2 / 255
第1章 転生編
第2話 75点じゃ美形勇者は名乗れない
しおりを挟む
「いってぇ」
頭が痛い。転生の副作用だろうか?
少しの間、眠っていたみたいだ。
「どこだ? ここ」
知らない森の中だった。だが、強力な魔獣の気配はない。少なくても魔界ではなさそうだ。
「うーん、体縮んでるな。何歳くらいだろ?」
神からは転生アイテムと聞いていたが、必ずしも赤ん坊として生まれるわけではないと聞いて不思議に思ったものだが、神が自分に都合よく作ったものだろうし、そんなものか。
俺は異次元空間に手を突っ込む。どうやら人間でも異次元空間には手を突っ込めるようだ。
魔人だった頃は子供の時でも突っ込めていたので、それほどおかしくもない。
まぁ他で使ってるやつは見たことないが。
俺は手鏡を引っ張り出すと、自分の顔を写した。
「うーん、75点」
年齢ではなく顔の自己評価である。ちなみに年齢は15歳くらいに見える。
とまぁ、自分の事はそれくらいにしておいて……
「おーい、起きろー。 朝だぞー」
俺は横にうつむけに倒れていたアルジールらしき人物を揺する。
「う、うーん」
アルジールらしき人物は唸るがまだ起きない。俺でも副作用で頭痛がするくらいだ。
もしかして、死んだ?
そうか、悪いことをしてしまった。
「アルジールよ、君の事は忘れない。さらばだ」
そういって、俺はその場から去ろうとすると
「はっ!」
アルジールが息を吹き返した。
っていうか、お前その顔……。
「おはようございます。魔王様」
「やはりお前を連れてくるべきではなかったんだ、見てみろ」
そう言って俺は持っていた手鏡を手渡すとアルジールは自分の顔を覗き込み顔をしかめた。
「覚悟はしておりましたが、醜いものですね」
アルジールは覚悟していたが、自身が今まで見下していた醜い人間の顔に変わっていてショックを受けていた。
「何がショックを受けていた。だ! 超美形じゃねぇか!」
そう、超がつく美形なのだ。98点である。ほぼほぼ99点寄りの。
ちなみに俺が100点をつけることなどあらゆる分野でそうそうない。
「美しい? この少し殴ったくらいで折れてしまいそうなスッとした顎に弱点だらけのこの大きな瞳がですか? それに髪は漆黒に限ります。こんなキラキラとした金色では……」
わざとか? わざとなのか?
元とはいえ魔王の中の魔王であった俺が75点で四天王が98点では納得がいかない。
そもそも転生前はそこまでの差はなかったはずだ。
神のやつ、負けた仕返しにこんな仕打ちをしやがったんだ。そうに違いない。
「はぁー、美形勇者計画早くも潰えたか……」
そもそも不細工ではないが75点では美形とは言いづらい。かっこよく見えなくもないがまぁ普通。それが75点なのだ。
「……さて、いくか」
立ち上がる俺にアルジールは尋ねた。
「どこにですか? 魔王様」
これだから素人は。決まっている。
「始まりの街だよ!」
名も知らない始まりの街に向かう前にやる事がある。
装備の変更である。
今、俺とアルジールがつけている装備はそんじょそこらの装備ではない。勇者パーティー顔負け所か勇者パーティー装備が初心者装備にすら見える超ど級の1級品揃いなのだ。
あ、アルジールのはそうでもないか。
とはいえ勇者パーティー装備顔負けな事には違いはない。
そんな装備のまま始まりの街なんぞに向かえば、目立って仕方がない。
というわけで俺はまた異次元空間に手を突っ込む。
「ここらへんのやつは魔法の効果ついてないからサイズ調整利かないんだよなっと」
俺は初心者感丸出しの装備一式を2組取り出した。あらかじめしょぼい装備をこの時の為に数種類サイズ毎に用意しておいたのだ。
「さーて、着替えるぞ」
アルジールは少し不可解そうだが、俺の指示ということで大人しく応じた。
数分で着替え終わり、元々の装備が異次元空間に放り込んだ。
「うん、様になってるじゃないか」
本当は少しでも点数を下げようとダサい装備をアルジールに与えようかとも思ったが、75点の俺が普通初心者装備で、98点アルジールがキモダサ初心者装備だとかなり目立ちそうなのでやめておいた。
準備も済んだので俺たちは始まりの街に向かうことにした。
頭が痛い。転生の副作用だろうか?
