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俺氏、マルフを担保にしてカジノで遊ぶ

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 カジノ。それはギャンブルを楽しむ場所である。
 店の中は豪華な部屋で、ディーラー、セクシーな服で踊る踊り子。
 多くの店員が働いている。
 もちろん彼らは慈善事業でやっている訳ではない。
 きちんとカジノからお給料という形でお金が支払われている。

 ようするに、ゲームでカジノが上手くても、それはアマチュアだ。
 人生をかけてプレーしている人達、プロの前では児戯にも等しいよね。

「マルフ、ごめん。お前の獣生、いや人生か。あと一枚だ」
「……」
 もうマルフは口を開く気力もないようだ。

 不甲斐ない俺でごめんな。
 そして、最後の一枚くらいはマルフの言う所にルーレット一点がけしてみるか、と思っていたその時。

「ごめんなさい」
 マルフもハイレベルな美幼女だが、マルフに勝るとも劣らない。正統派、王道な美幼女が俺の背中にぶつかってきたのだ。

「幸運姫が来たぞ!」
「幸運姫だ!」

 幸運姫。彼女の幸運はまさに神の域。
 彼女がルージュと言えばルーレットはどれだけ仕込んでもルージュに転がり込む。
 ナイフを上にばらまき手を広げれば全部が彼女にかする事なく地面に落ちる。
「ブラック」
 可愛らしい声で、小さな手が金色のチップ数枚を黒に落とす。
 結果は黒だった。
 最初は自らの身体を担保にお金を借り入れ、そしてチップを元にお金を増やし生活をしているという。

「幸運姫か。俺に似てるな」
「……お兄ちゃん、本気で言ってる?」

 マルフの戯言を無視して、その美幼女に近づき笑いかけた。

 幸運姫は俺の顔を見ると……
「近寄らないで下さい。なんて気持ち悪い、いや、おぞましい……死んでください」
 俺を全否定した。

 俺のパッシブスキルってマルフの冗談じゃなかったんだな、と落ち込んだ。

 口は悪いが美幼女。そして幸運はかなり便利そうだ。
「あと一枠は君にきーめた!」
俺は幸運姫にスキルを使用する。

「う、な、何。あれだけおぞましかった男が、何だか可愛く見える。何、貴方私に何をしたの?」

「幸運姫、メシ」
 そういうと、幸運姫はチップの一部を換金し、無料ではない優良ブースの食事を持ってくる。

「はい、お兄様」
「……お兄ちゃん、本当に最低」

 ステータス、ステータスと唱える。
『最大寄生人数2人。残り寄生数、0
 寄生先:マルフ(生存中)
 寄生先:ラクレア(生存中)』

 ラクレアへの寄生が追加されていた。

「ラクレア、マルフ。こいつを買い戻すためにチップが必要なんだ」
「私のチップで良ければお使いくださいませ!」

 金色のチップを数枚差し出される。そのうち一枚を抜き取り、マルフを担保にした借金を返済する。

「これで文句ないな?」
カジノの女性が嫌そうな顔をする。
「ああ。だが納得できないこの感じは何だろうな」

 そして次に、ラクレアの残ったチップを全て掴み、ラクレアを連れてカジノ台へと座る。
「お兄様、黒です」
「お兄様、黒です」
「お兄様、黒です」
「お兄様、赤です」
「お兄様、赤です」
「お兄様、黒です」
 言われた通りにかけるだけで金がどんどん増えていく。

「お兄様、これ以上稼いでは危ないです」
 俺はラクレアの言う事を無視して、ラクレアから赤か黒かを聞き続けた。
 結果、金チップ数枚が、1000枚近くになっていた。

「そろそろ帰るか」
「帰れると思ってるのかね?」

 銃を突きつけられる。
「幸運姫。今までは君のファンも居たから宣伝として出入りを認めてやったが、やりすぎだな」
 金チップ数枚を稼ぐ程度であれば、宣伝費用として認めても良かったのだが、と。

「君達は出入り禁止だ。最後の勝負をしようか」
 そういってサイコロを出す。目はどれも1だった。

「全額で何の目が出るか張りなさい」
「1だ!」
「お兄様、ダメ!6、6に賭けます!」
 そしてサイコロは回転し、当然のように1の目を出す。

 俺達は全財産を失ってしまったのだ。

「あれ、1にかけてれば勝ったじゃん……」
「お兄様、あれは命か金か選べって事ですよ……ああ、私は明日からどうやって生活すれば……」

 そしてラクレアとマルフを連れて、俺達は町を徘徊する。
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