上 下
111 / 121
本編

ギルドマスターと 01

しおりを挟む


「「....................................」」

無言で視線を逸らすことなく顔を向き合わせて、かれこれ10分は経ったと思う。

.........なに、この状況?


謎の空間に耐えきれなくなった頃、

「ふふっ」

先に沈黙を破ったのは相手....ギルドマスターのリアードさんだった。

「やっぱり君、マリアはおもしろいね」

「.........何が、ですか」

「まぁ色々あるけど 1番は、を過保護な父親みたいにさせたことかな。

あ、それから 敬語は必要ないよ。君は子供なんだから好きなように話してくれて構わない」

慌てて語尾を敬語にしたのがバレたのか、
元々こういうキャラじゃないのを見抜かれたのか........ 両方かも。
まぁいいや。いまさらこの人相手に取り繕ってもあまり意味はないし。


「ロイさんの過去は、知らないからそう言われてもわかんないけど。 出会った当初から 今ほどじゃないにしても、根本的にはあんな感じだよ?」

「へぇ。それが本当だとしたら更におもしろいなぁ」

「他は?」

「他? あぁ.........おもしろいと思うところ?

マリアちゃんそのものが、かな。.......って言ったらなんか誤解を受けそうだけど」

「私が、おもしろい?」

「うん」

この部屋......ギルドマスターの執務室に来る前、ロイさんが私とリアードさんを2人だけにするのを物凄い勢いで反対した理由がなんかわかった気がする。


この人、たぶん見抜いてる。
ステータスそのものを...って意味じゃなくて、実力とか そういうのを。


「あとは、リルくんかな。あの子も興味深いね。随分賢いみたいだけど、種族が知りたいなぁ。ロイに聞いても頑なに教えてくれないんだよね」

リルの種族かぁ。
.........なんて設定にしてたっけ?
んーと、エミリーさんが登録手続きしてくれて......そのときにたしか....狼って言ってたな。そのまんま狼で登録したんだったっけ? .........やばい。全然思い出せないや。あとでギルドの登録確かめておかなきゃ。

「マリアちゃん?」

などと考えていて急に黙り込んだ私にリアードさんは不思議そうに声をかけてきた。

「ロイさんが、教えないって言うなら、教えない。.........怒られる」

「マリアちゃんの従魔なんだよね? なのに怒られるの?」

心底わからない、という顔をされた。
.........冷静に考えたらそうだ。なんで私が怒られるんだってなるか。 ロイさんに日頃から怒られすぎてて感覚麻痺ってきてるのかも。

「怒るよ。ロイさんは完全に パーティーメンバー兼保護者っていうより単に、“お父さん”って表現の方がしっくりくる感じだもん。リルは私が1人で街の外出たときに従魔契約したんだけど、契約しちゃった以上どうにもできないから怒るに怒れなくて頑張って色々諦めてた」

──そう。リルと契約したと知ってから数日、ロイさんは頑張って葛藤して、一通りの喜怒哀楽感情を出したあと、諦めた。

契約初日の夜に仲良さそうにリルを抱っこしてたし、朝の起こし方だってなんだかんだ受け入れてくれて、以降それは日課になった。だけどやっぱり内心はかなり複雑だったみたい。
それが落ち着いたというか “考えないようにする”ことが出来るようになったところでリルの種族を知って、再び同じような状態に陥っていた。
まぁこれはロイさんが種族を知りたがったんだから頑張れって思っただけだけど。


「お父さん、か........。 まさかロイがそんな呼称をされる日が来るとはね。ルイスやエミリーがおもしろがったんじゃないかな」

「うん。ルイスは似合わねぇー!って事ある毎に大爆笑してたし、エミリーさんも顔は隠してたけど肩震えてたりにまにましてたりしてた」

「やっぱりおもしろいなぁ。ロイもだけど、マリアちゃんも、かなり」

そう言って笑ったリアードさんの顔は、嫌な予感がする....企み顔だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】

Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。 でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?! 感謝を込めて別世界で転生することに! めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外? しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?! どうなる?私の人生! ※R15は保険です。 ※しれっと改正することがあります。

チートスキルを貰って転生したけどこんな状況は望んでない

カナデ
ファンタジー
大事故に巻き込まれ、死んだな、と思った時には真っ白な空間にいた佐藤乃蒼(のあ)、普通のOL27歳は、「これから異世界へ転生して貰いますーー!」と言われた。 一つだけ能力をくれるという言葉に、せっかくだから、と流行りの小説を思い出しつつ、どんなチート能力を貰おうか、とドキドキしながら考えていた。 そう、考えていただけで能力を決定したつもりは無かったのに、気づいた時には異世界で子供に転生しており、そうして両親は襲撃されただろう荷馬車の傍で、自分を守るかのように亡くなっていた。 ーーーこんなつもりじゃなかった。なんで、どうしてこんなことに!! その両親の死は、もしかしたら転生の時に考えていたことが原因かもしれなくてーーーー。 自分を転生させた神に何度も繰り返し問いかけても、嘆いても自分の状況は変わることはなく。 彼女が手にしたチート能力はーー中途半端な通販スキル。これからどう生きたらいいのだろう? ちょっと最初は暗めで、ちょっとシリアス風味(はあまりなくなります)な異世界転生のお話となります。 (R15 は残酷描写です。戦闘シーンはそれ程ありませんが流血、人の死がでますので苦手な方は自己責任でお願いします) どんどんのんびりほのぼのな感じになって行きます。(思い出したようにシリアスさんが出たり) チート能力?はありますが、無双ものではありませんので、ご了承ください。 今回はいつもとはちょっと違った風味の話となります。 ストックがいつもより多めにありますので、毎日更新予定です。 力尽きたらのんびり更新となりますが、お付き合いいただけたらうれしいです。 5/2 HOT女性12位になってました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性8位(午前9時)表紙入りしてました!ありがとうございます! 5/3 HOT女性4位(午後9時)まで上がりました!ありがとうございます<(_ _)> 5/4 HOT女性2位に起きたらなってました!!ありがとうございます!!頑張ります! 5/5 HOT女性1位に!(12時)寝ようと思ってみたら驚きました!ありがとうございます!!

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...