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第4章 魔界編
第183話 俺も行きたい
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「王となんの話してたんっスか?」
カーティスの話が終わり、俺達は王城の外で待っていたアリアス達と合流した。
今は王宮を出たすぐの王都中心街を歩く最中だ。
「あぁ、それはだな——」
「——只の世間話ですよ。王は俺達がいきなり出てきたもんだから興味津々だったみたいですよ」
ガランの問いかけにアルジールが普通に玉座内での話をしようとしたので、俺はアルジールを遮り、適当な話をでっち上げた。
まぁ実際そんな話もした気もするので完全なでっちあげではないのだが。
ていうか勝手に王の秘密を喋ろうとするんじゃねぇよ。
世が世ならこの短時間でアルジールは何度斬首刑を喰らっていただろうか?
本当にカーティスが優しい王様で本当によかったと思う。
「あー、そうなんスね。まぁ普通じゃあり得ないっスもんね。なりたての冒険者がいきなり勇者なんて。しかも一気に2人っスし」
筋が通っているので、一応納得した風だが、ちょっとニヤついているので、多分ガランに嘘だとなんとなくバレていそうだ。
俺は話を変える為、今後の予定をアリアス達に尋ねる事にした。
「そういえばこれからどうするんですか?」
「そうですね。クドウさんが言っていた試練の塔に行ってみようかと思うのですが、その前に先生に会いに行こうかと」
試練の塔というのは謎の茶マスクが俺に伝言を頼んだ勇者になった者が挑むというユリウス運営のダンジョンの事だ。
なんかアリアスにはまだ資格がないが、今回は特別に開けておくとか訳の分からない事を言っていたので、アリアスはそれを受けに行くのだろう。
一般的な人間からすれば3神が課す神聖な試練らしいが、ユリウス本人を知る俺からすれば只の変な神の娯楽のようにしか思えない。
まぁ力をくれるとかそんな話らしいので、クリアしたらいい武器がもらえるとかそんな所だろう。
特に期待などしていないが、話の流れとして俺はアリアスの話に付き合う事にした。
「先生っていうのは先代勇者のソリュードさんの事ですか? そういえば先々代のルオルさんはいたのに先代のソリュードさんはいなかったんですか?」
俺も会った事はあるはずだが、いかんせん玉座の間にはそれなりに人数がいたし、会ったのは20年以上前な上、魔王城では瞬殺だったので俺はあまり鮮明にソリュードの顔を覚えてはいなかった。
まぁ確かそこそこ強かった気がするという程度は覚えているけどな。
「結構神出鬼没な方ですからね。ルオル様と違ってあまり王城には顔を出さないようですし、修行をつけてもらって以降はあまり僕も会えていないんです。試練の塔について何か知っていたら聞いておきたいんですが……」
そう言って、アリアスは苦笑を漏らした。
勇者にも色々あるらしい。
まぁ勇者と言っても強さはピンキリだし、実際俺が戦った歴代勇者の中でもアリアスに近い強さを持つ者もいれば、「えっ、君ホントに勇者?」みたいな奴も時々混ざっている時もあった。
強さでもそうなのだから性格や行動が違うのは当然だろう。
とはいえまだソリュードは40代くらいのはずなので、まだ現役でもやれるくらいには強いはずだし、隠居するにはまだ早いはずなのだが。
「状況が状況ですし、流石にお屋敷にいると思うのですが、会えそうになかったらそのまま向かうしかないかもしれませんね。試練がどの程度時間のかかるものなのかも分かりませんし」
時間があれば、ソリュードを待つのもよかったかもしれないが、魔王軍襲来までには既に3日を切っている。
アリアスの言う通り試練とやらがどの程度時間がかかるものかも分からないし、試練後の体力を回復させる時間と戦いの準備も整えなければならないのだから、情報を持っているか分からないソリュードの事など待ってはいられないという事だろう。
「システアさん達もアリアスさんについていくんですか?」
町中を歩く中、俺は次にシステアに話しかけた。
ちなみに町中にあれだけいた民衆たちは既に解散し、普段の街並みを取り戻していた。
恐らくだが、3日後の戦いに備える俺達の邪魔にならないよう歓迎が終われば解散するように指示が出ていたのだろう。
とはいえ、時々街を歩く人々がこちらをちらちら見てくるが、話しかけてくる様子もない。
徹底した指示が早い段階で為された証拠だ。
一見頼りなさそうなカーティスだが十分な仕事をしているように俺には思える。
「えぇ、その予定です。……クドウさん達は来てくれないのですか?」
システアの様子から察するにシステア達は俺達もアリアスに同行するものだと思っていたらしい。
確かにユリウス運営とはいえ、俺も試練の塔とやらには興味がある。
だが、俺にはそんな興味そそるダンジョンよりも優先しなければならない用事があった。
「すいません。俺達ちょっと用事がありまして。そんなに時間はかからないとは思うので、そちらの用事が終わればまた合流しましょう」
そう言うと、なぜかシステアは残念そうな表情で俺を見上げた。
「そうですか。それなら仕方ありませんね。また3日後に」
「はい」
俺だってできることならそちらに行きたい。
あぁ、久しぶりの里帰りがこんなにも憂鬱なんてな。
俺は何事も起きない事を願いながら、町の途中でアルジール達と共に【光の剣】の面々としばしの別れを告げる事となった。
カーティスの話が終わり、俺達は王城の外で待っていたアリアス達と合流した。
今は王宮を出たすぐの王都中心街を歩く最中だ。
「あぁ、それはだな——」
「——只の世間話ですよ。王は俺達がいきなり出てきたもんだから興味津々だったみたいですよ」
ガランの問いかけにアルジールが普通に玉座内での話をしようとしたので、俺はアルジールを遮り、適当な話をでっち上げた。
まぁ実際そんな話もした気もするので完全なでっちあげではないのだが。
ていうか勝手に王の秘密を喋ろうとするんじゃねぇよ。
世が世ならこの短時間でアルジールは何度斬首刑を喰らっていただろうか?
