甘々顔総長様と地味顔女子

三三

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何分走っただろう。
横目で見る景色は段々と見覚えのあるものになってた。
ここ、もう家の近くだ。
てことは、総長様のマンションももうすぐで着く
「はぁ」この背中、もっと引っ付いていたかったなぁ

「あ?俺の後ろに乗ってんのに不満かよ、」
「へっ!」
え、こんな爆音の中で、私の溜息が聞こえた??!
ウソ、どんだけ耳いいのよ~~っ


それからすぐに総長様のマンションに着いて、早々にバイクから降りると、私の腰に手を回して来た。
「ひゃ//」
「暴れんな、今、降ろしてやっから。」
と。
あ、私が一人で降りられないこと覚えててくれたんだ・・
でも、もう降りられるんだよ、転びそうにはなるけど、大丈夫だよ。

「――っ。」
「?」まただ、
さっきも背中にしがみついた時に聞こえた声。
もしかして総長様、
「どこか他にも怪我とかしてるんですか?あの、私なら大丈夫です、一人で降りられますから」
「ばか、変な気ぃ使うな、」
そう言って、なんなく私の体を持ち上げて地面へと着地させてくれた。

本当に大丈夫なんだろうか・・


マンションの中に入り、総長様の号室に来るとインターホンを鳴らした。
すると、すぐにその戸は開かれ、中からは
「まゆさ~~~ん、と、お兄ちゃん」
「てめ、」
「さくらちゃんっ!無事だった?どっか怪我とかしていない?」
玄関先で怒涛の如く言葉を発する私に対して、総長様は無言でズンズンと中に入って行ってしまう。
とりあえず一通り、さくらちゃんに怪我が無いかをあちこち見て、大丈夫だと確認し、さくらちゃんも大丈夫だよ~との言葉を言われたことでやっと安心した私はさくらちゃんと共にリビングに入った

「あれ?総長様は?」
てっきりそこに居ると思ってた。
でもリビングに居たのは慧って子だけ・・
「亜弥さんなら、自分の部屋に行ったぜ」
「え?」
「ねぇ、まゆさん、何か飲む?」
さくらちゃんはキッチンに入って、冷蔵庫を開いてた。
「あ、うん、」
私もその隣に行って、何本かあるジュースの中からアップルジュースを選んで、さくらちゃんと一緒にソファに座った。


「・・・」
「・・・」

座ったはいいけど、2人して沈黙が続いた。慧って子は何か雑誌を読んでるし、
んー。何か話さなきゃなんだけど
それよりも聞きたい事の方があって。
でもそれはさくらちゃんにとって言いたくない事かもしれないし、もしかしたらすごく嫌な思いをしたんじゃないかと思うと、中々切り出せないでいた。
そんな私に気づいたのか、
「まゆさん、私なら本当に大丈夫だよ、あの場所でも、部屋に監禁されてただけだし、ちょっと頭はクラクラしてたけど、すぐに未ィ兄ぃが来てくれたから。」
「あ、そうなんだ、よ、良かったっ」
「まゆさんも私の事を助けに来てくれたって聞いた。ありがとう」
「えっ、私なんてなんにも役にたてなかったし、そんなお礼なんていいよ、」
逆に利用されそうになってたし・・
「それでも嬉しかったんだ~」

さくらちゃん・・


「ママの事は、未ィ兄ぃから色々と聞かされた。・・正直かなりのショックだったけど・・ね」

「っ、」

「でも、お兄ちゃん達がママから私をずっと守っててくれてたってわかったから、だから、だから、・・・――うっ・・っ」

「さ、さくらちゃ、」

大きな瞳から涙がポロポロ流れ出してる

あ・・「ごめ、もうしゃべらなくていいよ、」

辛かったこと、悲しかったこと、我慢してても声に出すと感情の方が抑えきれなくなって溢れ出しちゃったんだ。
大丈夫なんて言わせちゃってごめん!
さくらちゃんなりにがんばって、ずっと、ずっと、今まで泣くのを我慢してたんだ
そ、りゃそうだよね。ショックだったよね。ずっと会いたがってたお母様だったもんね

「うっ・・う、ごめ、まゆさ・・」
「いいよ、さくらちゃん」
ギュっとさくらちゃんを抱きしめた。

それと同時にこんなに悲しい思いをさせたお母様に腹がたった。
こんなに素直で可愛い子、親じゃなくても守ってあげたいって思っちゃうのに。
なんでお母様にはそういう感情が無いんだろう。
それが・・すごく

悲し・・


悔し・・っ
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