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本編
聞き間違いでもなければ言い間違いでもない
しおりを挟む「ちょっと待て。今なんつった?」
ロイさんはこめかみをピクピクさせ、顔を引き攣らせながら聞き返してきた。
うん まぁ普通そうなるよね。
「だから、ゴブリンの大規模集落を殲滅してきたんだってば」
「大規模集落!?」
「うん。上位種含めて全部で400いたよ」
「…………………」
あ、ロイさん絶句したわ。そしてあれだ。キャパオーバーしてるわ。
「ロイさん……?」
「お、おぉ。悪い。俺の聞き間違いか?もしくは言い間違えたか? 大規模集落って聞こえたんだけど」
「うん。聞き間違いでもなければ言い間違いでもないよ。討伐してきた耳と魔石、見る?」
「……………いや、いい。なんかもう、いろいろ無理だ俺」
あー頭抱えちゃった。ごめんなさい。
「とりあえず明日、朝イチでギルド行くんだろ?俺も着いてくから」
頭を抱えること10分とちょっと。
ようやく立ち直ったというか、正気に戻った?らしく、そう言ってきた。
「え、なんで? 別に1人でも大丈夫だよ?」
「アホか。昨日今日登録したての新人冒険者がゴブリンの大規模集落殲滅してきましたーつって信じてもらえるわけねぇだろ。それどころか下手したら不正疑われてギルド資格剥奪されんぞ」
「はくだ…!? それは困る!」
「だから俺も着いてってやるっつってんだよ。幸い、ギルドには知り合いがいるからな」
「お願いします」
「……で、討伐したゴブリンたちはちゃんと教えた通りに始末したんだろうな?」
「もちろん! 土魔法で穴掘ったんだけど数多すぎて埋めれなかったから燃やして灰にしたあと埋めたよ」
「そうか」
「穴に埋めるのも1回深さ足りなくて掘り足したけどね……」
「お前どうやって倒した?魔法か?」
「うんそうだよ~ 剣術と体術スキル持ってるし、できなくはないけど得意じゃないの知ってるでしょ?」
体も小さいしね。もう少し大きくなったらまた違うと思うんだけど今のところ全くと言っていいほど実戦で役に立ちそうにない。
「400も倒しといて、まだ魔法使う余力がそんなにあったのか? 燃やしたってことは鎮火するために水魔法も使ったんだろ?」
「……へっ? あ、う、うん!ギリギリね!」
そういえば私、ロイさんに魔力量のことは教えてないんだった。 街の外で魔法の練習するときは毎回一緒だったし。なんとなく、そこらへんの大人よりはあるんだろうなーってのは察してると思うけど。
「ギリギリ、ねぇ……」
「そう。ホントにギリギリだったんだけど、なんとかなって~」
完全に、“疑ってます”って目で見られてるけど、しらばっくれる。
「……まあいいけど。そういうことで」
なんだかんだロイさんに気を許してるのは、こうやって言いたくないってことを雰囲気で醸し出せば察して身を引いてくれるからなんだよねぇ…… ホント、有難いわ。
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