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本編

リルの戦闘力の確認 02 ロイSide

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「大量すぎ……」

周囲を見渡し、マリアはため息混じりにボソッとそうつぶやいた。

「……………」

「きゃうん!」

呆然とする俺をよそに、リルはご機嫌でマリアに抱っこをせがんでいる。
一応 本人リル的には、褒められることをしたと思っているのだろう。はちきれそうなほど勢いよく尻尾を振っている。
マリアは困惑しつつも 抱っこをせがむリルを無下にはできなかったのだろう。抱き上げ、撫でている。

そんな三者三様な反応を見せる俺たち2人と1匹の周囲には、体を真っ二つにされた魔物の死体だらけだったー……。


「ロイさん。あの……言い訳させてね? 私、リルがこんなに強いなんて知らなかったの。だからけして、やらかしとかそういうのじゃないんだよ?」

「…………………」

「ロイさん?」

まあどうせ嘘だろうとは思っていたが、“他の魔物に襲われていたところを助けた”は絶対にありえないことは確定した。
だとしたらどう出会ったのか、が気になるところではあるが……今はそんなこと、どうだっていい。というか、問題はそこじゃない。


リルの種族の確認を先にするべきだった、とこんなにも早く後悔することになるとはな……。


マリアの驚きようから察するに、マリアも本当にリルの強さは知らなかったようだ。

「ある程度大きくなるまでは 人目がある時にリルを戦わせるの禁止な。そうじゃないと厄介なのに目を付けられる。そうなると面倒だ」

「うん」

外見に見合わない規格外な力を持ってるのはマリアだけで十分なのにな……。

主人が主人なら従者も従者、ということなのか?

ーそれだけではない気がしてならないが……
聞いたところで、どうせマリアは答えないだろう。無理に聞き出そうとしたらどうせまた逃げられる。

だからいつかあいつが……あいつ話してくれるまで、待つしかない。


◇  ◇  ◇


ー俺、必要か? コイツら2人……いや、1人と1匹でも戦闘力で言えば旅をするにも十分すぎる。

ふとそんな疑問がわいたが……気づかなかったことにしようと思う。


ー旅に必要なのは 戦闘力だけじゃない。

俺は必死で自分にそう言い聞かせたー……。
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