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出会い6
しおりを挟む子どもに養ってもらうのは少々、いや、かなり気が引けるが、きっと今の何もできない状態では雇ってくれるところなんてないのかもしれないと頭の片隅で考える。
他に頼れる人なんていないのでティアの言うように一旦お金を借りることに決めた。
いつかティアに好きなものやおもちゃをたくさん買ってあげられるように今は頑張って学ぼう!
密かに心の中で目標を立てていると、
「もう暗くなりそうだから、とりあえず僕の家にいこう?」
「ほんとだ。転ばないように気をつけないとね。はい。」
そう言って手を差し出すと、やはりとても嬉しそうな満面の笑みで手を握り返してくる。
ちょっと痛いくらいにギュッと握って離れないようにしている小さな手が可愛い。
どうしよう、すでに愛おしい。
ティアと手を繋ぎ、そこら辺の植物のことを話しながら歩くこと30分くらいでログハウスのような建物が見えてきた。
「うわー。すごいお家だねー。どんな人が住んでると思う?」
「んー。僕とハナのお家だよ?」
悩むような顔をした後に、いたずらが成功した!みたいな表情をしてニコニコしているティアを見て目を見開く。
「え?あの素敵なログハウスがティアの家なの?」
「ログハウス?分かんないけどー、今日からハナと僕のお家だよー」
可愛い言葉遣いで育てようなんて思っていたことなど忘れて、普通に聞いてしまったが幸いティアはお家と可愛い言葉遣いをしてくれていることに安堵する。
って、そんなことどうでもよくて、いや、良くないけど、、
てっきりティアの家って子どもの秘密基地のようなところだと思っていたから、野宿も覚悟していたのだ。
だが、めちゃくちゃいい家だった。
口を引き攣らせながら、なんとか言葉を出す。
「す、すごいね」
「そうかなー?普通だよー」
あっけらかんとそういうティアを見つめていると気がついた。
ああ!もしかしてこれが異世界クオリティなのだろうか?
これが6歳くらいの年頃の普通の家というのは、日本で生きてきた私には考えられないがきっとこの世界では当たり前のことなのだろう。
そこまで考えて、じゃあ貴族などの家はどんな豪華な家なんだろう?とワクワクしてくる。
その感情のままつい、口に出してしまう。
「早く街に出てみたいなー」
「え?どうして?街に出ても、ろくなものなんてないよ?僕がいればいいよね?ね?」
「う、うん。テ、テ、ティアは、か、か可愛いなー」
首をかしげたティアは、またしても暗いオーラで無表情に豹変する。
頭を撫でながら咄嗟に話をそらすことにしたが、無表情のティアには全く慣れそうもない。
いや、子どもの表情じゃない。
迫力ありすぎて、めちゃめちゃ噛んでしまった。
もしかしたら、ティアは街に良くない思い出があるのかもしれない。
だからか街のことを話していると表情がなくなる。
引き続き頭を撫でていると、徐々にティアの顔が明るくなる。
ホッとしながらできるだけ街の話はしないようにしようと心に決める。
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