少しの間、眠っていたみたいだ。
「どこだ? ここ」
知らない森の中だった。だが、強力な魔獣の気配はない。少なくても魔界ではなさそうだ。
「うーん、体縮んでるな。何歳くらいだろ?」
神からは転生アイテムと聞いていたが、必ずしも赤ん坊として生まれるわけではないと聞いて不思議に思ったものだが、神が自分に都合よく作ったものだろうし、そんなものか。
俺は異次元空間に手を突っ込む。どうやら人間でも異次元空間には手を突っ込めるようだ。
魔人だった頃は子供の時でも突っ込めていたので、それほどおかしくもない。
まぁ他で使ってるやつは見たことないが。
俺は手鏡を引っ張り出すと、自分の顔を写した。
「うーん、75点」
年齢ではなく顔の自己評価である。ちなみに年齢は15歳くらいに見える。
とまぁ、自分の事はそれくらいにしておいて……
「おーい、起きろー。 朝だぞー」
俺は横にうつむけに倒れていたアルジールらしき人物を揺する。
「う、うーん」
アルジールらしき人物は唸るがまだ起きない。俺でも副作用で頭痛がするくらいだ。
もしかして、死んだ?
そうか、悪いことをしてしまった。
「アルジールよ、君の事は忘れない。さらばだ」
そういって、俺はその場から去ろうとすると
「はっ!」
アルジールが息を吹き返した。
っていうか、お前その顔……。
「おはようございます。魔王様」
「やはりお前を連れてくるべきではなかったんだ、見てみろ」
そう言って俺は持っていた手鏡を手渡すとアルジールは自分の顔を覗き込み顔をしかめた。
「覚悟はしておりましたが、醜いものですね」
アルジールは覚悟していたが、自身が今まで見下していた醜い人間の顔に変わっていてショックを受けていた。
「何がショックを受けていた。だ! 超美形じゃねぇか!」
そう、超がつく美形なのだ。98点である。ほぼほぼ99点寄りの。
ちなみに俺が100点をつけることなどあらゆる分野でそうそうない。
「美しい? この少し殴ったくらいで折れてしまいそうなスッとした顎に弱点だらけのこの大きな瞳がですか? それに髪は漆黒に限ります。こんなキラキラとした金色では……」
わざとか? わざとなのか?
元とはいえ魔王の中の魔王であった俺が75点で四天王が98点では納得がいかない。
そもそも転生前はそこまでの差はなかったはずだ。
神のやつ、負けた仕返しにこんな仕打ちをしやがったんだ。そうに違いない。
「はぁー、美形勇者計画早くも潰えたか……」
そもそも不細工ではないが75点では美形とは言いづらい。かっこよく見えなくもないがまぁ普通。それが75点なのだ。
「……さて、いくか」
立ち上がる俺にアルジールは尋ねた。
「どこにですか? 魔王様」
これだから素人は。決まっている。
「始まりの街だよ!」
名も知らない始まりの街に向かう前にやる事がある。
装備の変更である。
今、俺とアルジールがつけている装備はそんじょそこらの装備ではない。勇者パーティー顔負け所か勇者パーティー装備が初心者装備にすら見える超ど級の1級品揃いなのだ。
あ、アルジールのはそうでもないか。
とはいえ勇者パーティー装備顔負けな事には違いはない。
そんな装備のまま始まりの街なんぞに向かえば、目立って仕方がない。
というわけで俺はまた異次元空間に手を突っ込む。
「ここらへんのやつは魔法の効果ついてないからサイズ調整利かないんだよなっと」
俺は初心者感丸出しの装備一式を2組取り出した。あらかじめしょぼい装備をこの時の為に数種類サイズ毎に用意しておいたのだ。
「さーて、着替えるぞ」
アルジールは少し不可解そうだが、俺の指示ということで大人しく応じた。
数分で着替え終わり、元々の装備が異次元空間に放り込んだ。
「うん、様になってるじゃないか」
本当は少しでも点数を下げようとダサい装備をアルジールに与えようかとも思ったが、75点の俺が普通初心者装備で、98点アルジールがキモダサ初心者装備だとかなり目立ちそうなのでやめておいた。
準備も済んだので俺たちは始まりの街に向かうことにした。
0
お気に入りに追加
522
あなたにおすすめの小説
異世界営生物語
田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。
ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。
目覚めた先の森から始まる異世界生活。
戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。
出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。
無名のレベル1高校生、覚醒して最強無双
絢乃
ファンタジー
無類の強さを誇る高校二年生・ヤスヒコ。
彼の日課は、毎週水曜日にレベル1のダンジョンを攻略すること。
そこで手に入れた魔石を売ることで生活費を立てていた。
ある日、彼の学校にTVの企画でアイドルのレイナが来る。
そこでレイナに一目惚れしたヤスヒコは、なんと生放送中に告白。
だが、レイナは最強の男にしか興味がないと言って断る。
彼女の言う最強とは、誰よりもレベルが高いことを意味していた。
レイナと付き合いたいヤスヒコはレベル上げを開始。
多くの女子と仲良くなりながら、着実にレベルを上げていく。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる