完璧な旦那様

世羅

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有給休暇という名の恐怖週間5

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 久しぶりのセックスで私の足腰は立たなくなってしまって、その日はぐっすり朝まで眠りに落ちてしまった。孝太郎さんは、セックスまで完璧な夫だ。私と結婚する以前は、寄ってくる女をとりあえず一夜だけ相手にしていたプレーボーイなだけはある。そういう私は、孝太郎さんしか男の人は知らない。だから、比較しようにもわからなかったりする。

 朝、目が覚めると孝太郎さんはまだぐっすり寝ていた。その麗しい顔を凝視してしまった。
 私でなくとも、相手なんていくらでもいたはずだろうに。どうして、私を囲うようなことをしたのだろうか。そういえば、孝太郎さんのご両親にもお会いしたこともないし、弟さんとは電話で話しただけだ。そもそも、孝太郎さんは家族を私に会わせたがらなかったりする。

「んっ……」

 モゾモゾっと孝太郎さんの体が動いて、私の体を抱きしめてくる。
 よく考えたら、すぐに結婚したせいか孝太郎さんのことはあまり知らない。孝太郎さんは私のことを一方的に知りすぎているだけの気がする。これ以上、考えるのはよくない。そう思って、孝太郎さんを起こさないようにそっとベッドを抜け出した。
 都会の夏とは違い、リゾート地の夏は湿気が少なくからりとしている。まだ朝が早いため、そんなに日差しは強くはなかった。私は水着に着替えて、備え付けられたプールで水浴びを始めた。水が冷たく心地いい。ただ、プールに浸かるだけでも気分転換になる。キラキラと光る水の中で、私の肌はやけに白く見えた。ほっそりとした脚も視界に入る。普通の女性よりはやや細いし、胸だって平均よりは大きい。体質的に太らないから仕方がない。孝太郎さんがそれを心配してか、たくさん食べるように毎回言ってくるが太らないものだから仕方がない。食べ過ぎると胃もたれを起こしてしまう。

「おはよう、環奈。朝からプールか……」

 孝太郎さんの不満そうな声がして、ぎょっとして振り返るとすでに着替えた姿がそこにはあった。日差しが少し強くなってきたせいだろうか、孝太郎さんのほうを見ると眩しくて目がチカチカした。たぶん、朝からイチャイチャしたかったんだろうというオーラが出ていて、どこか不機嫌だ。

「い、いま出るね。少し、疲れたからベッドに戻ろうかな……」

 察してそう言ったが、彼はそうかとだけ返してきた。さっさとプールから上がって、バスタオルを体に巻きつけた。不機嫌なままの夫は、さっさと部屋に戻って、ソファに体を預けてしまった。そのまま、無言でタブレットを操作している。冷たい風が吹きそうなくらい無表情だ。どうして、彼の機嫌一つ取り繕えないのだろうかと考えると鼻の奥がつーんとしてきてしまう。


「ごめん……つい、意地悪したくなった」


 ぽつりと漏れた本音に、私はフリーズしてしまった。


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