17 / 33
第17話 ルナティアの思い
しおりを挟む
「う、うふぇえ?」
ルナティアは顔を真っ赤にさせて変な声を出した。
ルナティアはとても男性経験が少ない。
というかほぼないと言っても差し支えないほどだ。
そんなルナティアは「愛されている」とかそういう言葉を面と向かって言われるのに耐性が皆無だったのだ。
そんなちょっと挙動不審なルナティアにミーニャは首を傾げる。
「どうされましたか? もう一度言いましょうか? ……それほどまでにあの方はルナティア様を愛して——」
「いいから! 聞こえてるから!」
別にルナティアは聞き返したわけではない。
ミーニャも乙女ならそんなことくらい分かってくれればいいものなのだが。
「そうですか。でも本当ですよ。本来、魔王様はあまり感情を表に出される方ではないのですが、ルナティア様の事を話す魔王様はいつも笑顔ですよ」
「そ、そうなんだ」
ミーニャの圧力にルナティアは少しベッドの中でだが、少し後ずさる。
確かにあまり感情を表に出す方ではなさそうだし、口下手そうだ。
シュトライゼンもそんな感じだが魔人はみんなそうなのだろうか。
(あ、でもミーニャパパはかなり話しやすそうだったな)
議場の机を破壊した時には凄まじい迫力だったがそれ以外ではグラガドは笑顔でいる事が多かった。
あまり話したことはないが機会があれば恐らく魔王よりもずっとフランクに話してくれそうだ。
ルナティアが呑気にそんな事を考えているとミーニャは更にルナティアに迫ってきた。
「ルナティア様は魔王様の事をどうお考えですか!?」
「えっ?」
本当なら「別になんとも」か「あいつは人類の敵よ!」と言いたい所だが、ミーニャは必死の形相である。
まぁ必死の形相でも美少女は美少女なのだが、それはこの場では置いておくことにした。
「んー、……まぁ悪い奴ではないと思うけど」
これはこれで嘘ではない。
魔王や魔人は人類の敵であることは間違いのない事実だが、魔王自身だけを見れば悪い奴でもないのもまたルナティアから見た事実だった。
本人の前では絶対に言わないだろうが。
ミーニャに最大限気を使って捻りだした言葉だったのだが、ミーニャのお気に召さなかったらしく——。
「そういう事を聞いているのではありません! 愛しているか、愛していないのか? それを聞いているんです!」
「う、うふぇぇ」
また変な声が出してしまった。
ミーニャがそんな熱い娘だとは知らなかった。
「……そんなこと分からないよ。でもダメなの。私は勇者でアイツは魔王だから。アイツがどれだけ私を好きで私がどれだけアイツの事を好きになったとしてもそういう関係になることなんか絶対あり得ないから」
あれ?
ルナティアは言葉にしてみて初めて気づいた。
ルナティアは魔王という肩書きで魔王の事を「人類の敵」とか「付き合うの無理」とか散々言ってきたが、魔王個人の事は別に嫌いでもなんでもなかった。
ルナティアは丘の上の花畑に連れて行ってくれた魔王になぜあんなに怒ってしまったのだろう?
魔王は魔王で本当の事をルナティアに話してくれただけなのに、人間界侵攻作戦を阻止するのが魔王の母親が人間だったからとか内乱を防ぐためだったとかそういう話を聞いている内に魔王がルナティアの事が好きで求婚してきたのではないかと思って、魔王の事を怒鳴りつけてしまった。
別にルナティアが魔王の事をどうでもいいと思っているのなら別にどうでもよかったはずだ。
その後も、魔王は何度もルナティアに説明しようとしていたのにルナティアは全部無視して、魔王城まで帰ってきてしまったのだ。
なぜ?
魔王の周りにいる女魔人に嫉妬したから?
ルナティアへの求婚はルナティアの事を想ってのことではないかもしれないと思ってしまったから?
話が終わり、ミーニャが帰ってからもベッドの上でルナティアはずっとそんなことを考えていた。
(もしかして私もアイツの事を……)
「……このままじゃダメだ。ここを出よう」
そしてルナティアは魔王城の自分の部屋から外に出たのだった。
ルナティアは顔を真っ赤にさせて変な声を出した。
ルナティアはとても男性経験が少ない。
というかほぼないと言っても差し支えないほどだ。
そんなルナティアは「愛されている」とかそういう言葉を面と向かって言われるのに耐性が皆無だったのだ。
そんなちょっと挙動不審なルナティアにミーニャは首を傾げる。
「どうされましたか? もう一度言いましょうか? ……それほどまでにあの方はルナティア様を愛して——」
「いいから! 聞こえてるから!」
別にルナティアは聞き返したわけではない。
ミーニャも乙女ならそんなことくらい分かってくれればいいものなのだが。
「そうですか。でも本当ですよ。本来、魔王様はあまり感情を表に出される方ではないのですが、ルナティア様の事を話す魔王様はいつも笑顔ですよ」
「そ、そうなんだ」
ミーニャの圧力にルナティアは少しベッドの中でだが、少し後ずさる。
確かにあまり感情を表に出す方ではなさそうだし、口下手そうだ。
シュトライゼンもそんな感じだが魔人はみんなそうなのだろうか。
(あ、でもミーニャパパはかなり話しやすそうだったな)
議場の机を破壊した時には凄まじい迫力だったがそれ以外ではグラガドは笑顔でいる事が多かった。
あまり話したことはないが機会があれば恐らく魔王よりもずっとフランクに話してくれそうだ。
ルナティアが呑気にそんな事を考えているとミーニャは更にルナティアに迫ってきた。
「ルナティア様は魔王様の事をどうお考えですか!?」
「えっ?」
本当なら「別になんとも」か「あいつは人類の敵よ!」と言いたい所だが、ミーニャは必死の形相である。
まぁ必死の形相でも美少女は美少女なのだが、それはこの場では置いておくことにした。
「んー、……まぁ悪い奴ではないと思うけど」
これはこれで嘘ではない。
魔王や魔人は人類の敵であることは間違いのない事実だが、魔王自身だけを見れば悪い奴でもないのもまたルナティアから見た事実だった。
本人の前では絶対に言わないだろうが。
ミーニャに最大限気を使って捻りだした言葉だったのだが、ミーニャのお気に召さなかったらしく——。
「そういう事を聞いているのではありません! 愛しているか、愛していないのか? それを聞いているんです!」
「う、うふぇぇ」
また変な声が出してしまった。
ミーニャがそんな熱い娘だとは知らなかった。
「……そんなこと分からないよ。でもダメなの。私は勇者でアイツは魔王だから。アイツがどれだけ私を好きで私がどれだけアイツの事を好きになったとしてもそういう関係になることなんか絶対あり得ないから」
あれ?
