Festival in Crime -犯罪の祭典-

柿の種

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第三章 オンリー・ユー 君だけを

Episode 26

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--浮遊監獄都市 カテナ 第二区画 デンス 第一階層
■【偽善者A】ハロウ

結論から言えば、その後私達はデスペナルティとなった。
理由は簡単だ。

あの場面で突然復活したグレートヒェン。
他のゲームでは定番の、アンデッド系のモンスターならではの復活系のスキルでも持っているのか、それでも他の要因か。
兎にも角にも、グレートヒェンは復活し私達へと再び襲い掛かってきたのだ。

当然、私は虎の子ともいえる【強欲性質】を使い終わった後であったし、CNVLに関しては余裕はあったものの、消耗はしていた。
マギやメアリーに関してもそうだ。
どちらかといえば、彼らの方がアイテムを使う関係上消耗自体は激しかったかもしれない。

それでも、私達はもう一度グレートヒェンを何とか倒した。
1回目の対比のように、私達が満身創痍となりつつではあったが。
しかし、二度あることは三度ある。

「……あんなもんどうすりゃいいってのよ……」
「流石に3度目も意気揚々と出てこられるとねぇ」
「ギミックありだとは思いますけどね。ファウスト関係の」

そう、またもファウストが何やら饒舌に語り出したかと思えば、再度グレートヒェンが地面の下から登場し、私達へと襲い掛かったのだ。

既に2体のグレートヒェンと戦っていた私達は、死んだ目になりながら戦ったが結果は惨敗。
むしろボスクラスと2連続で戦って勝てていた事を褒めてほしいくらいだった。

そんなわけで私達はパーティ全員でデスペナルティ中であり。
今日の攻略再開は流石に厳しいということで、第一階層へと移動し喫茶店で愚痴を言い合っていた。

「良く居るニコイチ系のモブかしらねぇ」
「それか、倒す順番が関係するタイプですかね。どっちにしてもファウストを放っておくとあぁなる、と」
『流石にアレは予想できないねぇ('ω')』

こちらの戦闘風景を見て何かメモをとっていただけの相手を放置していたら、こうなる。
放置していた私達も悪いが……グレートヒェンのような思いっきり重戦士系のモブと戦う場合、フルメンバーで戦いたいという理由もあったりするのだ。

どうしても、私達のメンバーには存在しないタンク職が欲しくなる。
だからといって、前衛組である私やCNVLはどちらかといえばアタッカー。
回避メインの……所謂避けタンクの真似事自体は出来るものの、本職に比べれば被弾も無駄も多い。
最近CNVLはどちらかというと、攻撃をわざと喰らって相手の動きを強制的に止める当たり屋のような戦い方もしているが……まぁ特殊な例だろう。

「次行く時はとりあえずファウスト優先でやってみるかい?割り振りどうする?」
「んー……メアリーにメインで遠距離から狙ってもらいましょうか。今回のグレートヒェンみたいな、復活ギミック?のようなものがあるかもしれないけれど、やるだけやってみましょう」
『威力は高い方がいいよね?一発一発大き目の奴にしようか('ω')?』
「やれるならそうしてくれる?いつものクロスボウとは違うもの?」
『んー……何というか、クロスボウというよりはパイルバンカーみたいな杭打ち機みたいなのを作ろうかなって思ってて(;^ω^)』

そういうと、メアリーは自身のインベントリから吸血鬼退治などで使われていそうな木の杭を取り出した。

『これを撃ち出せるような機構を考えててね?('ω')』
「成程……バリスタに近いものになりそうですかね?」
『そこまで大きくはしない予定。でも両手で使う事にはなりそうかなぁ……(;^ω^)』
「つまりは今までの機動力を捨てる代わりに、攻撃力に特化した武器を作るってことね?……もしかして最近工房で考えてたのってコレ?」
『そうだよー('ω')ノ』

威力に関してはまた別に確かめないといけないだろうが……それでも今まで以上の火力は見込めるだろう。
それに加え、【加工師】のスキルが乗った場合……もしかすれば私達のパーティの中で一番ダメージが出る武器となる可能性も存在する。

そこで、とりあえず次の攻略自体はメアリーのそれが完成してから。
メンバーの振り分けは、その武器の威力を見て護衛が居るかどうかを決めて割り振る事にした。

場合によっては、私かCNVLのどちらかがほぼほぼソロでグレートヒェンと戦う事にはなるだろうが……流石に3回も連続で戦ったのだ。
パターンのようなものも分かってきたし、ある程度は善戦出来るだろう。

問題は私にCNVLのような、一撃に重きを置いたスキルや技は存在しないことだ。
元が手数特化のアタッカーである【リッパー】だったからか、そういった面も引き継がれている為、工夫が必要だ。

【強欲性質】を絡めるにしても、どうしたって時間的な限界もあってどうしようもない。
……新しいスキルでも生えてくれたら考えもまとまりやすいのだけど……。
そう考えつつ、私は雑談を開始していたCNVL達を眺め、1人溜息を吐いた。
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