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四十七話
しおりを挟む北東と南西‥
北東にはキトとライハがいて、
南西には顔は分からないが
すぐに攻撃してくる盗賊がいる
南西の盗賊を放っておく訳にはいかないけど
私としてはキトとライハにもう一度会って
シギと言う人と話をさせてほしいと伝えたい
こっちのナツが
戻ってしまうかもしれない話を
聞くのは怖いけど、
何かを進めるためには
それが一番早いと思う
問題はどうやって会うか‥だ
今まで街で会った2回は
向こうから街に来て接触できたが、
今日は外から街へは1人も入れないと
決まったと言うことは
私から街を出て会いに行かないと
会えないと言うことだ
1人で行くべきか
それとも‥
そんなことを考えながら
廊下の角を曲がると
ジーナとシオンが話しているのが見えた
珍しい2人だな、と思いながら
自室へ行くためには
通らなければならない道なので
私は近づいて行く
「詳しくないんで助かりました
ありがとうございます」
「いやいや、こちらこそ
好きなものについて話せて嬉しかったよ」
「では、失礼します」
シオンは私に気づかなかったみたいで
ジーナに挨拶すると去って行った
ジーナはシオンと別れた後
私に気づいたようで手を振ってくれた
「ジーナ、珍しいね
シオンと話してるなんて」
私が話し出すと
ジーナは少し驚いたように見えたが
「見てたのかい?
私はシオンを狙ってないから
嫉妬はしないでおくれよ」と
腰に両手を当てハハッと笑った
「嫉妬なんてしてないよ、違うよ!」
私は焦って顔を横に振りながら否定した
「珍しいなって思っただけで‥!」
「ほーぅ?」
ジーナはニヤニヤしていた
私が何を言っても言い訳になりそうだが、
さっきの会話で気になったことを聞いてみた
「‥‥ジーナの好きなものって何?」
「ん?
そうだねぇ、強いて言うなら
卵焼きと誕生石、かな?
あとは、ものじゃないけど
2人のナツのことも好きだよ」
「‥おぉー‥‥」
まさかその流れで自分の名前が
出てくるなんて思ってなかったから
変な声が出た
「なんだい、その声は?」
目を糸のように細めて
疑いの眼差しを私に向けてきた
「びっくりしちゃって」
あはは、と笑いながら後頭部に手を回す
そこでふと思い出した
もっとジーナに聞きたいことが
あったことを‥‥
急に真面目な顔になった私を
不思議に思ったジーナは首を傾げた
意を決して聞いてみる
「何か話したいこととか
聞いて欲しいこととかない?」
「ん?」
首を傾げたまま目をパチパチしている
「いつもね、私の話聞いてくれてるけど
ジーナも何か話したいなって
思ったりしてない?
聞いてほしいなって思うことがあったら
なんでも聞くよ」
私が言い終わると首を傾げるのをやめ
手を顎に持っていき、
ほぉーと言いながら口を開けていた
少しの間沈黙が流れたが
フフッと笑う声が聞こえてきた
「私のことを気にしてくれてたなんて
感激だなぁ」
うんうん頷きながら
「分かった、なら
私の夢でも聞いてもらおうかな!
ナツの部屋へ行かせてもらうよっ!」
私の手を取って
ぎこちないスキップをしながら
進んでいくジーナを
私は笑顔で見つめながら一緒に
スキップをして部屋へ向かった
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