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三話
しおりを挟む「私はジーナ、こっちはナツ」
「よろしく」と軽く挨拶をした
場所は変わり、広場から
新入隊の10人が生活する部屋の前にいる
「今から部屋説明をするからよく聞くように
女の子たちはみんな同じ部屋
男の子たちは3人と4人に分かれてもらう
ダン、マードック、シオンは
こっちの部屋だ」
「はい!」
3人は返事をし部屋に入る
私が目が離せなくなった子は
シオン、と言う名前らしい
「ナツ、そこの部屋の中の説明頼むよ」
「はいよ」
平常心を装いながら
シオンばっかり見つめないようにしながら
部屋の中の説明をする
トイレと洗面所、お風呂はついてるから
好きに使ってくれたらいいこと
洗濯は各自でやること
備品は在庫が常に1つはストックし、
それを使い始めたら取りに来ること
部屋の中での飲食は基本自由だが
ご飯は食堂があるので
好きな時間に食べに行けばいいこと
伝え終わり質問がないかを問うと
特にないとのことなので
私はその部屋を出た
「ジーナ、こっち終わったけど
次の部屋も説明しとこっか?」
「あっ、頼むよ
その隣の部屋だからさ」
同じ説明をし、私の役目は終わったので
親睦を深めるために
新しい討伐隊の子たちと昼食を取った
年齢はバラバラだが、近いそうだ
この10人は仲が良いみたい
馴れ合いで適当にならないように
気をつけて見とかないとな
そんなことを考えてるうちに
昼食の時間は終わり、
10人は隊服へ着替える為に部屋へ戻った
この後は上官による訓練や
知識をつけるための授業などがある
基本訓練校と変わらない
私は偉いさんの中でも下の方だから
今はもうやることはない、あとは自由
「ナツー!」
ジーナの声がした
「いやぁ、本当に変な感じだよ
部屋の説明とか普通にしちゃってるし
朝話したことは本当なのかな、とか
思っちゃってさ
だから、ちょっと目見せて」
廊下の端に移動し、
ジッと見つめられる
「うん、やっぱり色が違うね
あっちのナツだ」
「することがあると
ふとそのこと忘れちゃうよね
私も普通に何も疑問に思わず
部屋の説明してたよ」
そのまま立ち話を少しする
「ちなみにさ、
男のタイプも同じかなぁ?と思ったんだけど
どうだろ?
あの新しい子たちの中でさ
タイプの子いるだろう?」
ドキッとした
あの目が離せなくなった子が
私のタイプなんだけど、
こっちのナツはどうなのだろう‥
「マードック、だろ?」
腕を組みながらニッと笑っていた
「‥へ?」
私はまぬけな声を出してしまった
「えっ、違うのかい?
ナツのタイプなら絶対
あの目がクリっとした可愛い顔立ちの
マードックだと思うんだけど‥」
「確かに可愛い顔してたね」
「ナツは可愛い系が好きなんだ
可愛い系だと思ってたら
男強さを出されると
そのギャップにやられる」
「でも私は可愛い系が
タイプではないんだよねー」
私が答えると、ジーナは
目を大きく開き驚きの声を上げた
「えぇーっ!?
誕生日、目の色が違うのに続いて
男のタイプが違うってことが
分かったぞ!
‥ちなみにタイプの子は
いるのはいたんだろう?」
「‥シオン」
「んぬぉ!?」
あまりにもスッと言ったからか
ジーナは変な声を出した
「ナツ、あんたは
あーいぅ子が好きなのか
‥エロいね」
「なんでっ!?」
ジーナのニヤァとした顔を見ながら
偉いさんがこんな話してたら
威厳もへったくれもないし
下手したらセクハラとか
言われかねない‥と思った
とりあえずこの話はここまでにして
私は見回りをして帰ってきた
ナロンとたまたま会ったので報告をもらった
新しい盗賊団が出来たかもしれない
その盗賊団は血気盛んなやつらの
集まりに見える
ここから南西の方角に
アジトを作っていそうなので、
気をつけた方が良さそう、とのこと
今から上官にも報告に行くとのことなので
突っ込んでくることを避ける為に
南西にいる警備隊たちを増員し
配置の間隔を狭くすることを
ついでに提案してほしいと頼んでおいた
ナロンは私の頭にポンっと手を置き
伝えとくよ、と優しく微笑んで
その場を去っていった
ナロンはこっちの世界のナツのことが
好きなんだろうか?
それだけで判断してはいけないが
さっきまでタイプの話してたから
つい考えがそっちに行ってしまった
ナロンは背が高くて筋肉がいっぱいついてて
優しそうにも怖そうにも見える人
逞しい系だから
可愛い系が好きなナツは
タイプじゃないんだろうなぁと
思いながら手を振り見送った
それにしても新しい盗賊団か‥
足の傷は結構痛くて
何針か塗った
血気盛んな奴らと言うことは
こんな怪我だけじゃ済まない可能性もある
なんとか街を襲ってこないように
したいものだ‥
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