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本編

ギルドで一悶着

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「エミリーさん、私それ受け「その依頼、俺が受ける」

“受けます” そう言い切る前に男の声に遮られた。

……誰?


「あら、ルドルフさん。お久しぶりですね」

エミリーさんは声の主を確かめるとすぐさま、笑顔を向けながら声をかけた。……体の向きをかえるときにさりげなく、私を自分の体の後ろに隠すようにしながら。


「その特殊個体のスライムの殲滅、俺に受けさせろ」

「それは無理ですね」

「……んだと?」

「この依頼、ルドルフさんの実力では、無理ですわ。失敗して違約金を払うことになると思いますよ」

「たかがスライムだろ。んな子供ガキがやるより俺の方が確実に仕留めれる」

「たかがじゃありませんよ。通常のスライムの他に、特殊個体のスライムも大量に発生してるんです」

「それでもスライムはスライムだろうが。その依頼、寄越せ」

「無理ですね~。 ギルドこちらとしても、依頼失敗されるとわかっている方にお願いはできないですからね」

エミリーさんの後ろ姿しか見えないけど、相手の男……ルドルフ?とかってやつは相当怒ってるのに、それでもエミリーさんは、いつもの口調を崩さず、そしてきっと笑顔のまま、返事をしているんだろうなと思った。


「仮に失敗するかもしれないと仮定して、そんな子供ガキに任せるよりは確率高いだろ どう考えても」

「そんなことないですね。 彼女に任せれば、依頼失敗はありえないですから」

ありえない、って……  え、私エミリーさんからそう思われてるの? 
まぁ特殊個体とはいえスライムなら、失敗はしないと思うけどさ……。

「そんな子供ガキより俺の方が下だって言いてぇのか」

「そうですね……。下、ですよ?確実に(ニッコリ)」

「てめぇ…… 受付だからって調子こいてんじゃね「なにをしている?」

頭に血がのぼったルドルフが、エミリーさんに掴みかかりそうになった、その時。

ドスの効いた低い声が、エミリーさんの胸ぐらを今にもつかみそうになっていた手を止めた。

「ギルド内での冒険者同士の揉め事はともかく、ギルド職員に手をかけるなんて言語道断。納得がいかないというなら、詰め所で詳しく話を聞いてもいいんだが?」

「なんで騎士がこんな時間にギルドこんなとこいんだよ」

「何か言ったか?」

「……チッ。 なんでもねぇよ」

「それなら即刻立ち去れ。昼間から営業妨害だ」

「……………………」

こっちを、というかたぶんうしろに隠されてる私を、ひと睨みして、ルドルフはギルドから出て行った。

「エミリー、大丈夫か?」

「ごめんなさい、ルイス。でも、ありがとう」

ーギルドにやってきた騎士は、ルイスさんだった。
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