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出会い2

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 先ほどまで誰もいなかったはずの後ろからいきなり聞こえた男の人の声に驚き、振り返りそうになる。
 振り返りそうになったがギリギリのところで耐えることが出来た。瞬時に振り返らなかった自分を褒め称えたい。

 ストレッチを継続するふりをしながら考える。

 異世界転移だった場合、先ほど考えたままのことが起こるのではないか。
 瞬間移動だった場合、この人に助けを求めることができる。しかし、ここが男の人の私有地だったら刑務所行きの可能性もある。
 完全に詰んでいる。

 計画では警戒を怠らず人がいたとしても、私が先に気付き服装などを確認して逃げるはずだったのだ。
 
 よし、無視だ。無視しよう。
 ここは顔を見せずに気付かなかったふりをして逃げよう。
 幸い、聞こえてきた声は遠かった。いけるはずだ。
 自分を激励し、一歩踏み出しかけた。

「お姉さんだよー!聞いてるー?」

 と声が聞こえると同時に手首を握られてしまった。

 ここまでされて無視するほど、ハートが強いわけではないので恐る恐る振り返る。


 そこには6歳くらいの男の子がいた。
 子どもだったことに安堵し、その子をよく見てハッと息を飲む。

 褐色の肌に白に近いプラチナブロンド、そして透き通るような赤と薄い灰色と水色を混ぜたような左右で違う色の瞳を持った男の子だった。何よりも驚いたのは頭の上についてピコピコと動いている動物のような耳である。

 男の子の容姿を見てここは異世界なのだと悟る。

 もう帰ることは出来ないかもしれないと呆然と男の子の耳を見ていると、ペタっと下がったことに気がついた。
 そして、話しかけれれていたことを思い出す。

「あ、ごめんね。どうしたの?」
 と目線を合わせるためにしゃがみながら尋ねると、笑みを浮かべながら

「何してるのかなーって思って!」

 可愛い。人見知りしているのか少し私の顔色を伺いながら尋ねて来る。

 あまりに可愛いので一瞬転移したと口走りそうになるが何がどうなるかも分からない。
 ここが異世界だということを知った今、少しでも情報が欲しい。
 この子が1人で心配なのもあるが、この世界のことを聞きたくて提案してみる。

 「迷子になっちゃったの。君は?もし迷子なら一緒に行く?」


 「うん。行きたい!」

 「じゃあ、よろしくね。はい」
 元気の良い返事をもらえたので、立ち上がり手を繋ぐために男の子に手を差し出す。
 
 「ん?」

 男の子は不思議そうに私の手を見るばかりでなかなか手を繋いでくれない。

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