ルナティアは言葉にしてみて初めて気づいた。
ルナティアは魔王という肩書きで魔王の事を「人類の敵」とか「付き合うの無理」とか散々言ってきたが、魔王個人の事は別に嫌いでもなんでもなかった。
ルナティアは丘の上の花畑に連れて行ってくれた魔王になぜあんなに怒ってしまったのだろう?
魔王は魔王で本当の事をルナティアに話してくれただけなのに、人間界侵攻作戦を阻止するのが魔王の母親が人間だったからとか内乱を防ぐためだったとかそういう話を聞いている内に魔王がルナティアの事が好きで求婚してきたのではないかと思って、魔王の事を怒鳴りつけてしまった。
別にルナティアが魔王の事をどうでもいいと思っているのなら別にどうでもよかったはずだ。
その後も、魔王は何度もルナティアに説明しようとしていたのにルナティアは全部無視して、魔王城まで帰ってきてしまったのだ。
なぜ?
魔王の周りにいる女魔人に嫉妬したから?
ルナティアへの求婚はルナティアの事を想ってのことではないかもしれないと思ってしまったから?
話が終わり、ミーニャが帰ってからもベッドの上でルナティアはずっとそんなことを考えていた。
(もしかして私もアイツの事を……)
「……このままじゃダメだ。ここを出よう」
そしてルナティアは魔王城の自分の部屋から外に出たのだった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
なろう370000PV感謝! 遍歴の雇われ勇者は日々旅にして旅を住処とす
大森天呑
ファンタジー
〜 報酬は未定・リスクは不明? のんきな雇われ勇者は旅の日々を送る 〜
魔獣や魔物を討伐する専門のハンター『破邪』として遍歴修行の旅を続けていた青年、ライノ・クライスは、ある日ふたりの大精霊と出会った。
大精霊は、この世界を支える力の源泉であり、止まること無く世界を巡り続けている『魔力の奔流』が徐々に乱れつつあることを彼に教え、同時に、そのバランスを補正すべく『勇者』の役割を請け負うよう求める。
それも破邪の役目の延長と考え、気軽に『勇者の仕事』を引き受けたライノは、エルフの少女として顕現した大精霊の一人と共に魔力の乱れの原因を辿って旅を続けていくうちに、そこに思いも寄らぬ背景が潜んでいることに気づく・・・
ひょんなことから勇者になった青年の、ちょっと冒険っぽい旅の日々。
< 小説家になろう・カクヨム・エブリスタでも同名義、同タイトルで連載中です >
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
学園ランキング最強はチートで無双する~能力はゴミだが、異世界転生で得たチート能力で最強~
榊与一
ファンタジー
西暦2100年。
人類に新たなる可能性、アビリティが齎された。
その能力は時に世界の法則すらも捻じ曲げる。
人々はそれを神からの贈り物(ギフト)と名付けた。
西暦2125年。
鏡 竜也(かがみ りゅうや)は16歳の時、突然ギフトに目覚めそれ専門の育成学園に編入させられる事になる。
目覚めた力は、触れた者の髪を伸ばすだけというゴミの様な能力。
そんなギフトで能力者だらけの学院などには行きたくなかったが、国からの強制であるため彼は渋々従う。
だが周囲の予想とは裏腹に、彼は瞬く間にその圧倒的な力で学園最強にまで上り詰め無双しだした。
何故なら彼は転生者だったからだ。
正確には一度トラックに引かれて異世界に転生した後、この世界に戻って来た転生者だった。
彼は転生時に女神よりチート能力であるレベルシステムが与えられ。
そして異世界でひたすらレベルを上げ続けた結果、圧倒的な能力で魔王を討伐するまでに成長していた。
「これで世界は救われました。さあ、貴方を元居た世界の時間へと送りましょう」
異世界でのレベル上げで圧倒的な能力を手に入れていた鏡竜也は、容易くトラックを躱して見せる。
「勇者もいいけど、やっぱこっちの世界の方がいろいろ便利だよな」
これは異世界でレベルを上げまくった鏡竜也が、そのチート能力で周囲の能力者達を圧倒する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる