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第18話 メイドの猫耳を引き千切ってみた☆
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「さて、何か起きるにしてもまだ時間がかかりそうですし、ちょっと遊びに出かけましょうか?」
正確には遊びではなくデートなのだが、メリエス様はツンデレなので断固としてデートと認めはしないだろう。
俺はメリエス様の手を取ろうとするが、メリエス様に華麗に避けられた。
「なぜお前はいちいち手を繋ごうとするのじゃ? 祭りでもあるまいし、こんな所で迷子にはならんぞ。私は」
迷子とかそういうのは俺にとっては正直どうでもいい。
俺はメリエス様と手を繋ぎたいから繋ごうとするのだ。
まぁそれは追々理解してもらえばいいだろう。
とにかく時間も限られていることだし俺はメリエス様とのデートとスタートさせることにする。
「近くに美味しいパンケーキ屋があるんです。そこへ行きましょう」
「パ、パンケーキ屋じゃと? ……まぁお前がそんなに行きたいというのなら行ってやらんではないぞ?」
そんな言い方をするメリエス様だが俺は知っている。
メリエス様が甘い物に目がないという事を。
まぁ俺は——というよりメリエス様の屋敷の者なら誰一人知らない者はいない程に有名な話なのだが、とにかくメリエス様は甘い物の為ならドランゼスばりの脂ギッシャーなおっさんからの誘いでさえ乗ってしまう程に甘い物に目がないのだ。
そうして俺とメリエス様はパンケーキ屋へと歩き出す。
余程パンケーキが楽しみなのかメリエス様は鼻歌を交えつつ俺に尋ねた。
「そういえば結局お前は何をヤったんじゃ?」
「仰っている意味がよく分かりません」
「今は気分がいいから何をヤったか正直に言えば怒らんぞ? さぁ言ってみぃ」
正直に言ったら怒らない。——そんな言葉は幻想だ。
まぁ俺は何もヤってはいないが、これから何が起こるか知ればメリエス様の取る可能性がある行動はブチ切れるか慌てふためくかのどちらかだろう。
どちらに転んでも可愛い事この上ないだろうが、そんな誘惑に負ける俺ではない。
これから起きる事は俺からメリエス様に送るいわばサプライズプレゼント。
そんなサプライズを自ら明かすほど俺は馬鹿じゃないのだ。
「私はいつでも正直に話していますよ。私が行う行動の全てはメリエス様の為です」
「ふぅん、まぁよい。それでパンケーキ屋というのはまだなのかの?」
「もう着きますよ。——ほらあの店です」
そう言って俺が指差した先には外装全てが真っピンクのなんともメルヘンチックな建物が建っていた。
看板にはピンク色の文字で「パンケーキのお店 メイプル」とデカデカと書かれてある。
「ほぅ、えらく可愛らしい店じゃな」
メリエス様はそう言いながら目をキラキラと輝かせていた。
子供っぽい所があるのもメリエス様の可愛い点の一つと言えるだろう。
俺とメリエス様が早速店の中に入ると、店内にいたメイド服の猫耳をつけた少女がこちらへと小走りでやってきて俺達に笑顔を向けた。
「お帰りなさいませ! ご主人様! ——ってアレ? ジレ様だー! お久しぶりです!」
途中で俺だと気付いたメイド服の少女は大きな胸を俺に押し付けるようにいきなり抱きついてきた。
普段なら全然構わないのだが、少しは状況を考えて欲しい。
恐らく、俺への嫉妬で怒り狂ったメリエス様が後ろから激しく睨みつけているに違いない。
メイドの少女に抱きつかれながら俺は恐る恐る後ろを確認するとジト目のメリエス様が呆れた表情でこちらを見ていた。
「お前は一体何をヤっておるんじゃ?」
「誤解です。メリエス様。私はメリエス様一筋です」
俺はメリエス様の誤解を解くべく弁明するがますますジト目で見るメリエス様。
そんなメリエス様に気付いたメイド服の少女は俺をゆっくりと解放したかと思うとメリエス様の前に立った。
「うわー、可愛い子! ジレ様の妹さんですか?」
そう言ったかと思うとメイド服の少女がメリエス様をなでなでした。
なでなでされたままのメリエス様は特に抵抗する事もなくなされるがままの状態で俺をジト目で見ている。
「なんじゃ? この女は? なぜこんな場所に魔人がおる? やはりこの街は魔人に占拠されておるのじゃな?」
メイドの少女を猫耳で魔人である獣人と判断し、メリエス様はベーンヘルク占領説を再燃させたのかそんなことを言いだした。
「違いますよ。この娘はリビエラという名の正真正銘の人間です」
「嘘を吐くでない。こんなに立派な耳をつけているではないか。……ってええい! いつまで撫でておるのじゃ!」
俺と会話している最中ずっとメリエス様を撫でまわしていたリビエラにメリエス様が大きな声で注意するとリビエラは「あぁ、残念です」と呟きながらようやくなでなでするのをやめた。
「ていうか妹さん怖い事言いますね。私を魔人だとかなんとか」
「そうだろう。メリエス様はめちゃくちゃ可愛いのだが、妄想癖があるのが玉に傷でな。……すまんな。リビエラ」
そう言いながら俺は右手でリビエラの猫耳を握った。
「何をヤっておるんじゃ?」
メリエス様が不思議そうに俺の右手を見つめる中、俺は右手に目一杯に力を込める。
「おい、お前、本当に何をヤって……って、ぎゃぁぁぁぁぁぁー!」
俺はメリエス様は見つめる中、リビエラの頭の猫耳を力いっぱい頭から引き千切るとメリエス様は断末魔のような悲鳴を上げながら尻もちをついたのだった。
正確には遊びではなくデートなのだが、メリエス様はツンデレなので断固としてデートと認めはしないだろう。
俺はメリエス様の手を取ろうとするが、メリエス様に華麗に避けられた。
「なぜお前はいちいち手を繋ごうとするのじゃ? 祭りでもあるまいし、こんな所で迷子にはならんぞ。私は」
迷子とかそういうのは俺にとっては正直どうでもいい。
俺はメリエス様と手を繋ぎたいから繋ごうとするのだ。
まぁそれは追々理解してもらえばいいだろう。
とにかく時間も限られていることだし俺はメリエス様とのデートとスタートさせることにする。
「近くに美味しいパンケーキ屋があるんです。そこへ行きましょう」
「パ、パンケーキ屋じゃと? ……まぁお前がそんなに行きたいというのなら行ってやらんではないぞ?」
そんな言い方をするメリエス様だが俺は知っている。
メリエス様が甘い物に目がないという事を。
まぁ俺は——というよりメリエス様の屋敷の者なら誰一人知らない者はいない程に有名な話なのだが、とにかくメリエス様は甘い物の為ならドランゼスばりの脂ギッシャーなおっさんからの誘いでさえ乗ってしまう程に甘い物に目がないのだ。
そうして俺とメリエス様はパンケーキ屋へと歩き出す。
余程パンケーキが楽しみなのかメリエス様は鼻歌を交えつつ俺に尋ねた。
「そういえば結局お前は何をヤったんじゃ?」
「仰っている意味がよく分かりません」
「今は気分がいいから何をヤったか正直に言えば怒らんぞ? さぁ言ってみぃ」
正直に言ったら怒らない。——そんな言葉は幻想だ。
まぁ俺は何もヤってはいないが、これから何が起こるか知ればメリエス様の取る可能性がある行動はブチ切れるか慌てふためくかのどちらかだろう。
どちらに転んでも可愛い事この上ないだろうが、そんな誘惑に負ける俺ではない。
これから起きる事は俺からメリエス様に送るいわばサプライズプレゼント。
そんなサプライズを自ら明かすほど俺は馬鹿じゃないのだ。
「私はいつでも正直に話していますよ。私が行う行動の全てはメリエス様の為です」
「ふぅん、まぁよい。それでパンケーキ屋というのはまだなのかの?」
「もう着きますよ。——ほらあの店です」
そう言って俺が指差した先には外装全てが真っピンクのなんともメルヘンチックな建物が建っていた。
看板にはピンク色の文字で「パンケーキのお店 メイプル」とデカデカと書かれてある。
「ほぅ、えらく可愛らしい店じゃな」
メリエス様はそう言いながら目をキラキラと輝かせていた。
子供っぽい所があるのもメリエス様の可愛い点の一つと言えるだろう。
俺とメリエス様が早速店の中に入ると、店内にいたメイド服の猫耳をつけた少女がこちらへと小走りでやってきて俺達に笑顔を向けた。
「お帰りなさいませ! ご主人様! ——ってアレ? ジレ様だー! お久しぶりです!」
途中で俺だと気付いたメイド服の少女は大きな胸を俺に押し付けるようにいきなり抱きついてきた。
普段なら全然構わないのだが、少しは状況を考えて欲しい。
恐らく、俺への嫉妬で怒り狂ったメリエス様が後ろから激しく睨みつけているに違いない。
メイドの少女に抱きつかれながら俺は恐る恐る後ろを確認するとジト目のメリエス様が呆れた表情でこちらを見ていた。
「お前は一体何をヤっておるんじゃ?」
「誤解です。メリエス様。私はメリエス様一筋です」
俺はメリエス様の誤解を解くべく弁明するがますますジト目で見るメリエス様。
そんなメリエス様に気付いたメイド服の少女は俺をゆっくりと解放したかと思うとメリエス様の前に立った。
「うわー、可愛い子! ジレ様の妹さんですか?」
そう言ったかと思うとメイド服の少女がメリエス様をなでなでした。
なでなでされたままのメリエス様は特に抵抗する事もなくなされるがままの状態で俺をジト目で見ている。
「なんじゃ? この女は? なぜこんな場所に魔人がおる? やはりこの街は魔人に占拠されておるのじゃな?」
メイドの少女を猫耳で魔人である獣人と判断し、メリエス様はベーンヘルク占領説を再燃させたのかそんなことを言いだした。
「違いますよ。この娘はリビエラという名の正真正銘の人間です」
「嘘を吐くでない。こんなに立派な耳をつけているではないか。……ってええい! いつまで撫でておるのじゃ!」
俺と会話している最中ずっとメリエス様を撫でまわしていたリビエラにメリエス様が大きな声で注意するとリビエラは「あぁ、残念です」と呟きながらようやくなでなでするのをやめた。
「ていうか妹さん怖い事言いますね。私を魔人だとかなんとか」
「そうだろう。メリエス様はめちゃくちゃ可愛いのだが、妄想癖があるのが玉に傷でな。……すまんな。リビエラ」
そう言いながら俺は右手でリビエラの猫耳を握った。
「何をヤっておるんじゃ?」
メリエス様が不思議そうに俺の右手を見つめる中、俺は右手に目一杯に力を込める。
「おい、お前、本当に何をヤって……って、ぎゃぁぁぁぁぁぁー!」
俺はメリエス様は見つめる中、リビエラの頭の猫耳を力いっぱい頭から引き千切るとメリエス様は断末魔のような悲鳴を上げながら尻もちをついたのだった。
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