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本編
ランクアップ
しおりを挟むーコンコンッ
「失礼します。用意ができました」
「あぁエミリー、戻ってきてまた済まないが、マリアのランクアップの手続きを頼む」
「ランクアップ、ですか? かしこまりました。 フフフッ、昨日の今日でなんて、最短でのランクアップですね。おめでとう、マリアちゃん」
エミリーさんがお金を持って戻ってきたかと思えば、ギルマスがそんなことを言った。
ランクアップできるの? はやくない?エミリーさんの言う通り、昨日の今日だよ??
「いや、Dだ」
ランクアップに驚いていたら、さらに驚くことを言った。
「D、ですか?」
「あぁ。大規模の集落をたった1人で短時間で殲滅したんだ。Dランクでも問題はないだろう」
「そうですね。では手続きをします。マリアちゃん、ギルドカードを貸してもらえるかしら?」
「あ、はい……」
言われるまま、ギルドカードをエミリーさんに渡す。
「ちょっと待っててね~
うん、これで完了っと。一応確認したいから軽く魔力を流してくれる?昨日みたいに光れば大丈夫よ」
「うん……」
光ったね。大丈夫そう。
「あ、それとこれが今回の買取額と報酬。 確認してくれるかしら?」
「……うん。大丈夫。ありがとう」
「それから、ロイ。びっくりするのはわかるけど、さすがにそろそろ行かないとまずいんじゃない?」
エミリーさんが戻ってきたあたりから完全に空気になってたロイさんに、エミリーさんは声をかけた。
……ごめん ロイさんのこと忘れてたわ。
「お、おう。そうだな。俺行くわ。マリア、今日の門が閉まる時間あたりに詰所に来い。話がある」
「それならお昼過ぎたころにまた外に出ようと思ってるから帰りにそのまま寄るね」
そういえば薬草も採ってたんだった。これもエミリーさんに(というかギルドに)買い取って貰おう。
外に行くのは、今日泊まる宿を探して、見つかればだけど。
というかロイさん、目が怖いよ……。
“どういうことか聞かせてもらおうか”って目だよね、これ完全に。
ギルマスに質問攻めされてる間、 ロイさんところどころ 腑に落ちてない顔してたもんなぁ……。
特にあれ。死体を穴に埋めたあと火魔法で消し炭にして水魔法で鎮火したことを、なんでそんなうやむやにしてんだ?って思われた気がするんだよね。
……火魔法使えない設定にしてます、とは言えないしなぁ……。でもロイさんとギルマス、個人的に知り合いっぽいし……さすがに、鑑定石での鑑定結果をロイさんに教えたりはしないだろうけど……なにかの拍子に、とか話の流れで、とかで どっちかがポロッと言っちゃって……とかになったら、面倒だよなぁ……。
うーん、どうしようか。
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