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第十六話
しおりを挟む「貴族のパーティー?」
「ええ。定期的に開かれるものです」
馬車護衛の初任務の翌日。
俺は盗賊から馬車を守り抜いたことを讃えられ、三日の休日をもらって宿舎で体を休めていた。
すると昼下がりになってニーナが俺の部屋を訪ねてきた。
どうも明日開かれる貴族のパーティーに俺に出てほしいそうだ。
「俺なんかが出ても大丈夫なのかね?」
「ええ、問題ありません。パーティーに参加する貴族は、1人護衛を側につけるのが慣わしですから」
「なるほど」
そういうことなら付き添うのもやぶさかではない。
ニーナにはギルドを追放され途方に暮れていたところを拾ってくれた恩もあるからな。
頼まれたら断れない。
「アルト様は現在休みを取られていると聞きました。なので強制はできないのですが…」
「いいや、俺でいいなら喜んで」
「本当ですか!!嬉しいです」
ニーナが表情を綻ばせる。
「では、早速屋敷で練習しましょう」
「ん?練習?なんの?」
「ダンスのです。パーティーに参加するからには最低限のステップくらいは身につけませんと」
「え、それは…」
「大丈夫です。そこまで難しくはないですから」
「そ、そうか…」
ちょっと予想外だったが、しかしちょっとしたステップくらいならすぐに覚えられるだろう。
俺はニーナと共に宿舎を出て屋敷へと向かう。
「あ、それからダンスの後は、パーティーに見合う服を仕立てるために肩幅等のサイズを測らなくてはいけませんね」
「はぁ」
「あとあと、他の参加者に無礼がないように、たくさんの礼儀作法も頭に叩き込んでもらいますよ!」
「う…」
「食べ方、挨拶の仕方、会話の作法…色々と覚えることは多いと思いますが、私がサポートするので頑張りましょう」
「…はい」
やっぱり断ればよかったと思った。
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