異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ！ のんびり冒険者 (仮)

本編

ロイさんの予想通り

｢ブヒィィィ！｣

オークの断末魔が響き渡った数秒後、ドスンという大きな音と共に大地が震えた。


｢うん、大丈夫だね。結界魔法の方は問題なし、と｣

案の定、魔法を使える魔物と運良く遭遇！なんてこともなく、結界魔法の確認だけで終わった。

まぁはぐれオークを1匹仕留められたからいいや。

オークの肉は美味しいからね～。
ギルドにある食堂の料理人のジェイドさんに頼めば美味しい料理にしてもらえるんだよね。それ以外の素材は全部買取してもらえるから、いい事づくめ。


ちょっとはやいけど今日はおしまいにしよう。


｢お、今日はもう終わりなのか？｣

門に戻ると門番をしていたルイスに声をかけられた。
朝街をでるときはいなかったから今日は午後からだったのかな。


｢ルイス……さん。今日もお仕事お疲れ様です｣

あっぶな～  心の中で呼び捨てにしちゃってるからそのまま呼び捨てにしちゃうとこだった……。

｢お前今呼び捨てにしようとしただろ｣

｢えっ、そ、ソンナコトナイヨ!?｣

｢お前さ、自分が嘘つくの下手だっていい加減自覚しろ？｣

｢それロイさんにも言われた……｣

“隠し事してるくせに嘘つくの下手すぎるから上手になれ”って。

｢……ロイと買いに行ったっていう防具ってその胸当てとブレスレットか？｣

｢へっ？  あ、うん……｣

昨日の今日でそんなことまで聞いてるのか…… ホント仲良いよね……。本人達に言うとよくない！って言いそうだけど。


｢ふーん…… 火魔法耐性ついてんだって？｣

｢うん｣

それだけじゃないけどね～。火魔法どころか8種の魔法耐性ついたマジックアイテムに変えちゃったからね。言えるわけないけど。

｢ふーん……ちょっと見ていいか？｣

｢へっ？ あ、う、うん……｣

返事したのとほぼ同時に、腕からブレスレットが取られた。……ルイスこいつ、語尾が完全に質問だったくせに 返事しなかったとしても勝手に取ってたな……。

それより、大丈夫……だよね？？ マジックアイテムには見えないって鑑定結果でてたし。 鑑定結果を信用してないわけじゃないけどさ……。



｢へぇ……これ結構良さそうなやつだな。高くなかったのか？｣

｢へっ？あ、そんなには……。たしか銀貨3枚？だったかな……｣

｢へぇ……そんな安かったのか。良い掘り出し物見つけたな、ロイか｣

｢うん｣

ルイスは興味深そうにブレスレットを上から下から内側まで、じっくり観察するその顔は。まるで何かを鑑定するようなー……。


あっ これミスったやつかも。
マジックアイテムには見えなくても見る人が見れば高価なやつってわかっちゃう見た目になったとかそういう感じ？

慌ててブレスレットを鑑定し直す。


◇  ◇  ◇

【マジックアイテム】8種魔法耐性付きブレスレット(レア度:SSS)
・外見:Dランク冒険者でなおかつ10歳の子供が持つには高価すぎる魔法耐性付きブレスレット

◇  ◇  ◇

…………やらかしてたわ。

ロイさんの予想通り、速攻でやらかしてたわ……。