うわぁ‥こんなに保管されてるのかぁ‥」

今までずっと黙ってたシオンは、そう呟くと
口を開けたまま棚を見上げていた

私の部屋や会議室じゃ
比べ物にならないほどの広さの部屋に
天井まである棚が何個もある

全ての棚にはびっしりとファイルが並んでいた

「死亡扱いになっている‥
シギって名前だったな?
サ行は‥こっちだ」

スッと棚を曲がるタリアを見失わないように
必死で付いて行った

今現在も情報が入っている者、
2年間情報がなく死亡扱いになっている者、
それによっても棚が違うみたいだ

タリアがいなかったら辿り着けてないだろう

「シ‥この辺だな」

死亡扱いになっている棚から
サ行の「シ」のファイルを取っては
ペラペラとめくり、名前がないので戻す、
5人でその作業をしばらく続けた

「シギ‥あった!」

リクが声をあげる

「あったぜ!」

シオンも声をあげた

シギという名前は4人いた

その内、
パン屋に配属されていたのは2人だった

その2人のファイル番号を控え
写真を抜き取り、胸ポケットにしまう

「ありがとう、
写真をライハに確認してもらうよ」

「街の中ならともかく、
街の外に行くなら1人で行かないこと
許可証は私が出すから必ず伝えなさい」

「分かった、ありがとう」

「門の通行も今日の昼には
解除されるらしいから
もしかしたら
中に入ってくるかもしれないな」

「解除されるの早いね、
南西の盗賊‥大丈夫なの?」

「隣の街からでもここに来るのは
丸1日ほどかかるだろう?
わざわざ来たのに入れないなんて
おかしいってクレームが入ったんだ
まぁ、急だったからね
物資のやり取りが
全く出来なくなると困るから
とりあえず解除するってさ」

「なら、見回りしてるときに
会う可能性もあるかもしれない
聞けたらまたみんなに伝えるね」

出来るだけ明るい声で言い、笑って見せた

保管庫を出ると、皆それぞれ
今日の予定に向かうことになった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

裏切りの代償

志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。 家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。 連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。 しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。 他サイトでも掲載しています。 R15を保険で追加しました。 表紙は写真AC様よりダウンロードしました。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です

岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」  私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。  しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。  しかも私を年増呼ばわり。  はあ?  あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!  などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。  その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...