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第五話
しおりを挟む「何を言っているんだお前らは?」
「だってそうだろ?お前に魔王が倒せるはずがない。と言うことは魔王は俺たちとの戦いですでに限界を迎えていたんだ」
「お前が生き延びた理由もこれでわかった。
魔王は俺たちが撤退を決めていた時点でほとんど死んでいた」
「私たちの攻撃は魔王に通用していないと思ったけれど、本当は相当効いていたようね」
どうやら3人は本気でそう思っているらしかった。
俺は3人の勇者のバカさ加減に思わずため息を吐いてしまった。
「救いようのないアホどもだ、お前らは…」
「あ?なんだその言い方」
「おい、ジュン。口の聞き方に気をつけろよ。誰がお前の主人か思い知らせてやろうか?」
「死んだ魔王の首を取ってきたぐらいで調子に乗ってんじゃないわよ、荷物持ちの分際で。魔王討伐は私たちの功績だわ」
「ああ、その通りだ。魔王は俺たちが倒した」「お前は瀕死の魔王にたまたま運よくトドメの一撃をさせたにすぎない…それなのにでかいツラするなよ、この無能が…」
「あんたはもういらないわ、ジュン……ねぇ、アイザック、タイラー。前から考えていたことを今ここで実行すべきよ。幸いここには誰もいない。人の目がない今がチャンスだわ」
「ああ、そうだな…」
「その通りだ、ハーナ。今ここでやっちまうのがいい…」
「…?」
3人が顔を見合わせて何やら頷きあう。
そして次の瞬間には、武器を構えて俺に対して殺気を放ってきた。
「どう言うことだ?」
「ククク…すまんな、ジュンよ。俺たちは前から決めてたんだよ。魔王を倒した後に、お前を殺そうって…」
「その方が王族からの報酬の一人当たりの分前が増えるからな…公式には、お前は旅の途中で死んだってことにさせてもらう…」
「ただの荷物持ちのあんたが、私たちと同じ報酬をもらうなんてありえないわ……魔王討伐の功績は私たち3人だけのものよ。あなたにはここで死んでもらう」
「…なるほど。そんなことまで考えていたのか」
救いようのないクズだ、と俺は思った。
そして俺はそんな3人の性格の悪さに感謝した。
これでなんの憂いもなくこいつらに復讐することができる。
「死ね、ジュン」
そう言ったアイザックが、地面を蹴って俺に斬りかかってきた。
俺の首を狙った一閃。
一撃で仕留めるつもりの攻撃だ。
「遅いな」
だがレベル千を超えた今の俺にとって、勇者の攻撃はあまりに遅すぎた。
パシ…!!
「なっ!?」
アイザックの目が驚きに大きく見開かれる。
俺は首筋を狙ったアイザックの一撃を、人差し指と親指でつまんで止めていた。
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