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配管工勇者、見積もる

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「雛菊、ご飯食べる?あ、それだと食べられないわね?」
「……ムグーーー!」
 雛菊は1.2cmほどキノコボーイフィギュアを突っ込まれ、ロープで全身を拘束されたままビクビクしている。

 どこに突っ込まれてるか?
 想像におまかせします。

 うつ伏せで顔を赤らめ、目はこちらを睨みつけながら涙がボロボロとこぼれている。

 口に挟んだボールギャグからはダラダラとよだれが落ちてる。
 ベッドはよだれや涙、トイレにも行かせず一日中楽しんだからいろんな体液でベトベトだ。

「ベッド汚したわね、逆らったから1mm追加」
「ムグーーー!?ムグーーーー!!」
「また汚したわね?さらに1mm追加よ」
 俺の言葉に雛菊姫はさらに顔を赤くしてボロボロと涙を流す。

 でもな雛菊、それは逆効果なんだぜ?
 もう少し自分の容姿を客観的に見るべきだ。

 そそる、んだよね。

 そして雛菊の姿に嗜虐心を覚え、もう少し楽しもうかと服を軽く脱いだところで

「あ、おはようございます桃姫様。今日もお美しい」
「……えっ?」
 部屋の隅に配管工勇者が居た。

「……おはよう、配管工勇者」
「残機-1でしたぞ?」
「あぁ……そう」

 配管工勇者はちらりと雛菊姫を見ると、
「これは使ってよろしいので?」
「ムグーーー!?」
 ブルブルと震える雛菊姫。

「よろしくない」
「そうですか。桃姫様。今回分の請求書がこれになります」

 請求書?

【亀魔王から桃姫の救出……17億コイン】

 配管工勇者が出してきた請求書には、国家予算くらいの金額が入っていた。

「えぇ……?おかしくない?」
「はっはっは。姫様にマグマに落とされ傷ついた慰謝料込でございますしな」
「……払えるわけ無いでしょう?バカなの?」

「いやいや、これは手厳しい」
 請求書を俺の手から取り、ペンを走らせてまた手渡してくる。
「……マル一つ増えてるわよ?」
 
 魔王から桃姫の救出……170億コイン

「慰謝料を増やしてみましたが文句がおありですか?」

 何だコイツ……。強者の傲慢さを感じてイラッとする。

「んんぅ、ま、まぁ……桃姫様が傷ついた私を一晩慰めてくれるとマルが減るかもしれませんな」
「……そう?でもそれはないわよ?」

 このセリフが雛菊ならウェルカムなのだが、配管工勇者を慰めるのはありえない。

 というか、ナチュラルに俺脅されてないか?
 
「内政してるキノコボーイをここに!」
「何でしょう姫様!」

 内政担当のキノコボーイ達に請求書を手渡す。

「ぎええええ!!」
 額を見てプルプル震えている。
「は、配管工勇者様!この額は無理ですです!」
「国家予算二十年分になりますです!」
「国の宝物を売り払ってもこんなのは無理ですです!」

 おい、四則演算できないのか!10年分だろキノコボーイ達!

「んっんんぅ。実は私は子供が好きでしてね」
 そして、咳払いをしてこう続ける。
「桃姫様が私の子供を一人ほど産んで頂ければ、無しにしても良いですがな?」
 なんだよそれ!
 そんな子供を産む道具的な発言は女性蔑視として叩き殺されても文句は言えねえんだぞ!

「本当ですか、配管工勇者殿!桃姫様、ガンバです!」
「一人。姫様が毎晩励めば一年くらいでなんとかなるかもですです!」
「ぶち殺すわよ?」

 なんで姫を売り払おうとしてるんだコイツら。

 あと配管工勇者が子供好きには見えない。絶対に過程目当てだろコイツ……。
 一晩よりも難易度が高いだろ。
 下手すりゃ数年がかりになるぞ?
 この配管工勇者と励み続けるとかイヤすぎる。

 どうしようかな。スケープゴートとかどうだろう。ふむ、生贄か……。

「ねぇ、雛菊……配管工勇者に差し出してもいい?」
「グムムムー!?グムムムー!!」

 うわぁ、本気で嫌がって青ざめてボロボロ泣いてる。流石にこれはだめだな。

 NTRは嫌いじゃないけどリアルNTRは吐き気がするんだよね。

「雛菊姫なら二人は産んでもらわないと」
 吊り上げる配管工勇者。雛菊はきのこランドより大国のお姫様だぞ?

「グムムムー、グムムムー!」
「大丈夫よ、私はペットを売り払ったりしないわ」

「ほう、それでは桃姫様が相手をしてくださるのですな?」
「セクハラの慰謝料請求するわよ?」

 額を少し減らす配管工勇者。
 147億コインになった。
 これは私へのセクハラに23億コインの価値があると喜ぶべきか、怒るべきなのか。
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