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第三十三話

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「急げ!!掘って掘って掘りまくれ!!」

「休んでいる暇なんてないぞ!!」

「モンスターが街にたどり着くまでにあと1時間も残されていない!!」

周囲に男たちの鼓舞する声が響き渡る。

街中の男たちが集まって、スコップを手にし、大きな堀を掘っていた。

トールの作戦は、簡単に言えば堀の中にモンスターを落としてしまおうと言うものだった。

「いいぞみんな!!これなら間に合う!!みんなで街を守ろうじゃないか!ほら、支援魔法だ!!!」

現場を監督しているトールが、その場の全員に支援魔法を使う。

「うおおおおおおおお!!!力がみなぎる!!」

「すげえ!さすがトールさんの支援魔法だ!!」

「やる気が出てきた!!街は俺らで守るんだ!!!」

さらにペースを上げて穴を掘っていく男たち。

そんな彼らを見てトールは満足そうに頷いた。

…と、トールの傍に受付嬢のルーナがやってきた。

「トールさん、堀を作るのは名案だと思うんですが…本当にモンスターの侵攻を食い止められますか…?」

「完全に止めるのは無理だろうな。だが、Aランクたちが到着するまで時間を稼げばいいんだろう?」

「しかし…これだけの短時間だと深さはあっても、幅のある堀は作れません…モンスターに飛び越えられる可能性は…?」

「もちろんただ堀を掘るだけじゃないぞ?幻影魔法で、堀をカモフラージュするんだ」

「幻影魔法?」

「そうだ!見てろ!」

そういうと、トールはすでに掘り終わった堀の部分へ移動し、「インビジブル・イリュージョン!!」と魔法を唱えた。

すると、掘られた堀が消えて、あたかも普通の地面が続いているかのように見え始めた。

「すごい…」

トールの魔法の腕前に、ルーナが目を見開く。

「これがあれば、モンスターたちはおそらく堀に気づかずに穴に落ちるに違いない…さらに、それだけじゃないぞ…」

トールは、この作戦の決め手となる要素をルーナに耳打ちする。

「すごい…!そんな考えが…!」

トールの考えに、ルーナは目を見開いて驚くのだった。
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