上 下
18 / 23
二章 大国の第一王女、マイナ

エヌべディア王国、第一王女『マイナ』七歳。(教皇視点)

しおりを挟む
 今日はかわいい孫娘、マイナちゃんの鑑定の日じゃ。
 なに?教会へ行く?そんな事せんでも、ワシが鑑定してやる。
 それにマイナのステータスがその教会からバレたら大事じゃろう。

 第一王女、マイナ姫は魔力が低い、とか新聞に出たらマイナちゃんが可哀想じゃし
 ジョブが特別な物じゃったら、第一王女という事を考えても他国に狙われたりするかもしれん。

 ここは身内のワシがやるべきじゃろう?

「……教皇様がやらなくても、私がやりますが?」
「アリアがやるなら私でもやれますが?」
「お前らはだまっとれ!」

 マイナの侍従と侍女。
 元教会の聖人と聖女。
 当然、ステータス鑑定もできてしまう。

「ジャンヌ……お主からも言ってやれ」
 ワシは義理の息子。エヌベディア国王、ゲフォスの隣にいる実娘のジャンヌに向かって言う。

「でもお父様の口から漏れても困るし」
「ワシがマイナちゃんの不利になるような事をするわけなかろう!?」
「……でも、アリアに任せた方が漏れませんよ。アリアはずっとマイナのそばにいますし」

「ならワシもずっとマイナちゃんの傍におるわい!ここに住む!!」
 エヌベディア国王、ゲフォスは頭を抱えておる。

「お義父様……貴方がここに居ると他国からつつかれます。教会の教皇という立場があるでしょう」
「ワシ教皇なんか辞めたいもん!マイナちゃんのためなら辞めてもいいもん!」

 床を転がり駄々をこねるワシをみんなが冷たい目で見る。
 じゃがワシも譲れん。マイナちゃんの初鑑定はこのワシじゃ!

「……わかりました、じゃあマイナの初鑑定はお任せします。そのかわり鑑定が終わったら帰ってくださいね」
 実娘から冷たく言われてワシは肩を落とした。

 そして、自らの尊厳を売り払って買ったマイナちゃんの初鑑定。
 わくわくしながらマイナちゃんと会う。


 名前:マイナ=エヌベディア
 種族:人族
 ジョブ:マイナー
 体力:02
 魔力:02
 力 :04
 知力:24

 スキル:マイニング

「うむ……七歳時点で知力が24もあるとは。マイナちゃんは賢い子じゃな」
 そしてワシはマイナの頭を撫でる。
「魔力と体力がちょっと低いが、それ以外は普通のパラメータじゃろう」

 思ったよりも魔力は低くないの。
 低いが魔力枯渇で倒れるほどのものでもないのう。
 体力はちょっと少ないが、貴族令嬢の箱入り娘だとこのくらいじゃろう。

 じゃが……。
 そしてワシは職業に目を落とす。

 ジョブが。なぜ、ついておるのか。

 スキルもマイニング。訳がわからんのう……。

 結果をマイナちゃんの関係者に見せると、みんなが首を傾げた。
 神様のジョブは神様じゃろう……。そういう物かもしれんの。

「マイナちゃんのジョブはマイナーじゃ」

 そういうと、みんながポカンとした顔をしておった
 ジャンヌよ、そのボケ爺を見るような目は辞めてくれんか?
 ワシはまだボケとらんぞ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です

岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」  私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。  しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。  しかも私を年増呼ばわり。  はあ?  あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!  などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。  その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

処理中です...