本当にカーティスが優しい王様で本当によかったと思う。
「あー、そうなんスね。まぁ普通じゃあり得ないっスもんね。なりたての冒険者がいきなり勇者なんて。しかも一気に2人っスし」
筋が通っているので、一応納得した風だが、ちょっとニヤついているので、多分ガランに嘘だとなんとなくバレていそうだ。
俺は話を変える為、今後の予定をアリアス達に尋ねる事にした。
「そういえばこれからどうするんですか?」
「そうですね。クドウさんが言っていた試練の塔に行ってみようかと思うのですが、その前に先生に会いに行こうかと」
試練の塔というのは謎の茶マスクが俺に伝言を頼んだ勇者になった者が挑むというユリウス運営のダンジョンの事だ。
なんかアリアスにはまだ資格がないが、今回は特別に開けておくとか訳の分からない事を言っていたので、アリアスはそれを受けに行くのだろう。
一般的な人間からすれば3神が課す神聖な試練らしいが、ユリウス本人を知る俺からすれば只の変な神の娯楽のようにしか思えない。
まぁ力をくれるとかそんな話らしいので、クリアしたらいい武器がもらえるとかそんな所だろう。
特に期待などしていないが、話の流れとして俺はアリアスの話に付き合う事にした。
「先生っていうのは先代勇者のソリュードさんの事ですか? そういえば先々代のルオルさんはいたのに先代のソリュードさんはいなかったんですか?」
俺も会った事はあるはずだが、いかんせん玉座の間にはそれなりに人数がいたし、会ったのは20年以上前な上、魔王城では瞬殺だったので俺はあまり鮮明にソリュードの顔を覚えてはいなかった。
まぁ確かそこそこ強かった気がするという程度は覚えているけどな。
「結構神出鬼没な方ですからね。ルオル様と違ってあまり王城には顔を出さないようですし、修行をつけてもらって以降はあまり僕も会えていないんです。試練の塔について何か知っていたら聞いておきたいんですが……」
そう言って、アリアスは苦笑を漏らした。
勇者にも色々あるらしい。
まぁ勇者と言っても強さはピンキリだし、実際俺が戦った歴代勇者の中でもアリアスに近い強さを持つ者もいれば、「えっ、君ホントに勇者?」みたいな奴も時々混ざっている時もあった。
強さでもそうなのだから性格や行動が違うのは当然だろう。
とはいえまだソリュードは40代くらいのはずなので、まだ現役でもやれるくらいには強いはずだし、隠居するにはまだ早いはずなのだが。
「状況が状況ですし、流石にお屋敷にいると思うのですが、会えそうになかったらそのまま向かうしかないかもしれませんね。試練がどの程度時間のかかるものなのかも分かりませんし」
時間があれば、ソリュードを待つのもよかったかもしれないが、魔王軍襲来までには既に3日を切っている。
アリアスの言う通り試練とやらがどの程度時間がかかるものかも分からないし、試練後の体力を回復させる時間と戦いの準備も整えなければならないのだから、情報を持っているか分からないソリュードの事など待ってはいられないという事だろう。
「システアさん達もアリアスさんについていくんですか?」
町中を歩く中、俺は次にシステアに話しかけた。
ちなみに町中にあれだけいた民衆たちは既に解散し、普段の街並みを取り戻していた。
恐らくだが、3日後の戦いに備える俺達の邪魔にならないよう歓迎が終われば解散するように指示が出ていたのだろう。
とはいえ、時々街を歩く人々がこちらをちらちら見てくるが、話しかけてくる様子もない。
徹底した指示が早い段階で為された証拠だ。
一見頼りなさそうなカーティスだが十分な仕事をしているように俺には思える。
「えぇ、その予定です。……クドウさん達は来てくれないのですか?」
システアの様子から察するにシステア達は俺達もアリアスに同行するものだと思っていたらしい。
確かにユリウス運営とはいえ、俺も試練の塔とやらには興味がある。
だが、俺にはそんな興味そそるダンジョンよりも優先しなければならない用事があった。
「すいません。俺達ちょっと用事がありまして。そんなに時間はかからないとは思うので、そちらの用事が終わればまた合流しましょう」
そう言うと、なぜかシステアは残念そうな表情で俺を見上げた。
「そうですか。それなら仕方ありませんね。また3日後に」
「はい」
俺だってできることならそちらに行きたい。
あぁ、久しぶりの里帰りがこんなにも憂鬱なんてな。
俺は何事も起きない事を願いながら、町の途中でアルジール達と共に【光の剣】の面々としばしの別れを告げる事となった。
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